5-12.婚約の儀(1)
「おねえちゃん、おはよ。」
うん?
ここは、関所の寝室じゃない。
ユッカちゃんの声がするのはオカシイ。
あ、王子が声色を真似してる?
でも、なんか<タコ丸(改)>の少し香ばしい香りがする。
返事もせずに、のそっと起き上がると、そこには<タコ丸(改)>をお皿に載せたユッカちゃんがいた。
「あ、ユッカちゃんおはよ。王子はどうしたの?」
「<タコ丸>を作ってるよ。」
「でも、そこにあるでしょ。」
「私が作って、冷めたからゴードンさんに揚げなおして貰った。」
「そっか。貰っても良い?」
「うん。そっちの台の上で一緒に食べよ。」
妙に御淑やかなユッカちゃんに起こされて、
王子がいない寝室で二人で朝ごはんのタコ丸を食べ始める。
「ユッカちゃん、みんなはどうしてるの?」
「タコ丸を作ってる」
「でも、ユッカちゃんが作ってくれたんでしょ。王様も喜んだんじゃない?」
「普通のタコ丸は練習しなくても作れたの。王子もそれを持って行ったの。」
「うんうん。それで?」
「前夜祭の露店で作った、<神速タコ丸>をつくることになったの。」
「そんなの必要ないでしょ。」
「王子はおねえちゃんにショックを受けてて、『俺もヒカリと同じことができるようになりたい』って、私が教えることになったの」
「同じことなんて出来なくていいのにね。」
「みんなが止めたんだけど、『見本を見せるだけで良いから』って言われて、<神速タコ丸>を作って見せてあげたの。コンロは露店で使った特別なコンロがあったから大丈夫だったよ。」
「ユッカちゃん、朝から余計なことさせてごめんね。」
「見てたみんなが『お~。私もやる!』みたいな事言って、真似し始めたんだけど、私とクロ先生しか完成しなかったの。」
「う~ん。ステラ、ニーニャ、アリアは難しいかもね。マリア様とかフウマなら出来そう。」
「マリア様は『ヒカリさんに何させてるの!』って、王様を叱りにどこかに行っちゃった。フウマ兄ちゃんは、<追加のタコ>を獲りに行ってるよ。まだ帰ってきてないみたい。」
「そんな大事件を知らずに私は寝てたの?」
「みんなが、『疲れてるだろうから起こすな』って。もう、お昼だからゴードンさんに頼んで沢山ある冷めたタコ丸を温め直して貰ったんだよ。」
「ユッカちゃん、いろいろありがとうね。でも、どうして元気が無いの?」
「『人間じゃない』って。『あんなこと普通の人間には出来ない』って、言われたの。」
「誰がそんなこと言ったの?」
「調理場にいた人達。」
「王子とか領地のメンバーも?」
「ううん。料理する人とか、お部屋へ案内してくれるメイドさん」
「ああ、ユッカちゃん、気にしないで良いよ。分かってくれてる人がいるならそれで良いんじゃないかな。」
「そうなの?」
「夕食会のメンバーは、ユッカちゃんを一人の人として尊重してくれてるから、そういうことを言わないし、得意不得意があるから、その個性も尊重してくれる。
でもね?知らない人からみたら<普通じゃない>って思われても仕方ないよ。
関所でやった<力試し大会>も領民の優勝者より遥かに凄い記録を出してたでしょ?
