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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-42.アジャニア(1)

もう、醤油が目前だね!

火山の島からアジャニアまでの航海は、かなり定員オーバーだもんで密閉空間における居住ストレスと食料の枯渇が心配だね。


外側に光学迷彩をかけることは勿論のこと、内側からも外が見えないように黒色になる光学迷彩を施してから飛行したよ。ムサシさんはともかく、火山の島の住人に余計なもの見せると混乱するからね。夜の出発ってのも良かったのかもしれない。

船内の灯りは光の妖精さん達に手伝って貰うから、暗闇での危険性や恐怖が支配する状況にならないように配慮してあるよ。


当然、一般的な目視による航海術は全く役に立たないから、コウさん達には操船よりも、食事の準備と島の住人たちの世話を重点的に対応して貰った。

操船はシルフの風に全部お任せだよ。ずるいって言えばずるいけど、皆の体調や食料のことを考えれば、多少のことは許されてもいいことにする。うん!


私達も寝る場所はともかく、シャワーの順番待ちが酷いから、時間割をつくったりしたさぁ。だって、気候も熱くなってるのもあるけど、お互いの体臭が凄いから、なんていうかさ、女性陣が文句言うんだよ。男性もそれにつられて、皆がシャワーを浴びるみたいな。

そいで、60人からの人間がシャワーを順番に使い続ける訳。

そしたら、私には原理がさっぱりわからないんだけど、シャワーで使う大量の水をステラの妖精さんに出して貰っていたら、シャワー小屋の脇に塩の山ができてるの。気付いた人が「ナニコレ!」ってびっくりしたんだよね。

ステラに事情を確認して貰ったら、

『塩を溶かして捨てたりするのが面倒なので、そこに捨てた』だって。


そりゃそっか。海水から真水を作ったら塩が邪魔になるもんね。

『もう、やってらんね~』みたいな感じになったのかな。

でも、これって、妖精さんの負担がどの程度か判らないけど、

塩精製の商売にも使えるのかな?

今度ウンディーネに聞いてみよう。そうしよう。



大して長い時間じゃないのだけど、

行先も判らず、昼夜も無く、外界から隔てられて、

ギュウギュウの船内で、言葉も通じないんじゃ、出来ることも少なくてさ。

そのうち、火山の島のお楽しみの続きでイチャツク人達も出てきた。

こうね、なんというかね。奇声?あえぎ声が聞こえてくるわけ。

私もリチャード王子と一緒に寝たとき、あんなに声出しちゃってたのかと、ちょっと心配になってしまったよ。


そんな些細なトラブルは多数あったものの、

すっ飛ばして飛行を継続して3日目の朝には到着した。

シルフから『陸地が見えたよ』って、声がかかったもんで、光学迷彩の外側迄浮遊してみたよ。陸地は島より随分と大きいけど、大陸と呼べるほどなのかな?日本の本州規模なのか、この高度からじゃ良く判らない。

近づくにつれて、植生がなんとなくわかり始めたんだけど、

エスティア王国が東北から北海道にかけての針葉樹林が多めだったのに対して、

大分南に来たのか、広葉樹と亜熱帯の葉が大きな植物が生えている。見た感じジャングルにまでは成長してないかな。

これって、稲作とかひしおの風土に適した気候だから、文化が合えば<醤油>も期待できそうだね。


ーーーー


港が有視界範囲に入る前に着水してから、光学迷彩を外側も内側も解除。

ちょっとした歓声が上がったね。解放感と陸地と自然の太陽の光を確認出来て安心したんだろうね。

船の進路はムサシさんが誘導して、それに合わせてコウさん達が指揮して、人力で操船して港へ入港することにした。


でね?

天然の岩場を利用したような、駆け上がりの斜面に作られた港で、大型船でも結構そばまで寄せられるっていうんで、近づいて行ったんだけど、なんか、ゴミって言うか、瓦礫がれきっていうか、汚いんだよね。

台風でも来たのか、それとも、優秀な元首や補佐官がいなかったから、国が衰退しちゃったのかね?


奥の方にも瓦礫が転がってるし、なんか、陸上で倒れ掛かった船もあるし。なんか、変な感じなんだよねぇ。でも、海岸というか、港は大勢の人でにぎわっているようで活気はある感じ。

このちぐはぐさが、なんか奇妙な違和感を感じるよ。


「メディチ卿、本来はそのまま接岸できるように、はしけが伸びており、ボートなど使わずに上陸していただけるはずでしたが、少々港が荒れている様子です。申し訳ございませんが、第一陣は私と一緒にボートで上陸して頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」

