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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-79.関所での報告(2)

よし、久しぶりの関所に到着だよ!

「モリス~。ただいま~」

「ヒカリさん、お疲れさまでした。随分とパーティーの構成が変わりましたか?」


「フウマ、皆を紹介してあげてくれる?」

「承知!」


フウマが全員の紹介を終わると、分かれたメンバーの情報も添えてくれた。


「尚、アルバートさんはトレモロさんの元に残っていろいろ経験を積ませて貰うことになりました。ラナちゃんとシルフもナポルの街に残って遊んでいくそうです。

更に、娼館のレイさんはトレモロさんの所へ派遣され、暫くは一緒に行動されますので、ステラ様の飛竜を介して連絡をお取り下さい。

架橋地点の王子とはユッカちゃんの飛竜と連絡をお取り下さい。」


「フウマ様、ご紹介ありがとございました。

今の紹介内容から察するに、<夕食会のメンバー>ということで宜しいでしょうか?」

「はい。大丈夫です。」と、フウマ。


「承知しました。部屋割りなどは後でご相談させて頂くとしまして、ヒカリさんは何から始めたいですか?」

「ん~。お妃様との面会日の約束を取り付けたいです。

それと、ユッカちゃんのご両親のお墓の場所の決定と移設準備。

次に、レナードさんに領地を拝借して、道向かいに貴族の別荘街と一般向け宿泊施設を作りたい。

ここいらの準備が終わったら、領地の中のいろいろな状況報告をしてもらいたいです。」


「先ず、お妃様に関してですが、こちらの別荘に遊びに来ておられます。ヒカリさんの帰還をお待ちしておりますので、今日のご夕食でご一緒できると思います。


次に、ユッカちゃんのご両親のお墓についてですが、候補が2つございまして、森の奥の一般の方が近づきにくい場所として、クロ先生と遭遇された洞窟付近の施設になります。もう一つは街道沿いに集合墓地を設けて、そこへ埋葬する方法がございます。


そして、道向かいのレナード様の領地の借用に関しましては、『好きに使っていい。ただし、徴収した税金は折半とする』とのことです。もう既に関所からイワノフさんと部下の方達が来られておりまして、飛竜族長のヌマ様とご一緒に建築資材の調達と設計が進んでおります。内装と設備は<娼館>や<お妃様の別荘>と同程度でご用意させて頂く予定です。」


「モリス、相変わらずすごいね~。アリア、これが貴方のお父さんの実力だよ。」

「えへへ」と、アリア。可愛いってば。


「じゃ、とりあえず、領主の館の方のこじんまりした食堂に場所を移して、お茶を飲みながらお話をしませんか?」

「ハイ(ALL)」


ーーーー


で、みんなが領主の館の食堂へ移動はじめる。

でも、私とユッカちゃんはゴードンさんのところへ行っちゃうわけ。

もうね、会議そっちのけ。モリスに任せる。


「「ゴードンさ~ん」」


と、ユッカちゃんと声を揃えて呼びかける。


「ヒカリ様、ユッカちゃん、元気にお帰りになられて何よりです。モリスにはお会いになりませんでしたか?」


「会ったよ。こっちの建物の食堂でみんな待ってる。お茶をだれかに頼んで出してあげて。先ずは適当なお菓子でいいと思う。」

「は、はい早速!」


で、ゴードンがテキパキと指示をだしている間に、ユッカちゃんが台所の台の上とか床周りにいろいろなお土産を広げはじめる。

私もこれを自慢したかったんだよね。とくに、<醤油3種セット>これは醤油屋の女将さんに頼んで、接収された物の返品リストから私がちゃんと味見して選んだんだから間違いないね。まして、ユッカちゃんの不思議なカバン入りだもんね。


「ゴードン、お茶の準備が終わったら、生のお魚と、生の牛肉を頂戴。」

「は、はい。もうすぐ終わるので少々おまちください。」


こんどは別のメイドに指示を出して、冷蔵庫に物をとりに行かせてる。きっと、冷蔵庫と輸送時の保冷技術を併用して、海の幸も調達できるようになったのかな?ま、この辺は後で聞いてみよう。


