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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-52.道具屋

<封印級の迷宮>は探索しない方向で話がすすみそうだから、

市場の見学と技術視察を皆ですることになるんだろうね。

「おねえちゃん、おはよ。」

「ユッカちゃん、おはよ。」


「今日はどこ行くの?」

「え?市場いちばか技術視察かな。たぶん。」


「<せいふ>には行かなくていいの?」

「あ~。どうしようね。あの後、フウマから連絡がこないんだよ。ユッカちゃんは何かしたいことある?」


「おねえちゃんと一緒がいい。」

「そうだねぇ。昨日はなんだか慌ただしかったからねぇ。

市場いちばへ行って、いろいろな物を見て周りたいかな。」


「じゃ、みんなでいこう!みんな待ってるよ。」

「ええ?そうなの?」


朝ごはんから美味しい物を食べに行くんだって、皆が待ってたらしい。

今日はみんな普段着に戻って、船から出発。

昨日の政府との交渉が良好に終わっているから、船は着水して光学迷彩は解除してある。コウさんたちにボートを漕いで貰って、6人で上陸だね。

本来、異国への入国って、こういうものだと思うんだけどさ。


「コウさん、ありがとうね。今日は何も起こらない筈だから。

みんなで観光してくるね。」

「ハイ。承知しました。メディチ卿にお会いしたらよろしくお伝えください。」

「うんうん。何か食べたいものある?あれば配達をお願いするけど。」


「ヒカリ様、できれば<焼きモロコシ>と<卵かけごはん>が欲しいです。」

「あれ?コウさん詳しいね。実は似た物がストレイア帝国にもあるの?」

「ございません。昨日ユッカ嬢より、大変興奮した面持ちで紹介頂きました。」

「あ、ああ。分かった。お茶屋のお兄さんに会ったら頼んでおくよ。

そしたら、誰かがここに残っていた方がいいかもね。」


「承知しました!ここで待機しております!」

「うん。じゃ、いってくるね。」


ーーーー


「お茶屋のお兄さん、こんにちは~」


みんなでゾロゾロと昨日のあの事件の後なのに、

堂々とお茶屋に姿を現して、ルシャナ様が挨拶をする。


「お、お母さん!ちょっと!」

「港のボートで待っている人の所まで、昨日の朝ごはん30人前を大至急お願いしますわ。時間が掛かるなら、焼きモロコシから先に配達してあげてください。」と、金貨1枚を手渡す。


「あ、あ、あ。お代は昨日そこのお嬢さんに貰った残りがあるからいいよ。直ぐに作らせて頂きますね。

それより、政府から何か連絡は無かったかい?冒険者ギルドの人達も探していたようなんだけどさ。」


「大丈夫ですわ」と、だけ答えるルシャナ様。


まぁ、確かに大丈夫なんだけどね。

それより、お小遣いになる現金が欲しいんだけど、

それをなんとかしたいところ。


「わかった。

突然姿を消すもんだから、サヨナラも言えなかったし、ちょっと心配したんだよ。

それじゃ、朝ごはんの準備は店の者に手分けして配達するようにしておくよ。

それより、俺で良ければ今日も何か手伝えることあるかい?」


「ムサシ様と合流するまでは、市場で買い物を楽しむ予定です」

「なるほどね。って、ムサシ様って伝説のムサシ様の縁者ですか?」


「ムサシ・ミヤナガと名乗っていましたね。同船していましたので、後でいろいろ案内して貰えることになっています。」

「お、お、お母さん。それって大事件じゃないのかい?

通貨もストレイア帝国の物だし、異国語を話すから何かと思っていたけど、

そういうことだったのか・・・。」


「良く判らないけど、特に問題ないです。案内して頂けますか?」

「はい、ハイ!注文だけ通してきますので、少々お待ちを!」


ーーーー


なんだ、やっぱり、ムサシ・ミヤナガ様は伝説級な人なんだ。

あんだけ用意周到に振舞って、国の文官でありながら技術に理解を示していたしね。

それより、無駄遣いする小銭が欲しい~。


<<ルシャナ様、道具屋とか魔石屋でアジャニアの通貨を入手したいです。

いろいろなお土産を買うのに、今のままでは不便です。>>

<<承知しました>>


「おにいさん、市場へ案内頂く前に、アジャニアの通貨を少し手に入れたいので、持ち物を売りたいのですが手伝って頂けますか。魔石や属性石、多少の迷宮のドロップ品があります。」

