36.竈(かまど)を作ろう(4)
粘土さえ集まれば、竈に着手してもらえる。
そしたら、次のことに手を付けられるね。
「あ、あ、あ、おねえちゃんダメ!
こんな狭いところに、硬くて長いの入れないで!
あ、ああ~~。
す、すぐに、次いくの!?
だ、だ、だめ~。
疲れてきて合わせられない。
別々に2本も入れないで、
あ、ああ、あ~~。
中で擦れてる、こわれちゃう~~~!」
「ユッカちゃん?」
「うん?」
「激しすぎない?」
「おねえちゃんが悪いんでしょ……。
ちっとも、楽しくなんかないんだから!」
「私は、長い麻袋に粘土を詰め込んで、
それをランドセルに入れてるだけだからね?」
「わたしも、カバンが壊れちゃうと嫌だから、
そんな風に入れないでって。」
そうだよね。なんかね?
いや、何でもない。
ーーーー
昨日は早速サンプルの粘土を竈職人に渡してOKをもらったよ。
重い思いした斧とこん棒は良くわからないから宿屋に置いてきた。
今朝は、パンを焼いて、市場で麻袋をたくさん買って、さっそく粘土を採取してるんだけど、ユッカちゃんが誤解のあるような声で泣く。周りに人がいなくて良かったよ。
これ、結構時間がかかるね。
ちゃんと、麻袋に番号を振って、何番を誰が入れたか覚えて、とか考えていたんだけど。そもそも細い麻袋に粘土を入れる時点で効率が悪い。
カバンが壊れてもなんだし、戻って馬車を借りてこようね。
ーーーーー
街に戻り、馬車を借りる手続きをしているとき、ユッカちゃんが襲われた。
襲われたといっても、首から下げた小さい魔石の袋を奪われただけ。
カバンの秘密とかばれてないせいか、狙われなかったし!ユッカちゃん自身にも怪我がないから、物取りだけみたいだね。
こんな小さい子にピンポイントで仕掛けるとかちょっと嫌な感じ。ちょっと警戒が甘かったかな・・。
それ以外大きな問題も無く、竈屋の主人にショベルを2本借りて、粘土をとってくると伝えた。
借りた馬車は1台。
馬車の動かし方を知らないから、御者も借りることにした。
2日間で小金貨5枚だって。
ま、いっか。
1日1回、馬車一杯分。
御者は見てるだけ。
いや、いいんだけどね。
女の子二人が一生懸命汗だくになって、粘土を積んでる訳よ。
御者が仕事とは言え、なんか、こう、もうちょっとね?
美味しいパンとか狩りたての獣肉は分けてあげない。
夕方、竈屋の主人に粘土を持って帰ると、
こんどはこんなことを言われた。
「粘土はオッケーだから設計と組付けの相談に入ろう。納期は?」
「1週間くらいを希望します。」
「煉瓦が焼きあがっていれば、できるだろう。ただ、煉瓦焼いてからの組み上げ作業だから、その分時間が余計にかかるんだが。お嬢さんたちが煉瓦を焼くのも手伝ってくれるのかい?焼くための燃料も必要だ。」
「必要な煉瓦の数と、焼き時間の目安を教えてください。」
「煉瓦の数は煙突まで含めて500個ってところか。普通の石窯で6時間も焼けば十分だろう。粘土は今日運んできたのをそのままでいいぞ。」
「煉瓦を持ち込みの場合、竈製作費用から割引してもらえるんですよね?」
「ああ、手伝ってくれるならな。」
「煉瓦500個と目地材の材料費を除いて、設計から組付けでいくらぐらい必要ですか?」
「材料費がほとんどタダだから、小金貨15枚ってところか」
「手付で小金貨5枚、最後引き渡しで金貨1枚。煉瓦が500個集まってから1週間で良いですね?」
「いいだろう。」
ーーーー
「ユッカちゃん、大変だ」
「煉瓦焼くの?」
「焼いた煉瓦をここに運んでこないと。」
「竈ができない?」
「竈ができないと、パン焼く量がこなせない」
「砂糖の冒険の出発が遅くなる?」
「遅くしたくないよね?」
「おねえちゃん、大変!」
天然酵母は毎日分仕込んであるので、
鍋焼きパンのレシピだけ教えてくる。
天然酵母が増やせそうなら、てきとうに増やしてとも頼んだ。
焼いたパンは、レナードさんの所に門番に配達するようにも頼んだ。
これで一応は、レナードさんとの約束を守りつつ、
宿屋の立て直しに進めるはず。
とにかく、今は煉瓦を作らないと⋯⋯。
馬車の明日の分はキャンセルした。
夜になっちゃったけど、ユッカちゃんと街をでる。
食料は狩りして肉で補う。
睡眠は疲れたら適当にとることにした。
バラバラに寝るにしても、
もう、周りには魔物も獣もいないから安全確認不要だね。
必要な作業は、
・石の窯を組む
・粘土で煉瓦の形を作る
・竈に入れて焼くための木材をきりだす。
これをユッカちゃんと分担してこなす。
二人でエーテルさんの力をフルに活用して仕事をこなす。
石を運んできて、かまどを作るのは私がやった。
一基で50個並べるのがやっとだ。
これは、追加で石窯つくらないと不味いね。
朝までに、石窯の形、煉瓦の形、薪拾いが終わった。
ここから火入れ、生煉瓦の感想、生木からの薪づくりをする。
なんか、こう、陶芸職人とかこういうのからやるのかね?
「ユッカちゃん、最初はゆっくり焼締めないと不味いから
火入れをしたらちょっと休もう。」
「わかった。起きたら、続きだね?」
「うん」
想像以上に作業は早く進んだ。
昼までに、50個の投入ができた。
その煉瓦を焼いてる間にも、煉瓦の形づくりと乾燥を進める。
夕方からは追加で100個は投入できるはず。
そしたらまた休憩できるね。
6時間経って、最初の50個をとりだしたんだけど結構壊れてる。
粘土を練り込む段階での乾燥が不十分だったり、空気がはいっちゃったんだろうね。
う~ん。ちょっと追加で焼かないとダメかな⋯⋯。
「ユッカちゃん、粘土から煉瓦の形を作る時に良く練って、空気や水分をなるべく残さない方がいいかも。
エーテルさんに協力してもらった方が煉瓦の完成確率がよくなると思うよ」
「おっけ~」
最初の150個は6割ぐらい失敗した。結構ダメだったね。
次からの100個ずつは、ほとんど失敗しなかった。
エーテルさん、こういう所でも効果がでるんだね。
そんな調子で、煉瓦を焼きに来てから2日間ほどで500個完成。
朝まで時間があるってことで、調子にのってもう200個ほど焼いた。
へろへろになったね。
煉瓦700個は番号を付けてあった。
最初の失敗のもあるから、通し番号は750まできてた。
これを番号を数えながら私がユッカちゃんのカバンに入れていく。
宿屋に帰ったら、こっそりカバンから出してしまおう⋯⋯。
朝、街の門番が門を開けてくれたら街に帰る。
そして、竈職人さんへ連絡だ。
なんか、すごい疲れたけど達成感あるね~
さ、ユッカちゃんとお昼寝でもしよっかな。
誤字などの修正のみです。本ストーリーへの影響はありません。




