4-82.大航海の終わりに
よし、お妃様を巻き込むことに成功したよ!
あとはモリスに留守の間の話を聞かないとね。
「モリス、ということで、この先もいろいろあるんだけど、私の補佐をしてもらっても良いですか?とくに、この関所の領地の面倒を見る意味でですけど。」
「ここはヒカリさんの領地ですので、納税が滞らない限りはヒカリさんのものです。
領民はヒカリさんの所で働くことが嫌にならない限りここに留まるでしょう。
ルールはその2つだけです。
尚、ヒカリさんから仰せつかっている内容は以下の通りです
・農地に関して、開墾、移住者、インフラを整えること。
・学術都市の基礎を築くべく、<学校>を作ること
・工業として<毛皮>と<紙漉き>の技術を確立すること
・ヒカリさんの実績について<情報操作>をすること
・小規模な範囲で<ガラス細工><焼き煉瓦>の製造を行うこと
・道を挟んだ向かいに貴族用の別荘地及び宿泊施設をつくること
・ユッカちゃんのご両親のお墓を移したい
その他に私が失念していますことや追加で取り組みたいことが有りましたら指示いただけますでしょうか。」
「モリス、ありがとうね。
いま、お妃様にもアジャニアからのお二人にも状況は教えてある通りなので、<夕食会のメンバー>は公開できない秘密が何であるかは各自で考えて判断してくださいね。ここのメンバーとのお別れになるのは私は嫌だから。
それで、モリスにきいておきたいことがあるのだけど、
道を挟んだ向かいにあるレナードさんの領地に宿泊施設や貴族の別荘を作ることになっているけど、そのための人員はどんな感じ?」
「設計、材料の収集、建築、基本的な設備の設置まではヒカリさんから頂いた私の屋敷と同じレベルでお願いしております。
別荘の維持と運営に関しましては、契約プランを幾つか用意しておりまして、固定の長期契約の方と、1年ごとの更新の方、事前予約した場合に優先的に利用できる共有の別荘とするプランがあります。こちらは契約に応じて住み込みのメイドを派遣させるのか、こちらで手配する形となります。
一方で宿屋に関しましては、レナード様のキリギスの街とも近いことから、キリギスの街から何軒かの旅館を移転させて貰うことで了承を得ております。なにせ、税収の50%はレナード様がお持ちになりますので。
「わかった。お金以外問題がないならそのまま進めて。
次に、学校はどんな様子になってる?」
「やはり、魔術に関して素質のある子はいらっしゃるようで、それは親御さんの職業や身分に関係がありません。この子らの力を伸ばすことができると、この領地の発展が早まると思われますので、魔術の指導を行える先生がいらっしゃると良いかと思います。」
「ステラ、ユッカちゃん、フウマに少し時間を取って貰えれば済む程度なのかな?」
「私は魔術の指導を行ったことがございませんので、その辺りに協力を頂けるのでしたら、通常の読み書き算術の宣誓とご協力頂ければと思います。」
「う~ん。そっか。マリア様も魔術の学校を開校したら、そこへ参加されます?それともステラからプライベートレッスンを受けますか?」
「ヒカリさんの目指す<学校>に興味があるわ。見学しつつ私も勉強に参加させて頂いて、新年の儀に間に合う様に城にに帰れば良いと思うわ。先ずは一ヶ月近くはお試しで参加させて頂いても良いかしら?」
「お妃様、承知しました。<学校>に限らず、何か気になることがありましたらご意見いただければと思います。また、エスティア王国内ではこの関所にある技術や知識は自由に広めて頂いて結構です。」
「ヒカリさん、ありがとうね。でも、まだまだこの関所を発展させるつもりがあるなら貴重な人材を引き抜くことは出来ないわ。城下町から選抜を送り込むことぐらいかしら。」
「お妃様、承知しました。
では、モリス、普通課の先生と面談できる予定を調整してください。それと魔術の素質のある子については、フウマとステラに確認してもらってから、その上で親御さんと面談しましょう。
今までにないことを始めるので悪い噂が立たないように十分に気を付けて行こうね。」
「ヒカリさん、承知しました。」
「うん。次はステラの付き人の子らとウンディーネが取り組んでくれていた<毛皮>の技術と<紙漉き>の技術を教えて。もし知ってたら、架橋地点の<毛織物>の技術も。」
「毛皮と紙漉きは、職を求めてここを訪問された人に加わって頂いているようです。<農地の開拓>よりも手先が器用であることを生かしたい人も居らっしゃるようです。架橋地点に向かわれなかったドワーフの方達と一緒に工房をつくっていますので、いつでも見学と打ち合わせが可能です。」
「じゃ、詳しくは明日からにしよっか。
<毛織物>は何かある?」