「お母さん承知したよ。

冒険者ギルドは面倒なことになりそうだね。

街中の魔道具屋と普通の道具屋へ案内するよ。」


ちゃんと、私たちの気持ちを理解してくれてるのはありがたいね。

素直にお兄さんに付いて行って、先ずは魔道具屋に案内して貰った。


「すみませ~ん。魔石とか属性石を売りたいのですが。」

「おぅおぅ。元気がいいのが来たな。おっと、凄い美人ぞろいじゃないか。

それにハイエルフとドワーフのお嬢さんたち迄いるじゃないか。

どんな用事だい?」と、魔道具屋のおじさんがリップサービス付きで挨拶する。


「いま、需要のある魔石、属性石、それらの大きさと数を教えて頂けますか?」と、丁寧に用件を伝えるルシャナ様。

「魔石はいくらでも買うよ。大きいのは政府が買い上げてくれるから、大きい分にはいくらでも構わない。街中で流通しているのは、先日の大波の影響で火や風の属性石の需要が多いね。あと、水で洗浄するとかで水の属性石も随分需要があるよ。」


「政府が仲介しないで買い取って貰える一番大きなサイズの魔石と個数を教えてください。あと、大波の被害を救うのに必要な属性石と魔石の量の見積もり。」と、的確に状況を判断し、こちらの要望を伝えるルシャナ様。


「あ、あ、あ。お母さん、いくら何でもそれは個人の商店で扱える量じゃないな。

うちの店だけじゃなくて、他の店主たちに話を持ち掛けて分担してもいいかな?」

「構いませんが、これから市場に買い物に行きますので、素早く現金化してもらえる前提で準備おねがいします。」


「わ、わかった。ちょっと待っててくれ。直ぐに戻る」


<<ルシャナ様、お店の主人が戻って来るまで、<大波>のことをお兄さんに聞いてくださいな>>

<<承知しました>>


「お茶屋のお兄さん、先ほどのご主人のお話ですと、<大波>のせいで被害がでているとの話がありましたが、どのようなことでしょうか。」

「お母さん、そうなんだよ。地震も台風もなかったんだけど、突然大きな三角波が押し寄せてさ。普通じゃない波だもんで、船やなんかを陸に押し上げて、港周辺の民家や施設はボロボロになっちゃったんだ。」


「それはいつ頃のことですか?」

「ああ、ええと、お母さんたちが到着する前の晩じゃなかったかな。突然のことで皆が避難もできずに大変だったよ。市場が慌ただしいのもそのせいもあるんだ。

物だけでなく、魔道具により支援で街を復旧させたいから、ここの主人も一生懸命なんだろうと思う。」


ま、不味いね。

なんか、自然災害を伴わない三角波の原因に心当たりがあるよ。

この街の復旧はある程度手伝わないと、いけないんじゃないかい?


<<フウマ、おはよ。昨日の火の属性石とは別に、この街の津波被害と復旧に必要な魔道具や魔石の政府試算をちょうだい。>>

<<姉さん、おはよう。その辺りはムサシさんが良く知ってるはずだから、後できいておくよ。どうしてだい?>>


<<街中で災害復旧のための魔石や属性石が大量に不足している。ちょっと、街中の魔道具屋でそこの支援をしちゃうけど良いかな?>>

<<ああ、良いんじゃないか?人命救助やなんやで、非常に忙しいみたいだし。姉さんが好きに動いて良いと思う。>>

<<わかった。ありがとうね>>


うんうん。

政府は大きな動きはできても、個別最適化は難しいから、市井の個人商店を介して民間にいろいろな物を供給させるしか無いんだろうね。

じゃ、こっちはこっちで出来る範囲で支援しておこう。そうしよう。


そんな情報収集が終わったタイミングで魔道具屋の主人が何人かの店主を連れて戻って来た。


「全員で6名。魔道具組合に所属する商店の店主全員が集まりました。政府の支援を介さずに即座に供給できる金貨は800枚になります。」と、ご主人。


へぇ。行動が早いね。

銀行も市役所も無い時代なんだろうから、民間主体で動くべきなんだけど、それでも損してまで商人が動く必要は無いんだよね。

何がその動機なんだろう?


