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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-58.仮設住宅


やっと、仮設住宅に取り掛かれるね。

「おねえちゃん、ただいま~。」

「ユッカちゃん、おかえり~。」


ちょうど、武具屋から広場に戻ってきたタイミングでユッカちゃん達一行が見えない丸太を抱えて飛竜ととともに帰ってきた。


「おねえちゃん、どこに置くの?」

「まだ、決まってない。」


「え?」

「ごめん。いろいろ準備してたら時間が掛かった。」


「私に内緒で美味しいものとか、食べてないよね?」

「わ、私は、食べ慣れた物だけかな」


「おねえちゃん、ずるい!船でお留守番!」

「ええ?ちょ、ちょっと待ってね。あそこにいるお母さんなら、何でも作ってくれる。あと、お茶屋のお兄さんが<お煎餅>と<焼きモロコシ>持ってる!」


「私も食べていいの?」

「ユッカちゃんの分もあるはず。ラナちゃんと一緒に食べるといいよ。」


<<飛竜のタカさん、アリアは一旦そこの瓦礫置き場に丸太を降ろしてくださいな。光学迷彩は私が解除しにいきます。>>

<<了解(2人)>>


「ルシャナ様は、ユッカちゃんとアリアとラナちゃんのご飯とおやつの準備をお願いします。お茶屋のお兄さんと食事を作ってくれてるお母さんに頼んでみて下さいな。それが終わったらお茶屋のお兄さんと征夷大将軍と打ち合わせをしたいと伝えてくださいない。」

「承知しました。」


「ニーニャは、ドワーフさん達と道具の製作に取り掛かってください。」

「分かったんだぞ。斧は誰も持てないだろうから調理場の隅に置いておくんだぞ。」

「うん、お願いね。」


「ステラは何する?アリアも連れて来るけど。」

「私はご飯を作ったり、薬草で治療をしたりは出来ますが、それ以外の建築工事となりますと、皆様にお任せした方が良さそうですわ。」

「うん。そうだよね。ちょっと、アリアも連れてくる。」


瓦礫置き場に行って、タカさんにお礼を言いつつ、ご飯は自力で狩りして貰うことで勘弁して貰った。<お煎餅>は何枚か渡しておいたけど、甘味がないせいか反応は無かったよ。

タカさんへのお礼を終えてから、アリアの<光学迷彩>を解除して、広場の所まで連れてくる。


「ええと、アリアはご飯は食べたのかな?」

「ユッカちゃんに、新鮮なお肉に塩味を付けた物を頂きました。」

「一応、それで足りてるってことで良い?」

「はい。特に問題ありません。皆様がまだでしたら、ご一緒しても構いません。」

「ステラはさっき、魔力使ってたけど大丈夫なのかな?」

「特に問題ありませんわ。」


「そう。じゃ、3人で出来ること考えよっか。<技術視察>ぐらいしかない気がするけど、そういうことすると、他の人に怒られる気がするんだよね。」


「私達二人は、調理場の支援をしつつ、こちらの料理を勉強しますので、ヒカリさんはルシャナ様とご一緒に行動されたら如何でしょうか?」とステラ。

「アリアもそれで良い?」

「ヒカリ様の好きなように命じてください。ただ、できれば<技術視察>は、私も声を掛けて頂けますと有難いです。」

「うん。それは大丈夫。じゃ、手分けして行動しよっか。」

「ハイ(2人)」


ーーーー


仮設住宅の基本はインフラが整備されていて、寝食ができること。でも、その復興に時間がかかることが想定される場合には、そこからの就職とか就学が可能な範囲である必要があるね。

当座の生活支援は寄付で何とかして貰うとしても、自立して生活してもらうまでが復興になるだろうからね。


とすると、既存の漁業に準ずる内容で復興できる必要があるから、海の傍が良いんだろうね。もし、本当の自然災害の津波が来ると怖いから高台で我慢して貰おう。

その分、水の便は水車や風車を利用して汲み上げられる仕組みにしておくか、かなり上流から水道トンネルを通しておくといいね。


船を出せるようになるまでは、港の整備と船の建造支援かな。そのあとは、各自の住宅を好きなように改築してもらうってことで。


魔石無しで稼働できる大型冷蔵庫は国家機密だから、どうしようかな。魔石必要有りか宮廷魔術師による氷精製が必要なタイプの技術なら提供してもいいかな。やっぱり、冷蔵庫による保存は細菌の発生を抑制できるから、食中毒も起こし難いし、不漁での食料の安定供給にも役立つからね。

この辺りは火山の島の住人さんを移住させて貰う担保として寄付するかなぁ。そもそそも論でいうと、水銀採掘して公害を垂れ流したアジャニアが悪いんだけど、そのことを今のアジャニアの科学では理解もされないだろうし。