ユッカちゃんはユッカちゃんで、木のお皿を並べて<焼きおにぎり><焼きモロコシ>なんかを並べ始める。流石は不思議なカバン、まだ香ばしい香りと温かさがちゃんと残ってる。


「ヒカリ様、ユッカちゃん、お待たせしました。それでこれは何なんですか?」

「二ヒヒ、ゴードンさんにおみやげ~」って、自慢げに微笑むユッカちゃん。

「私も<醤油>のおみやげ~」


「ヒカリ様、<醤油>を手に入れられたということは、今回の大航海は大成功ということでしょうか?」

「うん。この木の皿にあるのは、醤油で味付けしたユッカちゃんのお気に入りだから、早く味をみてあげて。」


ユッカちゃんが、恐る恐る<焼きおにぎり>に手を伸ばすゴードンをじ~っと見つめる。たしかに、コゲコゲの茶色って物はないしね。なんか香ばしいのだけど、その正体がわからないんじゃ、恐る恐るだよね。


「ヒカリ様、これはどのように食べるのでしょうか?」


と、手を伸ばしつつもナイフもスプーンも使い様がないことで、食べ方を確認することになった模様。


「ああ、手で持ってかぶり付く。だけど、中がまだ熱いかもしれないから火傷には気を付けてね。」

「わ、わかりました。お手本を見せて頂いても構いませんか?」


と、ちょっと躊躇するゴードン。


「いいよ~」


って、ユッカちゃんがお皿の1つを取って、割ってから口に入れ始める。慣れたもんだね。中に熱いのが残ってると火傷しちゃうもんね。

その様子を手元のおにぎりとユッカちゃんの作法をよく見て真似を始めた。


「ユッカちゃん、これを私にお土産として持って帰ってきてくれたのですか?」

「うん!」


っと、驚きを隠せないゴードンに対して満面の笑みで返すユッカちゃん。

そりゃそうだよね~。この香ばしさを香りと味と食感で感じるんだもん。

初めての感覚に驚くし、醤油のアミノ酸は味に深みがあるから、そこいらのスパイスじゃ出せない味だし。


「これも食べて!」


って、皿にある<焼きモロコシ>を指さす。


「はい!是非とも!これはどの様に・・・。」


と、ゴードンが途中で言葉を止める。


「ゴードン、楽しそうね。お茶をするハーブティーが足りないので葉を頂きたいのだけど、宜しいかしら?」


と、お妃様が登場。

ええっと・・・。

私はそ~っと、振り向く。

なんか、私が視界に入っていない?

入っている上で無視されてる?