「ミヤナガ様、確かに少々混乱している様子が伺えます。こちらは数名同行するメンバーを選出しますので、少々お待ちください。」


ってことで、第一陣は、

ムサシ・ミヤナガさんと、トレモロさん、アルバートさん、フウマ。

そして、コウさんともう一人の航海士さんの6人でボートに乗って出かけて行った。

今度は1時間もしないうちに、コウさんと航海士さんが戻ってきた。その他に、三艘のボートと漕ぎ手を連れてきたよ。


「ヒカリ様、先に火山の島で暮らしていた住人の移動を斡旋したいとのことです。民間の安価な宿ですが、船の中よりは楽ですし、食料も宿から無償で提供させるとのことです。宜しいでしょうか?」


「うん。いいと思う。トレモロさん達はどうなったの?あと、私たちは?」

「我々に関してですが、『通訳の手配、観光案内の手配、きちんとした宿の手配などが済むまで、乗船中の皆様は少々お待ちください。』って言われましたもので、それ以上は何とも。メディチ卿に関しましては、ムサシ様、アルバート様、フウマ様と共に馬車のようなもので、どこかへ向かわれました。」


「そうなんだ。じゃ、待つしかないね。」

「ハッ。そうして頂けると助かります。火山の島の住人を輸送後、直ちに戻ってまいります!」

「わかった。気を付けてね~。」


今度は人数が多いことと、いろいろ荷物の積載とかあったもんで、航海士を交代させて何往復もさせてだよ。人力で全部やるって、結構な重労働だよね。


ユッカちゃんはソワソワしながら、船の上からいろいろグルグル見て回ってるんだけど、上陸の許可も出てないし、通訳の人もいないから勝手に街を見学することも出来ないもんね。我慢して待つんだけど、結局夜になっても誰も来なかったんだよ。忙しいならしょうがないよね。今日も船の中でご飯と睡眠だ。


ーーーー


「おねえちゃん、おはよ。」

「ユッカちゃん、おはよ。朝になっても迎えが来ないね。」

「うん。」


「つまんないねぇ。」

「うん。」


「ユッカちゃん、とっても素直な気がするけど?」

「ムサシさんたちの言葉が判らないもん。」


「アジャニアの国のお金があれば、言葉は通じなくても市場いちばぐらい見に行って、何か買ってこれるのにねぇ」

「エスティア王国のお金じゃダメなの?」


「わかんない。ちょっとフウマに聞いてみる」

「うん!」


<<フウマ、おはよ。>>

<<あ、あぁ?姉さん、どうしましたか?>>


<<なんか、フウマ疲れてない?>>

<<こっちは、みんなヘトヘトだよ。姉さんたちは観光してゆっくり宿で寝られたんだろ?>>


<<昨日からずっと船で待ってるんだけど。ちょっと待つのに飽きてきたから、まだ準備に時間が掛かるなら市場を見に行きたいかなって。それで、どこの国の通貨なら使っても大丈夫か確認のために<念話>通したの。>>

<<えぇ?通訳を3-4人出してたよ。お金も観光ができる程度には渡してたと思うよ。>>


<<う~ん。どこかですれ違いが起きてるのかな。まぁ、いいや。

エスティア王国の金貨とか銀貨でも買い物できるのかな?>>

<<ストレイア帝国の通貨なら流通しているっぽいよ。

エスティア王国の通貨に関して話題に登ってないから、ちょっと判らないや。

それより、通訳の人たちはどこへ行ったのかを確認しておくよ。>>


<<ひょっとしたら、火山の島の住人の世話かもしれなから、そんなに気にしなくて良いよ。その代わりこっちは勝手に街の中を散歩してるね~>>

<<あぁ。あんまり揉め事を起こさなければいいと思う。

クロ先生に念のために護衛ついてもらうといいよ。>>

<<判った~。フウマも気を付けて~>>


この後、航海士さんにお願いして、ストレイア帝国の通貨とエスティア王国の通貨を交換してもらった。ちゃんと贋金じゃない金貨だからその辺は問題ないね。


<散歩>に行く人選をしていたんだけど、やっぱり、<飛行術>と<光学迷彩>が自分で駆使出来る人ってことにした。私とユッカちゃんはOKだけど、アリアとニーニャには遠慮してもらった。

ステラとクロ先生は、アジャニアからVIP待遇が得られるし、その対応ができる人は残ってて貰わないと不味いってことで、我慢して貰うことにした。


あとは、ラナちゃん、シルフ、ルシャナ様なんだけど、アジャニアの言葉や文化をある程度知ってるってことと、観光客として怪しまれないようにルシャナ様に同行してもらうことになった。

もし私がルシャナ様抜きで他のみんなを引率している状態を想像すると、

子供ばっかりを引き連れる国の言葉しか喋れないお姉さんがいるだけ。

それって、何かとトラブルを引き寄せるし、そうでなくても普通に観光客としてカモにされる可能性が高い。お忍びで散策するわけだから、その辺の安全も配慮しないとね。


よし、じゃぁ、<醤油>を求めてしゅっぱ~~~つ!

いつも読んで頂きありがとうございます。

時間の許す範囲で継続していきたいと思います。

暫くは、週に1-2回の不定期更新で続けさせて頂きます。

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