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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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23.狩りの特訓(2)

特訓の休憩中にクッキーをたべながらお願いした。

「ユッカ先生!クッキーの材料を買いにいきたいです!」

「いいよ」

あっさり、認めてくれました……?

 ただいま、クッキーを食べながら休憩中。

 頭を使って、エーテルも作用させて結構疲れた。

 ちょっと先生に相談だ。


「ユッカ先生!特訓してくれてありがとう!それで、相談があるんだけど……」

「おねえちゃん、なに?」


「私はユッカちゃんに、お礼としてクッキーを作りたいんだけど、だんだん材料が少なくなってきてるの。だから、レナードさんのいる町まで買い物に行くのはどうでしょう?」

「いいよ」


 やった~!クッキー強し!ちょっとは休めるよ。


「ところで、おねえちゃん、今日もパン焼くの?」

「うん。朝仕込んだから、夕方から焼きたいかな~」


「夜になっちゃうよ?」

「え?」


「今から、レナードさんの街まで行くと、買い物だけして帰ってきても夜になっちゃう」


「そっか~。どうしよう?」

「明日の朝焼いて、レナードさんに持っていくことできる?」


「夜から仕込めば朝には焼けるけど、冷めちゃうよ?」

「冷めないよ」


「だって、レナードさんの町は城下町より4倍遠いんだよね?」

「お鍋ごと皮で包んで、急いでいけば大丈夫だよ」


「そ、そう?」

「うん。じゃ、休憩おしまい。

 今日は夕飯までおねえちゃんが獣探して私が狩るね」


「わ、分かった……」


 エーテルで、全身の血流、リンパ液、呼気を管理。

 そこから更に、エーテルで索敵。

 エーテルの膜がなくっても、動物だと動きに乱れが出るんだね。

 結構便利だ。

 でも疲れる……。


 そして、走り回る。いろいろ小動物を狩りする。

 そして今日は大きな鹿だよ……。


 鹿って美味しいの?

 ユッカちゃんが解体始める前の状態で冷やして眠らせる。

 解体は家に帰ってからユッカちゃんがしてくれるって。

 背負子にエイヤって、載せて運ぶんだけどさ。

 体の負荷が増えるから、エーテルさんのコントロールもシビアだね。

 筋肉の隅々、毛細血管をちゃんとイメージしないと、どんどん疲れがたまってくる。


 これって、自然に思考できるようになれば、自然に体が強化できることになるね。頭が疲れちゃうのも、脳内への栄養循環系をきっちりイメージできれば、エーテルさんを上手く活用し続けられるってことだよね。


<<ナビ。脳科学の分野のうち、脳細胞の栄養供給に関する論文を手あたり次第探して欲しいの。その中からエネルギー変化や必要な物質を探して。たぶん、ブドウ糖って言われてたと思うんだけど、その辺りも調べて。

 今は狩りとか、いろいろあるから柔軟に調査をおねがい。>>

<<了解>>


「ユッカちゃん、そろそろ夕飯の支度と明日の準備とか~。

 あと、今日の獲物も処理しないと」

「うん。おねえちゃんの今日の特訓はここまで。かえろ~」

「ありがとう」


 しかし、やること多いね。

 解体はナイフがないから見てるだけだけだ。

 何せナイフがユッカちゃんの1本しかないし、まだ、解体の仕方が良く理解できてない。

 今日のはどういうわけか、ほとんど血が流れてないし。


「ユッカちゃん、今日のは血があんまり流れないね」

「うん。血を流すとそこから腐りやすくなるし、味もおちるんだって。

 あと、今日はその場でピュアしてるとおねえちゃんの特訓する時間がなくなっちゃう」


「そっか。いろいろ考えてくれて、ありがとう」

「えへへ。ケーキのためだよ」


 そっか、ケーキのためだね。

 そうだったよね。


 手持無沙汰だからと、ぼーっと見てても仕方ない。私ができることを分担する。

 先ずは、取り分けられた皮の類を<なめし>洞窟へ運んで漬けてくる。

 ついでに、トモコさんがやってた工程進めたり、明日レナードさんに渡すための貴族御用達(ごようたし)の皮とかも確認する。

 次にパンを焼くための二次発酵の準備と明日のパン用の準備。

 そして、もう、残り少なくなってきた天然酵母の仕込みだね。


 最後は、明日もっていくお肉類の準備と、買って帰ってくる買い物リストだね。

 お肉はユッカちゃんに任せるとして、買い物リストは作った方がいいかな。


 あ。

 明日も魔石売れるのかな?