あの、関所の力試しの優勝者も<普通じゃない>って思われてるんだもん。」
「優勝した人達は一生懸命努力して、技を磨いていたから凄いことが出来ると思う。」
「うん。そうだね。
リチャード王子も一生懸命努力して<神速タコ丸>を極めようとしてるんでしょ?」
「うん。でも、そろそろ材料のタコが無くなって、練習出来ないの。」
「フウマが戻って来るまで、ウインナーとか、チーズでも似た様なのはできるよ。タコと違って汁が出ないから、温度調整が少し違うけどね。」
「タコの入ってないタコ丸は、タコ丸じゃないよ。」
「練習するなら、同じようなことができるってことで、<ウインナー丸>でも<チーズ丸>でもいいよ。」
「じゃ、お姉ちゃんも一緒に練習しに行こう!」
「うん、じゃ、このお皿を片付けに行こうか。」
ーーーー
ゴードンと王子と後片付け役の人達が何人かいる調理場に戻ると、なんか火事でも起きたのかってぐらいに、偉い状況になってるのね。
焦げた<タコ丸>や生のドロドロの液状のが飛散してたり、とにかく、調理場がぐちゃぐちゃな訳。
明日の準備もあるだろうに、みんな大変だよ。誰かが止めれば良いのに。
「みんな、おはよ~。遅くまで寝てました。」
「ヒカリさん、おはようございます。」と、ゴードン。
「ヒカリ、もうちょっと待ってろ。もうすぐできるはずなんだ」と、王子。
他のメイドや執事の皆さんはタコ丸の材料作りや清掃作業を一旦中止して、私の方に顔を向けて「おはようございます」と挨拶をすると、元の作業に戻った。
「王子さ、努力は認めるけど、このゴミだらけの状態はどうするの?材料も勿体ないし。」
「ああ、材料のタコも無くなるし、そろそろ休憩にするか。」
「そういう問題じゃなくてさ。それにフウマはまだ帰って来ないの?」
「あ?ああ・・・。そうだな。」
「いつ頃出発した?」
「ユッカちゃんに<神速タコ丸>を作って貰った頃だから、朝ごはんの前後だ。」
「ゴードン、何時間ぐらい経過してる?」
「そろそろ5時間ぐらいになろうかと思われます」
ゴードンは流石ゴードンだね。時計と時間に対する感覚が身に付き始めてるよ。
それにしても5時間は遅い。
海まで直線距離で50km。タコを索敵して凍らせるのに30分として、2時間半もあれば帰って来れる。
何かでトラブルに遭ったね。
<<フウマ、いまどこ?>>
<<姉さん、タコを王子に・・・。>>
<<今、どこ!>>
<<ちょっと、森で飛べなくなって、タコを凍らせてる。>>
<<凍らせなくて良いから、飛んで帰ってきて!!>>
<<凍らせて待ってるから、タコだけ取りに助けに来てくれるかな・・・。
役立たずな弟でごめん。>>
なにこれ、凄い危険な状態でしょ。
身体強化使えて、飛竜の血まで飲んでるのに飛べないとか無いよ。
<<助けに行くから場所を教えて>>
<<ああ、ここに姉さんの領地マーカー・・・。>>
<<妖精の長達、飛べる人はフウマの捜索に付き合って。光学迷彩と索敵を併用して。
ウンディーネとステラは残ったメンバーと救急処置の準備。温かいお湯とかも必要かも。みんな、悪いけど緊急で手伝って。>>
<<ハイ(ALL)>>
「ユッカちゃん、ちょっと散歩しにいこう。」
「うん。」
「王子、散歩がてらフウマの様子見てくる。」
「ああ、判った。重そうなら運ぶの手伝ってあげてくれるか?」
「うん。王子もほどほどにして、片付けておいてね。」
ーーーー
<<みんな、索敵でフウマが見つかるか不明。
人間を探すより、私の領地マーカーか、特異な凍結してる場所を探す方が早いかも。
場所はここと海の間のどこかの森の中。
直線的に飛んでるか判らないし、領地マーカーを描けたかも不明。
一生懸命タコを凍らせてるみたいだから、凍傷の危険もあるよ。
近づいて触る時に、こっちの皮膚が固着して剥がれるかもしれないから注意。
フウマ本体も凍傷を起こしてるなら、先ずは冷たい水から徐々に温めてあげる必要がある。
なんとなくOK?>>
<<了解>>
<<ナビ、フウマの現在位置を特定する方法はあるかな?>>
<<人の居ない場所では、主神の探査センサーの設置密度と、情報更新頻度が低いため、ヒカリの要望するデータは検索しても入手出来ない可能性が高いです。>>
