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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-29.掃除

ヒカリが天文学でニーニャ達と遊んでる頃、

ステラ達は大変なことになっていたよ。


「ステラ、来たわよ。何から始めましょうか。」

「妖精の長の方々、ご足労ありがとうございます。

僭越ながら方針を説明させて頂いても宜しいでしょうか。」


「ステラ、貴方良いわよ。ヒカリみたいに適当に喋って構わないわ。」

「ライト様、私は生まれてこの方、妖精の方達に恩恵により生を得ています。とてもとてもその様な口は聞けません。」


「ステラ、じゃ、私から命令よ。

ざっくりと、簡潔に話をしなさい。

そして、貴方がヒカリの代わりに指揮を執りなさい。

いいわね?」

「ライト様、承知しました。

我々がすべきことは2点あります。

1つ目は、広域に拡散してるであろう水銀を集め、封印すること

2つ目は、この村の住人の回復を狙い、火山の情報を収集ること

です。


1つ目は、単なる思い付きの範囲ですが、

大き目の穴を掘って、ライト様が穴の表面を高温で溶解し、焼き煉瓦の様な状態を作ります。きっと、水漏れが起きない厚さまで焼成できれば、水銀もそこから流出しないと考えます。

今度は、そこへ周囲から水銀を収集、輸送し、封印を施します。

この作業は、周囲の水銀量が判らないため、様子を見ながら、何か所かで実施する必要があると考えます。


2つ目の治療行為に関しては、クロ先生とユッカちゃんが適任と考えます。

お二人は妖精を介さずに医療の知識とエーテル操作による体内循環を確認できるため、脳内の水銀除去の方法を考え、何らかの方法で排出できると考えます。」


「ステラ、流石ね。それでいいわ。

誰かステラの方針に疑問がある人は居るかしら?」

「「「「無いです」」」」


ふぅ、ライト様のプレッシャーは、とても厳しい物だわ。

ヒカリさんが、いつも耐えていることに感心しますわ。

それより、治療はクロ先生とユッカちゃんに任せて、

早く水銀回収の指揮をはじめないと!


ーーーー


「ステラ、私たちは何処から始めようかしら。」

「ライト様、先ずは村の中から安全地帯を作るのが先決と考えます。

そこから、安全な領地を広げるようにすることと、

川や水源への水銀流入が無いかを確認することになります。

鉱山や既に海に流れてしまった水銀の回収まで手が回るか

やってみないと、私には判りません。」


「いいわ。先ず、安全地帯を作る案に賛成よ。

シルフ、特定の金属を風に乗せて運ばせることは出来るの?」


「ライト、風で運べるものは軽いものに限るよ。

もし、水銀が軽い粒状に飛散しているなら、風で集めることは可能かもしれないね。

あと、土に溶け込んでいるようなのは僕には無理だよ。」


「ステラ、シルフと一緒に風の妖精で水銀の在り処を探査しないさい。

そして、動かせるか確認しなさい。

フウマ、私と穴掘りよ。貴方、穴は掘れるのかしら?」


「ラナちゃん、いや、ライト様かな。

僕は道具があれば、普通の人以上の速度で地面に穴を掘れると思う。

ヒカリ姉さんみたいに、斬撃で砕くのは出来ないけどね。」

「フウマはバカなの?

水銀がどこに飛散していて、地中に染みているかもわからない状態で

斬撃なんか使ったら、集め直しになるじゃない。

ヒカリのバカが感染したのかしら?」


「ライト様、直ちに村の者から穴が掘れる道具を借りて、作業を開始します。」

「フウマは賢い子ね。助かるわ。

私はその間に、地中にある水銀の濃度や量の探査を始めるわ」


ライト様、怖すぎるわ。

早くシルフと一緒に水銀の探査と回収を始めないと・・・。

そもそも、<水銀>って何かしら?