「正直申しまして、レイ様からの念話とレミ様からの念話の話題しかありませんので、戻って来られているイワノフか、王子に<飛竜の念話>を介して問い合わせて頂くしかございません。」
「う~ん。なんでレミが出てくるの?治水工事で王子をサポートしてくれてると思ったんだけどさ。」
「山地にヤギを見つけたそうで、このヤギの希少な繊維を使うことで非常に高級な毛織物の生地が作れるとのことです。当然毛糸にして編み物を作成することも可能なのですが、余りも希少価値が高すぎて、<自動織機>とは別の話になりそうです。」
「そっか。高級っていえば、私は新年の儀とか婚約の儀で着る服はどうすれば良いんだろ?王子の誕生会に着ていったのがあれば、それでもいっか。」
「ヒカリさん、婚約の儀には間に合いませんが、結婚の儀にはうちの子らが準備を進めていますので、それをご着用頂けたらと思いますわ」と、ステラ。
「あれ?そういえば私は婚約の儀も結婚の儀も何も準備してないよ。服とか貢物とかどうするの?」
「ヒカリさん、少々宜しいでしょうか?」と、モリス
「はい。」
「本来は王家へ嫁ぐ側が<嫁に貰って頂く>ために、種々貢物を献上する習わしでございます。しかしながら、今回は<情報操作>の意向がございますため、表立ってそのような活動が行えません。」
「そ、そっか。いろいろとごめんなさい。」
「いいえ。そもそも王子の誕生会に出席予定であった王族と御三家は承知しておりますし、財務大臣も代りました。そして、ロメリアが指揮下に入ったことは他の大臣達も承知しておりますので、<何かが変わった>ことは薄々気付かれております。
そのため、<情報操作>が行われていることを詮索せずに胸に納めて頂いてるかと思われます。」
「皆様に感謝だね。」
「それで、<知り合いからの寄贈>という形で、
ステラ様より、ヒカリ様の結婚の儀の衣装を頂けることになりました。併せて王子の衣装も準備頂けるとこの事です。
ニーニャ様より、国王、お妃様、リチャード王子のそれぞれへ剣を一振りずつ献上頂くことになっております。
後援者のベッセル様より、例の大きさの魔石と属性石を合わせて7点献上頂けることになっております。
ロメリアからはランドル様より、毛織物の生地まは衣装の献上がある予定になっております。」
「みんな、すごいね!
モリス、うちは?うちのはないの?」
「ヒカリさん、<情報隠蔽>の根源が何をおっしゃいますか。
ですが、お妃様のご要望もございまして、ゴードン料理長の派遣と、この土地で収穫されたり狩猟される肉類、海鮮類は<冷凍保存>の技術を駆使して王室へ運搬される予定になっております。」
「いや、それはそれで嬉しいんだけど・・・。
モリスだけ活躍してないみたいじゃん!」
「何をおっしゃいますか!
アリアやアルバートと会えて、その教育の機会まで頂けて、親としてこれ以上の何を望むのでしょうか?」
「あ~。そっか。アリアのデビューにしよっか。<ガラス工芸>の第一人者ってことで。結婚の儀迄半年近くあるはずだから、ミチナガ様と一緒になんとかして。
石材はトーマスさん、炉はルシャナ様と相談。人手はメルマ辺りに行って探してきて。」
「ヒカリ様?」
「アリア、お父様の顔を立てられるようにがんばろうね。ガラスはダイヤモンドを使って削ることもできるし、金属を添加して色を付けることもできるんだよ?
そんな凝った容器で結婚式の乾杯とかできたら、凄くない?」
「ヒカリ様、あの、あの、あの・・・。」
「ミチナガ様、おっけー?」
「ヒカリ様、承知しました。アリアを師に仰ぎ、全力で取り組ませて頂きます。細かな相談事はモリス殿に伺えば宜しいでしょうか?」
「あ、ミチナガ様、私の事は今まで通りに<ヒカリ>とか<ヒカリさん>とか、そんなんで良いから。
それにしても流石だよね。状況把握と決断力が素晴らしいよ。アリアの知識や発想力、錬金術に関する腕前も素晴らしいから二人で上手くやってね。困ったことがあれば何でも相談にのるから言ってね。」
「「ハイ」」
「お妃様、モリス、そういうことで宜しいでしょうか?」
「私は別に構わないわよ。何ができてくるか楽しみね。」
「ヒカリ様、そちらの件に関しまして打ち合わせが必要でしたら私も微力ながら手伝わせて頂きたいと思います。」
「ところで、<新年の儀>とか<婚約の儀>ってなにするの?
「ヒカリさん、皆様も旅の疲れがあるかと思いますので、仮の部屋割りが決まりましたので、一旦は解散にして、夕食報告会でも宜しいでしょうか?」
「流石はモリス!じゃ、各自部屋割りと散歩。明日からの準備。夕飯にまた集合ね!」
うん。
なんか、元気出てきた気がするよ!
これにて、<大航海は大成功>ってことでいいよね!
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