「800枚で買いたいものを、教えてくださいな。」と、平然と言うルシャナ様。


「手のひらサイズの魔石を金貨20枚で買い取りたいです。その数100個。

次に、金貨5枚サイズの火、水、風の属性石を各100個が必要です。」と、ご主人。


あれあれ?必要な数と金貨の枚数が合わないよ。

だって、魔石が20枚x100個で2000枚。属性石が5枚x3種x100個で1500枚。合計で金貨3500枚だね。

でも、手持ち金貨が800枚しかないんでしょ?

多少は支援してもいいけど、どうしよっかなぁ・・・。


「金貨20枚サイズの魔石を10個、属性石も金貨20枚サイズで3種類これを10個ずつ。よろしいでしょうか?」と、ちゃんと計算が合うルシャナ様。


金貨20枚サイズって、テニスボールぐらいの中型だよね。

昨日フウマに渡したソフトボールサイズは金貨3000枚クラスだから。


「ヒカリさん、宜しいでしょうか」と、ルシャナ様が私に話しかける。

「あ、ハイ。大きささえ間違わなければ大丈夫です。昨日フウマに渡したような大きさを出しては不味いですが。」


「何故ですか?」

「そういうものです。私が1つ鞄からだしてみせますので、大きさを確認してください。」


と、テニスボールぐらいの中玉を1個腰の革袋の中で生成して取り出す。


「ヒカリさん、それで足りますの?」

「彼らがお金を持ってないから仕方ないよ。」


「みなさん、困っているのですよね。」

「多分困ってる。でも、私達で全員は救えない。

足りない分は直接支援して助けるしか無いかもね。

ほら、火山の島の人達を救ったみたいにね。」


「分かりました。では、魔石10個と属性石30個ですね。私は火の属性石で良いですか?」「うん。じゃ、私は魔石をだすから、ユッカちゃんは風の属性石、ステラは水の属性石をカバンのなかから取り出してくれるかな?大きさはこのサイズ。数は10個ね。」

と、エスティア語で会話して魔石の生成を始める。


「魔道具屋のご主人、これで金貨800枚分の魔石と属性石合わせて40個で良いかしら?」

と、ルシャナ様。


6人の魔道具屋の主人達は目を丸くする。


ルシャナ様の『買いたいものは何か?』って言う発言はさ、

向こうからしたら『どうせ手に入らないかもしれないけど、あればいいな~』ぐらいなダメ元で解釈して返事してる訳でさ。

出て来たものを値踏みして金貨800枚も出さずに済むと考えていたはずでさ。

いわば、買い手優位で考えていたんだろうね。


ところが、手持ちの金貨800枚を上回る属性も品質も兼ね備えている物のが出て来ちゃうわけだから、そりゃ、いろいろとびっくりするだろうね。


「お茶屋のお兄さん、これで良いか確認して貰ってください。もしよければ、あとで金貨800枚を数えるのを手伝ってくださいな。」と、ルシャナ様がどんどん進める。


「魔道具屋のご主人達、こちらのお客さんの売りたいものなんだけど、問題無いかな?」と、お茶屋のお兄さんも冷静に追い打ちをかける。

「ああ、いいとも。政府の協力が得られれば、もう少し魔石や属性石を買い取りたいのですが、そういう機会はあるのでしょうか。あるいは滞在期間を伺う訳にはいきませんか?」