融けた金属だとしたら、熱いものよね。


<<ステラ、水銀は常温で液体の金属だよ。

液体だから、散らばってしまうと、人力での回収は難しいね。

金、銀、銅というように、金属の特徴があって、

水銀は銀色の液体なんだよ。>>

<<シルフ様、ありがとうございます。

妖精魔術で探査を開始させて頂きます>>


<<ステラは水の妖精も所有しているよね。

その子たちなら、<水銀という液体>を効率良く検知できるかもしれないよ。>>

<<シルフ様、承知しました。>>


なんか、私ってこんなに応用が利かなかったかしら。

シルフ様に言われるまで気が付かなかったのは恥ずかしいですわ。

ヒカリさんなら、何から始めたかしら・・・。


<<私の水の妖精の子、<水銀>を探査して回収したいの。

何か良い方法は無いかしら?>>

<<ステラ様、水中にある<水銀>を不純物として検知することは可能だと思います。

地中や大気中は他の妖精に頼んで頂くと良いです>>

<<ありがとう。川から探査しましょう>>


「シルフ様、川や井戸、貯水池といった飲み水関係を先に調べる方向で進めさせて頂きます。」

「ステラ、それはいい考えだと思うよ。地中はライトとフウマに任せて、僕は大気中や森の汚染を確認するよ」


ーーーー


皆で手分けして、探査と回収を試みたのですけど、

大気中や地中からは殆ど確認出来ませんでした。

基本的には鉱山と精錬の場所が汚染源として高濃度であって、

その河川流域と溜め池が汚染されていた程度でした。

鉱山と精錬エリアはシルフ様に換気して貰いなら、

ライト様とフウマさんで封鎖して貰いましょう。

水の汚染は私の水の妖精の子達に回収を依頼することにしましょう。

これで、回収チームは進むと考えて良いのかしら?


「ステラ、ちょっと!」

「はい!ライト様、何でしょうか?」


「お菓子がたべたいのだけど、フウマが『そんな時間無い』っていうの。

船に戻っても良いかしら?」

「ユッカちゃんなら、カバンにお菓子を入れてると思いますわ。

ご一緒しましょうか?」


「そうね。ステラに相談して良かったわ。

フウマは何をあんなに一生懸命なのかしら。」

「人族の寿命は短いので、私達とは時間の流れに対する感覚が違うのかもしれませんわ」

「そう。それじゃ仕方ないわね。ユッカちゃんの所へいきましょう。」

「ハイ」


ーーーー


「クロ先生、ユッカちゃん、調子は如何ですか?」

「これは、ステラさんとライト、回収の方はもう終了したのでしょうか?」


「フウマがやってるからいいの。ユッカちゃんとお菓子を食べに来たの。」

「水源の汚染は水の妖精の子に助けて頂いています。

鉱山と精錬所は、シルフ様が換気しながらフウマさんが破壊したり封印をしていますわ。」

「そうでしたか。此方は最初にフウマ殿が会話した人物の症状緩和を行いました。

直ぐに効果が出始めたので、この村の長老の所で治療を始めるところでした。」


「ラナちゃん、クッキーとアイスクリームあげる。私は治療が終わってから食べるね。」「ユッカ、一緒にたべよう?」


「ラナちゃん、ごめんね。私はこの人たちを助けたいの。」

「お父様が居るからいいじゃない。」


「ライト、物質の輸送は私の力で可能であったが、

脳内の血管や神経回路、そこを傷つけずに<水銀>を移動させるアイデアは

ユッカちゃんの考えがあって成功している。人間の体内に関する知識は、私を超えているかもしれない。

実作業として、人体特有のタンパク質やアミノ酸への関与と、水銀を置換する物質の生成など、非常に微妙な作業が重なるため、一人のエーテル操作だけでは手に負えない。」


「ラナちゃん、ごめんね。症状の酷い人がいっぱいいるの。クロ先生と一緒だと治してあげられるの。」


「わかったわ。ステラ、フウマ達の作業を手伝いに行こうかしら?」

「私もお供させて頂きます。」


「ステラさん、ライトをよろしくお願いします。

此方はユッカちゃんと協働して、一人ずつ症状の緩和を進めます。」

「はい、此方こそよろしくお願いします。」


「ステラ、早く行きましょう。」

「はい!」


ひょっとして、ヒカリさん達の仲間の中でユッカちゃんが一番凄いのかしら?

ライト様に謝るだけで、ライト様の意思を変えてしまったわ。

何か、人を動かす能力があるのでしょうね・・・。


この後、結局夜になるまで作業は続けられたのだけど、

全部の水銀の封鎖と、村人全員の症状緩和には至りませんでしたわ。

ふぅ、夕ご飯どうしましょう・・・。

いつも読んで頂きありがとうございます。

時間の許す範囲で継続していきたいと思います。

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