「お妃様、こ、これはユッカちゃんからのお土産でして、その味見をさせて・・・。」

「ゴードン、今はハーブだけ頂くわ。ヒカリさん会ったら伝えて頂戴。

『挨拶に伺う順番が違うのではないかしら?』って。

頼んだわよ。」


「は、ハイ!」と、ゴードン。


あちゃ~。

怒られる以前のレベルで怒られてるよ。

これ、どうやって挽回すればいいんだか。

だって、モリスが『夕飯でお会いできる』って、言ってたたし。

いやいやいや、言い訳無用だね。

何をもってして、挨拶に伺えば良いか、直ぐに戻って皆と相談だ。


って、頭を下げて素早く部屋を出ようと走ろうとすると、


「そこ!妊婦は走らない!」


って、背後から一喝が届く。

再びお妃様に頭を下げて、早歩きで扉から出た。

皆が集まる食堂に戻って、早速相談だ。


ーーーー


「みんな、ごめん!助けて!」

「ヒカリさん、どうかされましたか?」と、冷静なモリス。


「ユッカちゃんと台所でお土産の食料品を開いていたら、お妃様が突然やってきた!」

「それは災難でしたね。

確かに、今日は皆様の帰還でお妃様付のメイドも忙しかったかもしれません。

お妃様はここでメイドとして働いていましたので、何でも我が家のごとく知り尽くしておりますので・・・。」


「『挨拶に来る順番が違う』って、怒られて気付かないフリされた。」


「ゴードンさんに、お土産を渡している最中ですか?」

「私のというか、ユッカちゃんの<焼きおにぎり>とか<焼きモロコシ>を試食してた最中だった。」


「ひょっとして、ユッカちゃんの鞄から取り出したばかりでしたか。」

「うん。辺りに香ばしい香りが漂っていて、ゴードンが美味しそうに食べてた。私はいたたまれなくなって、逃げ出して来た。」


「お妃様は?」

「ゴードンとユッカちゃんと一緒に置いて逃げてきた。」

「見るからに美味しそうな出来立ての物を試食している最中で、お妃様はユッカちゃんの鞄の秘密を知らずに、挨拶前にその現場で遭遇されたのですね?」


「モリス、どうすればいいの?」

「いくつか方法はあると思うのですが・・・。」


「やっぱり、私が王族のマナーを学ぶところから始めるべき?」

「それも婚約の儀迄には習得すべき事柄として、明日にでも提案させて頂くつもりでしたが・・・。」


「美味しいものを作って、持っていけば良いかな?」

「いや、既にゴードンとユッカちゃんが同席されていれば、その問題は解決済みな訳ですので、今更そこでお詫びをしても根本の問題解決には至りません。」


「どうしよう・・・。」

「あくまで提案になりますが、最後まで聞いて頂けますか?」


「はい。」

「お妃様を<夕食会のメンバー>に加わって貰うというのは如何でしょうか。

どこまで情報を開示するかはともかくとしまして、今回、ヒカリ様のご結婚のための情報操作の関係で、その背景にある<科学教>や<ストレイア帝国>との関係の話も既に伝えてあります。

今後は王子とともに暮らす期間が増えますので、多くの秘密を共有していくことになるかと思います。当然ながら、王族における秘密にもなる訳です。」


「モリス、ええと、ちょっと。」

「何でしょうか?」


「私は何がどこまで秘密なのか、良く判ってない!」

「私の知るところですと、<ラナちゃんの事件>に居合わせた人達は、ほぼ全ての秘密を共有できていると認識しております。」


「あ、あれは不味くない?」

「でしたら、<新規夕食会のメンバー>として、<ユッカちゃんの鞄>は公にするのもありかと思われます。そうすれば、今回の誤解も解けるでしょう。」


「公開してもいいけど、『私もそれが欲しい』って言われるとどうにもならない。私もどうやったらいいのか、サッパリわからない。」

「それは困りましたね。」


「ヒカリさん、ちょっと良いかしら?」と、ステラ。

「ステラ、何かいい考えある?」


「先ず、謝りましょう。それはヒカリさんが悪くなくて、お妃様が勘違いしてるのだとしでもです。そういうものですわ。

次に、正直に経緯をお話しましょう。『皆との夕飯までに料理を準備すべく、ゴードンと打ち合わせをしていた』と。これはお妃様の能力とは関係なく、お互いの信頼関係を保つためですの。

そこで、『着いて間もないのに、熱々の料理があるのは何故?』と、さらに問われたら、正直にユッカちゃんの鞄について答えるのは如何でしょうか。」


「ステラ、ありがとう。先ずは信頼関係を取り戻すための行動だよね。逃げたのは最悪だったかな・・・。」

「最悪というか、チャンスを頂けているだけ、まだ見込みがあるということですわ。」


「わかった。ありがとう。モリス、どこから始めよう?」

「そ、そうですね。先ずは台所にお妃様がいらっしゃれば、そのまま帰還の挨拶に伺いましょうか。正直私の不手際でもあったと自覚しております。申し訳ございません。」


「じゃ、もう一回行ってくる。モリス一緒に来てくれる?みんなは悪いけどここで待ってて。お茶とかお菓子が来ると思うから。」

「ハイ(ALL)」


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