 売れるならちょっと作っておこうかな……。


<<ナビ。買い物リストのメモ登録ってできる?>>

<<プライベートでアクセス設定をかけて、あとで呼び出して不要になったら情報を除去する機能はあります>>

<<ありがとう。じゃ、今日の買い物メモで設定しておいて>>

<<了解>>


 一番重要なのが消耗品。結構ある。


 ・小麦10kg

 ・砂糖あるだけ(ただし、お金が余ったら)

 ・干しブドウ

 ・バター

 ・オリーブオイル

 ・木の実

 ・野菜とか果物も重量に余裕があれば、あるといいね。


 ぐらいかな。塩は足りてるし、ハーブは作りためてあるのを使わせてもらう。


 次に調理器具


 ・私のナイフ

 ・ボールみたいな器

 ・鍋(蓋つき)

 ・菜箸さいばしってあるかな?作るった方が手っ取り早いのかな。

 ・篩いが欲しい。あるのかな?

 ・量りとキッチンタイマー これは無いよね。


 できれば大工道具もほしいね。


 ・のこぎり

 ・金槌かなづち

 ・くぎ


 こんなんで、棚とか増設できるといいんだけどね。

 ユッカちゃんと相談した方がいいかな。

 このメモはいくらでも読み書きできるからこの辺にしとこう。


ーーーー


「ユッカちゃん、パン焼けたから夕ご飯にしない?」

「いいよ~。解体もうちょっとだけど、ご飯にしよ」


「うん。パンはやっぱり焼きたてが美味しいからね。

 今日のは砂糖をいれてないんだけど、昨日のと比べて味はどう?」

「今日のは~あまくないけど、フワフワがぎゅっとしてて、でも弾力があるかんじ。これも美味しい~」


 そっか、砂糖が少ない分発酵が進まないのかな。

 でも、キメが細かいってのはそれは一つの特徴だね。

 フワフワ感と弾力はそっちがのいいしね。

 よし、パンには砂糖無しで行こう。


「じゃ、パンには砂糖使わないでいこう」

「そしたら、クッキーがたくさんできるね」


「あ、クッキーもレナードさんのところに持っていこうか」

「レナードさんも砂糖くれるかな?」


「くれるといいね。」

「じゃ、おねえちゃん、クッキーも作って」


「はい。それはそうと、ユッカちゃん、明日も魔石売るかな?」

「レナードさんに届けても、その日にはお金もらえないよ」


「え、じゃ、魔石とか他の物でお金つくらないとだめ?」

「おねえちゃんに預けてあるよ」


「あ、いや、そうなんだけどね。私も食材だけじゃなくて、ナイフとかの調理器具と大工道具もちょっと欲しい」

「鹿の解体の残りが終わったら、おねえちゃん一緒に魔石作ろ」


「ユッカちゃんが一緒にいてくれると心強いよ」


<<ナビ、脳科学の論文とかどうなった?>>

<<怪しげな宗教、通販斡旋を除去。癌や脳腫瘍、痴呆症に関するものを除去。

 基本はヒカリのブドウ糖の説があり、最近では乳酸が利用されているようです。


 詳細は以下に


 ・脳細胞は2種類

 ・ニューロン系伝達細胞:ケトン体からATPへ変換、脳内の情報伝達

 ・グリア細胞:ブドウ糖を消費し、ニューロン系の栄養供給および伝達物質の制御

 ・筋肉などは脂溶性の脂やタンパク源をそのまま代謝に使えるが、脳内細胞は水溶性の物質しか細胞膜の性質で取り込めないため、ブドウ糖を消費していると考えられている。

 ・一方、近年では乳酸も脳内で消費が確認されていて、運動後に発生した乳酸を脳が利用することで栄養を取り込んでいる。そのため脳活性に運動が大切という学説がでてきている。

 ・その他水溶性脂質のDHAがエネルギー源ではなく、触媒作用として利用されている。


 以上>>


<<ナビ、ありがとう>>


 簡単に言うと、単に飴だけ舐めてゴロゴロしてても脳は活性しない。運動も大事って判ってきたってことね。もう一つ重要なのはグリア細胞がニューロン細胞に栄養補給しつつ、速度制御もしてると。