ま、この辺りは交渉のアイテムとして取っておこう。


「ルシャナ様、今回の被災者の数と、それに見合った仮設住宅の必要な世帯数を割り出して貰えますか。それが既に終わっていたら、平均的な個別住宅に必要な面積。この際、最低限の通路や洗濯以外に必要な空間は我慢して貰う方向で。

その面積が求まったら、高台でニーニャ達が水路を引けそうな場所の確保。

さらには、火山の島から来た人達も隣接区域に村を作成してあげたい。」

「承知しました。」


「そこの大体の敷地が決まったら、ニーニャ達に水路の設計をしてもらう。材料は木材を中心に、ステラのコーティングで賄う方向。

区画割と水路、通路が完成したら、個別に住宅用の資材を配布するので、そこからは人海戦術。避難民、火山島から来た人、航海士さんたち。基本、うちの船の人達は公共設備や資材運搬の裏方に回ってもらって。個別住宅や境界線、どの割り振りにはいるかの抽選会とかに関わると時間が足りないから。」

「承知しました。」


「じゃ、私は裏方に入るので、ステラとアリアの手伝いしてくるね。それと、ルシャナ様の手が空いたら、道具屋の精算を確認しに行ってもらいたいの。彼らも精算できなくて困ってるから。」

「承知しました。」


「ルシャナ様、いろいろありがとうございます。」

「いえいえ。お安い御用ですわ。」


ーーーー


<<フウマ、今大丈夫かな?>>

<<姉さん、派手に動き過ぎだよ>>


<<え?なにが?>>

<<<異国の冒険者一行>が突然現れて、街の経済が混乱してる。>>


<<フウマが良いって言ったし。>>

<<『災害復興のために、魔石を供給する』って話までは聞いてる。>>


<<うん。金貨800枚分を供給したよ。別に良いでしょ。>>

<<被災地の集会所の広場に、水を供給するタンクを設置したよね。それも無償で。>>


<<うん。魔石を消費させたら悪いから、ステラの妖精の子にお願いしてる。船で帰るときは返してもらうけどね。>>

<<それは聞いて無いよ。というか、それはあまり関係ないか。>>


<<関係ないでしょ。フウマに言ってる範囲だよ。>>

<<魔道具屋の組合が政府に借金と魔石買い取りを依頼しに来た。これは姉さんたちのせいじゃないの?>>


<<金貨800枚が組合の全財産ぽかった。>>

<<今回の復興と、その財源を組合は全部放出したので、お金も売る物も無くなったらしいよ。>>


<<いやいや。それ、私のせいじゃないでしょ。>>

<<『大波の災害後に、ムサシ様が現れた』ってことで、街を上げてムサシ様の指示に従ってるみたいだよ。姉さんが船で待ちぼうけを喰らってる間に、ムサシ様が復興初期の指揮を執ったらしくて、その噂が町中で広まったらしい。>>


<<それ、やっぱり、私のせいじゃないよね?>>

<<魔道具組合に金貨を多少は返せないかな?>>


<<ええ~~~?何言ってるの?向こうが買ってくれたんだし。>>

<<政府としても、魔道具組合がそこまで全力で復興支援するとは思ってなかったのと、魔石購入代金として金貨800枚はストックが無かったんだって。>>


<<それって、どういうこと?>>

<<政府が魔道組合の支援する予算が無いってこと>>


<<それは、政府の予算組が不適切なのか、復興指揮をしたムサシ様が悪いのであって、魔石を売った人にイチャモン付けるのは良くないよ。>>

<<姉さんが経済を混乱させるほどの魔石を供給したからだろ?>>

<<売ったのはルシャナ様だし、生成したのはみんなでやったよ。私だけじゃないし。っていうか、フウマに確認とったんだから、フウマが何とかしなよ。>>


<<ごめん。魔石の件はトレモロ様とムサシ様とで調整してもらうよ。

次に、道具屋の件なんだけどさ。高価な収集品と一緒に上級迷宮の地図も売ろうとしたって?>>


<<お小遣いが無かったから。>>

<<属性石を売ったんでしょ?金貨が沢山あるでしょ?>>


<<金貨は流通してないの。露店で使えないの。金貨1枚で<焼きモロコシ>が1000本とか買えるから、ちょっとした物を買うには不便なんだよ。

だから、小銭目当てで腰にぶら下げてた収集品を買い取ってもらうことにしただけ。観光するにしても、腰にジャラジャラと革袋をぶら下げてると重いからね。何も悪いことじゃないでしょ?>>