<<森の中で大型タコぐらいの大きさの物体の氷点以下に凍っている物体を探すことは可能?>>
<<サーモグラフィーでしょうか?>>
<<それの低温度レンジでの探査>>
<<そのようにエーテルに波を送りましたか?>>
<<ナビ、ありがとう。やってみる>>
出来る、出来ないの問題じゃないよね。
上空から海の方角に向けて、先ずは領地マーカーの探索をする。
関所の方角で私の領地マーカーはあるけど、森の途中で不連続な点は見つからない。
とすると、森の中で領地マーカーが描けずに力尽きたのか、関所付近の領地内でマーカーを描いているのかその差すら判らないね。
<<モリス、朝からごめん。ちょっといい?>>
<<ヒカリ様、新年あけましておめでとうございます。今年も謹んで喜びの年となりますよう、心から願う次第です。>>
<<モリス、新年の挨拶してなくてごめん。そのことは後で詫びます。緊急事態。フウマを見失った。>>
<<フウマさんなら、今朝方、木箱を取りに来られましたが?>>
<<タコを獲りに行ったらしい。それを入れる箱だと思う。>>
<<まだ、お帰りにならないので?>>
<<森の何処かで墜落して、瀕死状態。領地マーカーで目印を描いてくれようとして<念話>が途絶えた。空も飛べてない>>
<<ヒカリ様、新しい領地マーカーの記録はございませんか?>>
<<あ!そっち確認する。無かったら本当に人海戦術になるかも>>
<<私は空を飛べませぬ故、協力できることが限られていますが、なんなりとご指示下さい>>
<<モリス、ありがとうね。また後でね>>
そっか、領地マーカーの特性を忘れていたよ。
<<ナビ、私の領地マーカーの設置記録は出せる?>>
<<9月にロメリオ王国の山脈付近で3つ。12月に農地部分の拡張で東方向へ100kmほど拡張されています。海と王宮を結ぶ森の中で新規マーカーの設置はございません>>
<<ありがと。>>
フウマは領地マーカーを描けなかったか。
待って?
ひょっとして、念写でなくて、従来通りに手とか棒で描こうとして、手が凍ってて掛けないって思いこんでる?
<<フウマ、返事要らないから、最後の力振り絞って、無詠唱で<領地マーカー>設置して。<念話>の練習するときにやった方法で!>>
<<・・・。>>
うん、まだ生きてる。
返事はないけど大丈夫。
<<ヒカリ、領地マーカーが今現在設置されました>>と、ナビから通信が入る。
<<うん。私にも領主へのマーカー設置案内が届いた。右目の視界に場所を教えて。>>
<<みんな、フウマが領地マーカーの設置に成功。領地マーカーのアクセスが出来る人は直接向かって。判らない人は私の後から付いてきて。>>
<<了解(ALL)>>
ーーーー
って、ナビゲーションに従って森の上空を飛んでいると、フウマが居るマーカー付近が辺りが数mの球状に雪というか、霜というかが貼りついて白くなってるし。
これなら温度変化で探査しても確認できるレベルだよ。
フウマは何やっちゃってるんだ?
タコを融かさないように、一生懸命冷やしてる?
「フウマ、みんな来たよ」
「姉さん、ありがと。タコを・・・。」
って意識を失っちゃったね。フウマよく頑張ったよ。
自分に断熱の油脂コーティングをかけてからフウマを抱き上げる。
だけど、タコを入れた木箱と手が凍って固着してて、持ち上げられない。
挙句、木箱は地面というか周囲と完全に一体化して凍り付いてる。
仕方ないから木箱側を温めて氷を溶かして、フウマの手から離す。
「みんな、フウマは私が運ぶ。手が空くひとは、そこの木箱を持って帰ってくれるかな。私の弟が迷惑をかけて申し訳ないです。」
「了解(ALL)」
妖精の長のクロ先生、ラナちゃん、シルフ、そしてユッカちゃんの4人で木箱をゴソゴソと動かし始めたの確認して、私はフウマにも私の油脂成分でコーティングをかけて、硬化させてから高速で飛行する。昨日の高速飛行が良い練習になって良かったよ。
<<ステラ、ウンディーネ、フウマは発見できた。今、王宮に向かってる。大騒ぎにならないように、私と王子の寝室に窓から侵入する予定。あそこにはお風呂もあったから、そこへ救護場所を移したい。>>
<<了解>>
ーーーー
まぁ、ヘリコプターより速いし、フウマ自体が<身体強化>と<飛竜の血>を飲んでるから、普通な山岳遭難者よりは凍死するリスクは少ないだろうけど、問題は凍傷を起点とする壊死が発生しないかだね。