 そんな意識は無かったよ。

 血管通って、栄養が運ばれてそこで消費するような、筋肉系と同じ感覚だった。

 これは意識のさせかたが変わってくるね。

 ユッカちゃんも知ってるかな?あとで聞いてみよう。


「おねちゃん、今日のやることおしまい。魔石作ってから寝るだけだよ」

「いろいろありがと~。それで魔石作る前に今日の復習をしたいんだけど」


「なに?」

「今日、<かくれんぼ>したり、エーテルさん使って運動したりしたけど、体の筋肉のエネルギー消費と脳内のエネルギー消費の仕組みが違うってしってた?」


「おかあさんは教えてくれたけど、わかんなかった。『続きは大きくなってから』って」

「そっか。脳って砂糖と筋肉で作られた乳酸の両方使えるみたい。

 だから、甘いものを摂取して、運動もしてる今日はエーテルさんを上手く使えるかも?」


「おっきい魔石作れる?」

「かもれない。けど、無理すると二人で寝たままになるね」


「じゃ、一人ずつやろ?」

「そうしよう。楽しみだね」


 まずは、ユッカちゃんの番だ。

 魔力が変わってないとすると、生成される大きさや量は変わらないはず。

 だけど、もし、脳の使い方で効率が変わるなら大きさか量が変わってもいい。

 生成速度自体は伝達物質の制御にかかわる部分で、そこは今回教えてないからね。


「いくね。ゆっくりやってみる」

「おっけ~。寝ちゃったら今度は私がベッドに移してあげるね」

「うん」


 両手をじっと構える。

 祈るような姿勢で目をつぶって何かを念じる。

 じっくり、じっくり。呼吸を深くゆっくりと。

 こうみると、なんか精神集中して、気合いれてるっていうより、

 リラックスして瞑想してるように見えて、安心感があるね。


 あ、あれ?両手が膨らんできたよ。

 少なくともピンポン玉サイズじゃない。

 本人もきづいているかね。

 まだ、成長してる。

 うわ!ユッカちゃんの両手から完全にはみ出した。

 テニスボールぐらい?

 そこで、ゆっくりとユッカちゃんは目を開いて魔石生成を止めた。


「ふぅ。こんなに大きいの初めて。でも前より楽だったよ」

「すごいね」


「うん。ギューッと念じるんじゃなくて、体の物質の流れを頭に集めてあげる感じ。スムーズに流れるように静かに呼吸してあげた」

「そっか。私もやってみるね」


 先ず呼吸をし易い姿勢に構える。

 姿勢を正して椅子に座った感じね。背もたれによりかかちゃうと、どうしても猫背になって、バランスが狂うから。

 魔石を作り始めるまえに、呼吸自体を整える。

 そしてエーテルに話しかけながら血液、リンパの流れを確認。


 今回は初めて脳内の細胞へも意識を回す。

 脳内細胞といっても、今回はグリア細胞の方ね。

 ここが伝達制御とエネルギー制御してるなら、きっと、ここで乳酸の処理もしてるはず。


 それにブドウ糖と乳酸では大きさも違うし、エネルギーの変換処理速度も変わるだろうから、

そこがスムーズにいくように極小領域でのイメージをしつつ、脳内全体にそのイメージを広げていく。


「いくね」


 目をつぶってから、小さくつぶやいた。

 ユッカちゃんの返事は聞こえなかった。

 手のひらを合わせて組み、ここで初めて魔石生成をイメージする。

 そして魔石生成イメージに対してスムーズに体内の物質が供給されるイメージを載せる。

 ああ、なんか自然にエネルギーが手のひらから出ていく感じ。

 これは楽だね。


 手のひらが熱くなり、生成が始まったのが判る。

 1分もかからずに手のひらサイズにまで成長した。

 頭の疲れがないので、ゆっくりそのまま続ける。

 数分後、ユッカちゃんと同じテニスボールサイズを生成した。


「ユッカちゃん、できた!みて、ほら、こんなに大きいよって……。

 あれ?

 え~~~?!」


 ユッカちゃんが、手品師がコインを出すように、

 ポロポロとピンポン玉サイズの魔石を手のひらから生成している。

 ただ、手品と違って種も仕掛けもないし、ゴロゴロとした魔石が消えない。


「おねえちゃん、この大きさなら簡単だね」


 私も負けじと呼吸をそのままに、

 なるべく気負わずに魔石生成を試みる。

 両手に一個ずつ作れた。

 なにこれ!


「ユッカちゃん、私もできたよ!」


「でもおねちゃん、今日最初に作った一番大きいのは、10年ぐらい生きた魔物からとれる大きさになるから入手元を聞かれたりして、売りに行くと大変だよ。


 こっちの手のひらに収まるのもレナードさんの街では、一度に沢山は買ってもらえないかも」


「ああ、ありがとう。大きいのは大きな町に行くまでに隠しておこう。

 いつか、買ってもらえる人に会うまでね」

「うん。そうしよ」


<<ナビ、今のユッカちゃんと私の魔力を普通の宮廷魔術師と比較するとどんなもん?>>

<<宮廷魔術師=100として、ユッカ=2000、ヒカリ=800>>

<<ありがとう>>


 やっぱ、脳のエネルギー変換をスムーズにすると取り出せる魔力も変わるんだ。

 ただ、魔力があっても、使える魔法の種類が全然少ないし、

 そこへ効率よく作用させるには一個ずつ覚えていく必要があるんだろうね。

 明日からも、がんばってこ。

誤字などの修正のみ。本ストーリーへの影響はありません。

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