「お母さんたち、いつまでいるの?」と、冷静にお茶屋のお兄さん。


この人は事の重大さを知っているのか、居ないのか。

それとも金貨800枚程度じゃ動揺しないんだとしたら凄いと思う。


「ヒカリさん、どうでしょうか。」とルシャナ様。

「確か、最長で一ヶ月ぐらいは滞在できるけど、航海は何があるか判らないからね。この辺りはトレモロさんとか、ムサシさんと確認してからじゃないと判らないよ。」


「分かりました。最低でも一週間ぐらいはかかりそうですね?」

「うん。津波復旧、技術視察、各種貿易協定の締結、荷物の積み込み。

できれば、火山の島の人たちの新しい住居の確保なんかも確認できると良いよね。」

「承知しました。」


「お兄さん、一週間ぐらいは滞在できそうですが、それ以上は状況次第の様ですわ。

魔道具組合の方達に何か要件があれば、お兄さんが仲介してくれるとありがたいですわ。」

「分かった。ここでの要件を済ませたら次に行こう。」


この人、ルシャナ様と相性が良いのかな。

なんか普通に起こりそうな戸惑いとか超越して行動してるよね。

肝が据わっているというか、なんというかさ。

お茶屋のお兄さんをやらせておくのは勿体ないと思うんだけどさ。

ま、いっか。


この後、魔石とか40個は実物を鑑定確認してもらったので直ぐにそっちは終わった。

問題は支払いの金貨800枚だけど結構重い。

50枚の小袋で16個。一人一つぶら下げて、残りはお茶屋のお兄さんに背負って貰うことにした。こんなところでユッカちゃんの鞄を公開したくないからね。


会計と挨拶が終わると、魔道具組合の主人達は慌ただしく行動を始めた。政府に誰を派遣するか。魔石を魔道具に変えて貰う魔術師は誰が良いか、科学者に魔石からエネルギーを取り出してもらうならどこに持っていけば良いかとかとか。

このときもだけど、<利益>とか<金貨>を気にして無いんだよね。

商人らしくないのが気味悪いよ。

ま、いっか。


「お母さん、次は道具屋に物を売りにいくんだよね。冒険者ギルドで無い方が良いよね。」

「はい、よろしくお願いします。」と、ルシャナ様。



今度は魔道具でない、一般的なドロップ品とかのアイテムを買い取ってくれるところに連れてきてくれた。


「こんにちは~。観光迷宮での拾った物を売りに来たんだけど、良いかな?」

「よう。誰かと思えばお茶屋のお兄さんに、別嬪さん達じゃないか。

なんだ、ナンパして一緒に迷宮に入ったのかい?」


「いやいや、違うんだよ。観光客らしいんだけど、いろいろ体験したいって言うんでさ。うちもご飯食べて貰ったりお世話になったもんで、そのお礼にいろいろ案内してる最中なんだ。」

「へぇ~そうかいそうかい。そういう気持ちは大切だよな。

よし、みんな入った入った。」


なんか、こう、雑然としているね。

古物商とお土産物屋を足して2で割ったとでも言おうか。


「兄ちゃん、その観光客の人達はアジャニア語は分かるのかい?