関所へ木箱を取りに行ったりといった移動時間があったなら、凍結して墜落してから、そんなに経過してないと思うけど、周囲が氷結するレベルで凍結の魔術を駆使してたから、何度ぐらいの温度に晒されていたかも凍傷の進行度合いと関係するだろうね。
どんな具合なのかはみんなに見て貰わないと判らないね。
王宮の寝室の窓から侵入すると、ステラとウンディーネの前に降ろした。
シズクさんは王宮の王様たちが居る部屋の近くの部屋に割り当てられたらしく、大事にならないようにまだ連絡をしてないって。
アリアとニーニャはいきなり全員いなくなると不穏な気配を察知されるってことで、<情報操作>側で動いてくれてるらしい。
ラナちゃんとユッカちゃん、シルフはタコの運搬をお願いして、ルシャナ様とクロ先生は私の寝室に入ってきて貰った。
「みんな。フウマは多分魔力切れと意識を失っているだけだと思う。けれど、この凍結した部分と凍傷は治療を間違えると壊死して、二度と戻らなくなる。
命が助かっただけでも喜ぶべきだけど、できれば五体満足に回復させてあげたい。」
「了解!」
基本的には水→ぬるま湯の順番に体を温めていくんだけど、指先とか紫色に変色している部分をどうするかって話と、意識を失ってるから体力回復のための薬剤を経口投与出来ないってことかな。<点滴>みたいな技術があれば、いろいろ栄養補給も進んで体の回復も早いんだろうけど、無菌状態の注射針と点滴器具とかこの世界じゃちょっと用意できるもんじゃないよね。
「ヒカリさん、細胞の破壊が進んでいます。毛細血管が壊死をおこしています。」と、クロ先生
「どうしよう?」
「太めの血管が通っている部分は壊死が起きていませんので、そこは欠損しませんが、指先の細い血管しかない部分は、交換か再生するしかありません。」
「なんとかならない?」
「本人の体力の回復によって、自己再生能力の向上を促進させることでしょうか。
死滅していくより再生速度が上回れば、皮膚が脱皮するようにして新しい細胞に置き換わります。」
「何ができる?」
「細胞レベルでのアクセスは禁忌の類であり、大航海の火山の島の住人を治療したような<脳内の水銀除去>と同レベルの処置が必要になります。
ですが、フウマ様の体力と意識が回復できれば、ご自身の<身体強化>の能力によって、血行を良くすれば再生可能と思われます。」
「ステラ、人間の力で外部から<身体強化>をかけて、血行を良くすることはできないかな?」
「ヒカリさん、私はやったことはありませんわ。ですが、大航海の最中に神器をニーニャさんへ専属化するときに、印を通して魔力の注入ができましたわ。
あれを応用することはできないかしら?」
「リチャード王子を治療するときに、肺に細かな魔石を挿入して、そこから肺を活性化させて、肺内の病巣を外部に吐き出させることには成功したよ。」
「でしたら、私が魔力を注入しますわ。ヒカリさんがエーテルと同じ感覚でその魔力の流れを身体強化の要領でフウマさんの体内を循環させてあげれば上手くいくかもしれませんわ。」
「フウマが意識を失ってても、<魔力の注入>とか<身体強化>とかできるの?」
「私の方は印を描かせて貰えれば出来ますわ。けれど、それをちゃんと流せないと魔力はそこに滞留するだけで、それ以上注入できませんわ」
「わかった。ステラ、ダメもとで右手からやってみよう。
クロ先生、ルシャナ様と連携して、同じ方法で左手に挑戦して貰っても良いですか?」
「「ヒカリさん、了解です」」
みんなの協力の甲斐もあって、壊死を止めることに成功した。
なんかさ、ギプスしてて取り外した後の皮膚みたいにボロボロと垢っていうか粉っていうか、カスみたいのがボロボロ落ちたんだけど、ま、それは大した問題じゃなかったよ。
それより、ナビにフウマの体をスキャンして貰って分かったんだけど、
・肺に海水が入ってる。
・あばら骨の何本かにひびがはいってる。
・腕や足の何か所かの筋が伸びちゃってる。
・タコの吸盤の跡の丸い500円玉ぐらいの痣がいたるところにある。
そういうのを一つずつ丁寧にみんなで治していった。
そっちのがよっぽど手間が掛かったさぁ。
ふぅ、疲れた。
今日は休息日じゃなかったっけ?