<<鑑定士が数人がかりで鑑定してるんだけど、『どれもレア度が高くて、一軒の道具屋で買い取るには破産する。薬師ギルドや武具屋でも分担して貰えないか』って、政府に相談が寄せられてるんだよ。

観光協会の方からも『上級迷宮の地下5階以下の精細な地図情報の入手について』って、ことで報告が上がってきてて、今晩中に買い取り査定をだすんだけど、資金が無くて困ってるって。>>


<<それ、私のせいかな?>>

<<売ろうとしたのは姉さん達だろ?>>


<<『鑑定に手数料がかかる。前払い。ゴミでも泣かないこと』って言われるから、素直に手数料払っただけだし。

収集品が全てゴミ査定でお小遣い無いと嫌だから、アリアに言って、地図も売ることにしただけだし。

アリアも『翻訳できてなくて良いのでしょうか?』って、心配しててさ。私達はあまり価値について気にして無かったんだけど?>>

<<つまり、姉さんは『値段もつかないような小銭程度の収集品』と思って、街の大手の道具屋や薬師組合が破綻するような収集品を売却して、その収集品の根拠付きで20階層まで制覇した地図情報を売ろうとした訳だね?>>


<<うん。でも、そのときはまだ値段がついてないから価値なんて分る訳ないよ。観光迷宮に一晩潜って集めてきた程度のものだし。

道具屋の方の精算は、ルシャナ様の手が空いたら金額を確認しに行く予定。ルシャナ様が怒ると怖いから注意してね?火山の火口で会ったとき以上に会話が成立しにくくなるから。>>

<<姉さん、さっきも言った通り、災害復興の資金すら政府で予算が組めて無いんだよ。そこへ高価な収取品とか、上級迷宮踏破の地図情報とか買い取る余裕なんか余計に無いよ。それだけじゃなくて、その予算検討をするだけの人材も居ないんだよ。>>


<<そしたら、フウマからルシャナ様に<道具屋の件>は連絡しておいてね。私は嫌だよ。>>

<<分かった。ちょっと収集品の件は後回しにさせてもらうから、承知しておいてね。>>


<<<お小遣いにする小銭が無いこと>でちょっと不便だけど、その辺りはしょうがないから我慢するよ。フウマの用件はそれで済んだ?私の用事がまだ始められないんだけどさ?>>


<<あ、あと、市場で底値の穀物を狙って買いあさったのは姉さん達?市場が品薄なのに加えて、大量の買い占めが発生してるっていうんで、市場の物価が急激に上がったって苦情が役人さん達から届いてる。>>

<<それは、<お茶屋のお兄さん>だね。ムサシ様に聞いてごらん。政府側じゃなくて、貴族側の人間だと思う。あの人がいろんな食材を買い集めて、集会所の炊き出しに全部寄付してる。>>


<<はぁ?姉さん、何言ってるか判らないよ。姉さん達の金貨で勝手に買い物して、勝手に寄付するとか<普通は>無いよね?>>

<<市場に観光しにきたのに、150㎏もある樽を一人2個も背負わされて、その中身の代金も支払って、それを無償で寄付するとか<普通は>無いよね。>>


<<姉さん、質問したのは僕だし、僕の想像以上の事を姉さん達が黙って引き受けている様に聞こえるんだけど。>>

<<フウマの理解で合ってるよ。私が『災害復興の様子を見に行きたい』とは、言ったんだけど、いきなりそんな展開になるとは思ってなかった。>>


<<その無茶苦茶な展開の仕方が本当だとすると、姉さんと<お茶屋のお兄さん>の相性は抜群だね。>>

<<皆が割と我慢してくれてるのは、私の考え方に似てるせいもあるかもね。私が一々喋らないでも、勝手に先回りして動いてくれて気持ちが良いよ。>>


<<じゃ、姉さんのせいでなくて、<お茶屋のお兄さん>のせいってことで、ムサシ様と相談しておくよ。あと、姉さんの相談って何かな?>>


<<後々揉めると不味いから、その<お茶屋のお兄さん>の身元を確認しておいて。あとから<貴族の人件費の請求>とかされたら嫌だから。

それと、仮設住宅は軌道に乗せられそうだから、<技術視察>の方の日程調整をして欲しいよ。出来ないなら、アジャニア語とストレイア帝国の言葉を使える技術者を付けてくれれば勝手に調整するよ。>>


<<わかった。その2件はなんとかしておくよ。>>

<<よろしくね>>


フウマ一人でこなせなくても、トレモロさんとムサシさんが居れば大丈夫だとは思いたい。

さ、今日の夕飯は何かな~。




いつも読んで頂きありがとうございます。

時間の許す範囲で継続していきたいと思います。

暫くは、週に1回の更新で続けさせて頂きます。

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