簡単に道具屋で引き取れるものの説明をしたいのだけどさ。

あと、興味があれば、お土産に何か買いたいものの説明もする。

どうだい?」

「こちらのお母さんがアジャニア語を理解して通訳してくれてるみたいだよ。

他の子達は手振りでやり取りしてる。」


「分かった。じゃ、兄さんとお母さんで一緒に話を聞いてくれ。

うちの道具屋は道具の材料を仕入れて、加工して出荷したり、ここに並べて販売する。

出荷する場合は魔道具屋、薬師の店、武具屋なんかがあって、

今度はそれらの店で仕上がった物をここに並べて販売している物がある。

だから、薬、魔道具、武具はうちより専門店の方が種類は多いだろうさ。

そういった専門店でも扱うが、各店を周らずに全般を売買できるのがうちの強みだ。」


「おかあさん、売りたいものって何かな?」

「少々おまちくださいな。」と、ルシャナ様。


「ヒカリさん、どうですか?」

「うん。船に置いて来なかった各自の腰にぶら下げている革袋ぐらいかな。

あとはアリアが作った上級迷宮の地下6階層以下の地図。

アリア、あの地図って複写作って貰っても大丈夫かな?」

「ヒカリ様、私は構いませんが、抜けもあるし、罠の種類はニーニャ様に聞かないと書き込みが完了してません。それにストレイア帝国の言葉で記載してます。

それでも宜しかったでしょうか?」

「出して、聞いてみよっか。」


私がお兄さんにジェスチャーで、各自が抱えた金貨でない方の腰に下げた革袋を外して、お兄さんに手渡すしぐさをする。

それと、アリアが背負い袋から取り出した階層ごとの上級迷宮の地図15枚を渡す。


「道具屋のご主人、こちらの収集品6袋と迷宮の地図の買い取りみたいだね。

相談に乗って貰えるかな。」

「結構な量があるね。確認に時間が必要かもしれないよ。

分類とかは終わってるのかな?」


「いや、多分終わって無いよ。冒険者ギルドでは時間が掛かるっていうんで止めたんだよ」

「ああ、あそこは受付嬢がなんでもできる反面、一人では仕事量に限界があるからな。

それはそれで仕方ないさ。

ところで、兄ちゃんとお母さん。

うちで引き取れない物を分別して値決めするには、うちも人手を割かなきゃならない。

量が多かったり、貴重な物が含まれている場合には<鑑定スキル持ち>を雇って、判定させている。そのためには前金で鑑定料を納めて貰いたいんだよ。

世の中には『鑑定だけして、ハイさようなら』って、人も居るもんでさ。

その辺りは承知して頂けるかな?

当然、鑑定なしで、一般に流通している物のみを選んで買い取っても構わない。

ただし、買い取れない物の理由が<鑑定が必要>なのか、<ゴミとして価値がない>からなのかは、此方から言えない。

その辺りを相談して決めて貰いたいんだが。」


「ここにある分を分別して鑑定してもらうと、おいくらになるのかしら?」と、ルシャナ様。

「そうさなぁ。特急なら明日の朝までで金貨1枚だ。ゆっくりで良いなら1日銀貨5枚で一袋ずつだ。ただし、鑑定手数料を下回る物しかでてこなくても、それはその時だ。

自分たちの鑑定眼を磨くか、運の無さを嘆くしかない。」

「特急で夕方まででお願いします。」と、ルシャナ様が金貨2枚を道具屋の主人に手渡す。


「お、お母さん、いいのかい?兄ちゃんも説明聞いていたよな?」

「ご主人、この人たちは観光客で時間がないんだ。お金で時間を買い取れるなら買うんだよ。」

「分かった。承知した。鑑定スキル持ちを集めて超特急で仕上げる。

ところで、この羊皮紙の組み合わせは何だい?」


「ああ、この人達は上級迷宮をクリアしたらしいんだ。

そのときの地図情報を売りたいのだと思う。

ただ、観光客なもんで、通訳は必要かもしれないね。」


「兄ちゃん、それは<冒険者ギルド>へ報告したのかい?それに上級迷宮クリアは政府案件だぞ?」

「受付嬢も同じ説明をしてくれたんだけど、この人達が嫌がるんだよ。

理由は分からないけどね。今日また、うちのお店に来てくれたんで俺が直接案内してる最中なんだ。」


「わ、わ、わ、分かった。うちで買う。しかし通訳が今いねぇ。

このままだと、ただの羊皮紙の落書きになっちまぅ。

これに関しては一晩ほど時間を貰えないかな。

明日には、いくらでその地図の情報を引き取れるか決められる。」


「お母さん、どうだろう?」と、お茶屋のお兄さん。

「今日の夕方まで。」と、金貨一枚をずず~っと、面談机の上を滑らす。


「ご主人、金貨3枚でこの革袋6袋の鑑定と買い取り額。そして上級迷宮クリアしたパーティーが作成した地図の価値査定。これを夕方までにお願いしたいけどいいかな?」

「わかった。他に役に立ることはあるかい?」


「特にありません。用件はこちらのお兄さんを通して伝えますし、気になることがあったら、こちらのお兄さんに連絡してくださいな。」と、テキパキとルシャナ様。

「承知した。直ちに!」と、道具屋の主人。


私達がお店からでると、シャッター(鎧戸っていうか、木戸?)を閉じて閉店するってことね。

営業を中止していろいろなところに人を行かせてるみたい。

何であれ、本気で動いてくれるのは気持ちが良いね。

夏休みなので書き溜めたのアップしておきます。

この後は、週に1回の更新で続けさせて頂きます。

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