04.安全と服
まだまだ、異世界の入り口。
ナビゲート機能を相手に着実に自分の位置を確かめるヒカリでした。
服が無い。
いや、あるけど暮らすのに問題が無い服がない。
さて、どうするか……。
泥棒に入るとか?事情を話して判ってもらえる人に恵んでもらうとか?
あ……。
そもそも今、自分が強盗に出会う危険があるかも確認してなかった。
<<付近をサーチ。私に危害を加える可能性があるものを赤く点灯させて>>
<<(ぴろろん)>>
<<リアルタイム表示開始>>
げっ、真っ赤。
意味が分からない。
もう壊れた?
<<危険表示停止して>>
<<(ぴろろん)>>
<<危険表示機能停止>>
直った。
っていうか、なんなの?
まさか、目に見えない微小な生物が蔓延しているの?
あ……。
ひょっとして、酸素とか窒素みたいな元素レベルで反応してる?
とすると、危険表示機能には条件付けが必要だね。
【生き物で自分に危害を加えることが可能な物】
たぶん、これだけでは不十分で、まだ微生物や昆虫の類まで引っかかるね。
次に危害の程度を定義すれば検知範囲は絞られそう。
【私の体に怪我を負わせて、その怪我が数日以内の自己修復機能で回復不能な程度以上の危害】
よし。
<<今つぶやいた二つの条件を満たす生物の位置を表示して>>
<<(ぴろろん)>>
<<マーカーを3段階で表示。
青=数日以内に回復可能。
黄=欠損、修復不可能だが生命の持続は可能。
赤=蘇生不可能>>
やるね。
周囲にぽつぽつ青い表示があるだけ。
怪我は負うけど、回復不能や致命的な傷は負わないで済みそう。
毒虫ぐらいはいるかもしれないけど、それでも致死性の毒は無いってことかな。
次は服の入手だよね。
どうやったらその情報を得られるかな?
<<この世界で、私が着て、この森の中の道を歩いていても、出会った人に違和感を与えない服を探して>>
<<(ぴろろん)>>
<<該当する情報が見つかりません>>
う……。根性なし。
いや、多分尋ね方が悪いんだ。
対話のコツを掴むのに苦労しそうだね。
<<この世界で、私が着て、この森の中の道を歩いていても、出会った人に違和感を与えない服はどのような種類があるか>>
<<(ぴろろん)>>
<<中世ヨーロッパの冒険者、村人の服装をイメージしてください。
天然繊維による生地または皮革製品で構成された衣服になります。
装飾面での効能はなく、あくまで耐久性、安価に製造可能、といった機能重視の衣服になります。
貫頭衣、チュニック、腰ひも、ズボン。旅人はサンダルまたは革袋の様な靴を履きます>>
なるほど。
これらを手に入れれば良いと。
それなら発想の逆転を仕掛けてみる。
<<私の今の恰好をみて、違和感があっても、驚かずに話を聞いてくれる人、またはその人物の住処を表示して>>
流石に無理かな?
<<(ぴろろん)>>
<<此処から徒歩圏内の該当人物を青○で、住居を緑矢印で表示します>>
え?なんで?
服は見つからないのに、人や家が見つかるの?
青○と緑矢印が重なっているから、そこにいけばいいよね。
なんか、話がうますぎる……。
異世界から来た、不思議な格好をした人を受け入れられるか?
自分だったら、パニックになるか、コミュニケーションを試みる。もし話が通じたとしてもいろいろ質問攻めにしちゃう……。
意味がわからな……。
あ、分かったかも!
<<この世界には、私のように転移または転生してくる人型の生物がいますか?>>
<<(ぴろろん)>>
<<居ます>>
よしきた!
私のような人が居て、慣れてるんだ。
きっと。
<<この世界には、私のように転移または転生してくる生物が多くて、元からの住人も驚かずに相手をしてくれる理解で良いですね?>>
<<(ぴろろん)>>
<<多くありません。元からの住人は貴方の恰好をみて、普通のコミュニケーションをとらないです>>
あ……。
ああ??
あ~~。
「あ」ばっかりだ……。
でも、分かった。
森の中の一軒家で、普通は驚くのに驚かない人物。
それは!
<<今ガイドに表示されている青○の人物は、元は異世界から来た人ですね?あるいは、過去に異世界から来た人を世話した経験がある人>>
<<(ぴろろん)>>
<<異世界から来た人でも、異世界から来た人を世話した人でもありません>>
むかっ!
当たらん!なんか、禅問答みたいな、なぞなぞみたいな、連想ゲームみたいな……。
悔しいけど、先を急ぐから答えを聞こう。
そうしよう!
<<今ガイドに表示されている青○の人物の判る情報を全て教えて>>
<<(ぴろろん)>>
<<当該データは登録されていません>>
お~い~!
なんなわけ?いじわるなわけ?私がバカなわけ?
一応確認しておくか……。
<<そこの青○の人はさ、私を転移させてくれた人?>>
<<(ぴろろん)>>
<<青○は質問の該当する主神と異なります。主神のデータは登録されています>>
うむ。
なんか、分かってきたよ。
このナビゲーターみたいなものは、主神のもつデータベースに登録された情報へアクセスして、私の問い合わせ内容が登録されている場合のみ回答が出せる。で、青○の人は登録されていないのだから、過去にデータベースに残る行動を起こしてない。
じゃぁ、私が実際に会って、情報を取り出すことができれば、その人物に関する情報を元にデータベースの過去の記録とリンクさせることができるかもしれないね。
この森の中からの直線距離が約1km。
迷うことは無いから、30分ぐらい進めば到着するかな?
よし、行ってみて、遠巻きに観察だよ!
文体などの修正をしました。本筋に影響する内容の変更はありません。