ーーーー
「フウマ、気が付いた?」
「あ、姉さん、タコが。」
「タコはもうい良いよ。ユッカちゃん達が木箱を運んでくれた」
「そうか。ありがとう。って、あれ?呼吸が普通にできる。」
「いろいろ治したもん。ちゃんとみんなにお礼を言うんだよ」
「あ、ありがとうっていうか、ここは何処だい?」
「私と王子の寝室。そろそろ散歩から戻らないと王子が訝しむ」
「なんで?」
「あんたがタコ獲って行き倒れになって、死にかけたとか言えないでしょ!明日婚約の儀があるのにさ!」
「姉さん、ごめん。僕なりにがんばったんだけどさ。姉さんやユッカちゃんには敵わないな。」
「対人の戦闘のコツと、海洋生物との有り有りの戦いでは話が変わるからね。元気になったら、皆で調理場に戻ろっか。」
「ハイ。そして、助けてくれた皆様ありがとう。心配とご迷惑をおかけしてすみませんでした」
と、素直に反省しつつ、皆にお礼を言うフウマ。この辺りは好感がもてるよね。
ーーーー
「フウマ遅かったな。ヒカリに手伝って貰ったんだってな。ユッカちゃんがタコを冷蔵庫にいれてくれたから、お礼を言っておくべきだな」
と、何も知らない王子。
「王子、遅くなりました。ヒカリ様に救われました。材料の調達が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。」
「いや、いい。明日の婚約の儀を控えて、あまり夢中になると準備が進まなくなる。ヒカリにも『いい加減にすべき』と、危うく見捨てられるところだった。
ところで、フウマ、なんでそんなに時間がかかるんだ?ヒカリはそれほど待たずに深夜に持ち帰ったぞ。」
「王子でも、私と同程度の時間は必要かと思われます」
「ほぅ、俺への挑戦か?」
「対人スキルや指揮能力では敵いません。
しかし、海洋生物との戦いは不慣れ故、時間が掛かりました。
また、冷凍輸送も普段はヒカリ様かユッカ嬢が担っておりましたので、私はその苦労が分かっておりませんでした。」
「何がそんなに大変なんだ」
「王子が、<俺もタコを獲りに行く>と、言い出さないことを条件にして頂けるのであれば、ご説明させていただきます。」
「それは、こういうことか?おれが<神速タコ丸>の作成に挑戦しなかったら、フウマも苦労せずに済んだということか?」
「<神速タコ丸>は陸上における技の継承の話でございますが、<タコ本体>はそれ以上に困難な為、安易に話題に上げるべき内容ではございません。」
「フウマじゃ話が見えない。ヒカリ、わかるか?」
「婚約の儀が終わったら、皆でタコを獲りに行けば分るよ。」
「海まで何日かかると思ってるんだ?」
「私の領地の関所からすぐだし。<飛行術>使えばすぐだね。目立つから<隠密行動>と併用してね。」
「タコはどうやって探すんだ?」
「<索敵>で、タコを選別するね」
「探すほど息が続かないだろ」
「<身体強化>を使えば10分ぐらい潜っていられるよ」
「タコを倒す道具はあるのか?」
「キュッと〆る」
「なんだ、簡単そうだな」
「そうだね。」
「婚約の儀が終わったら、新しいイベントか。なんだか楽しみだな」
「そうだね。」
今日は休養日だったよね?
なんでこんなことになった?
私が夜中にタコ獲ってきたから?
あのへんてこりんな商人が難癖つけてきたから?
う~ん。もう知らない!
って、ああ、モリスにフウマの無事を連絡しないと!
あと、レイさんやレミさんにも新年の挨拶しないと!
もうね、もうね。
いろいろと領主失格だよ。
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