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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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4-16.航海(3)

まぁ、ユッカちゃんの言う通り、私のミスなんだろうけどさぁ

なんでこうなった?

取り敢えず、甲板に上がってきて、みんなの様子を見に来た。

食事なのか、天体観察なのか、なんなのか?

そもそも、アリアは私に対して怒ってるのかね?悲しんでるのかな?

早とちりしないように注意しないと。


「アリア、元気?」

「あ、はい。差し入れありがとうございます。

夕飯の準備とか手伝えず、申し訳ございません。」

「ええ?ああ・・・。

<コロッケ>はおやつでさ・・・。

遅くなっちゃってごめんね。」


「ええと・・・?私待ちでしょうか?」

「あ、え、ええと・・・。」


なになに?会話が進まない。

私が変なのか、なんなのか?


「ごめん、アリア、私の勘違いかな?」

「何がでしょうか?」

「いや、こう・・。アリアに冷たかったかなって。」


「え?」

「いや、月の観察しようねって、任せちゃって。」


「あ、ハイ!

ちゃんと準備してます!

もう少しお待ちください!」


「あ、あれ?何か困ってない?」

「いいえ?ヒカリ様のおかげで皆さんが協力してくれるんです!

『月の観察を絶対に成功させよう!』って。」


「そ、そう・・・。じゃ、時間あるみたいだから夕飯作って来るね。」

「ハイ!」


ーーーー


あれ・・・。

なんなんだ・・・。

しょうがない。

一人でコロッケでも仕込むかな・・・。


「あ、あれ?ステラ、フウマ、何してるの?」

「姉さん、ユッカちゃん一人に食事の準備させてるの?」


「ええ~~?」

「ヒカリさん、ユッカちゃんが暇でいろいろはしゃいでます。」


「あ、ああ・・・。判った。ステラありがとうね」

「いえいえ。ご心配に及びませんわ。」


そっか、そういうことね。

暇だから、いろんなところを遊び歩いてるのか。

で、私の助けができないから、アリアの助けに向かったと。

で、アリアの支援を全員で向かって、

今度はコロッケが足りなくなったから、また人を集めてくれると。


そっか~。

私は勘違いというか、ユッカちゃんのことを全然分かってなかったね。

いま、ユッカちゃんはこの船の上でしか自由が無いんだよ。

その中でできることは、人のお手伝いぐらいだもんね。

どういう宿題を与えたら、ユッカちゃんは困るかな?

いろいろ考えて無理難題を出してみよう。


「ステラ、フウマ、コロッケの材料は大きく3つ。

1.茹でて皮を剥いたジャガイモを潰したもの

2.肉と玉ねぎをみじん切りにして炒めたもの

3.パン粉

だよ。

あとは小麦粉とか卵で1+2に3をまぶして油で揚げるだけ。

わかった?」


「姉さん、それを一人でやってたのかい?」

「うん。みんな忙しそうだったから。」

「ヒカリさん、みんなでアリアさんの手伝いや見学をしてたのですわ。

今晩の月の観察会を皆、楽しみにしてるんです。

私も月は、その形のものが用意されていて、天に上がってくると思ていましたわ。

神々の作られたルールとは違うルールが判るのでしたら、

きっと、新しい魔術の開発のきっかけにもなると思います。」


「フウマは?」

「姉さんの夢はなんでもいいさ。早くトレモロさんに地図を作ってあげないと。」

「いや、だから、平面で地図書くにはいろいろ不整合がでてくるんだけど。」

「姉さんも言ってただろ?お盆のようなものに陸地が載ってるって。地図を書けない訳が無い。」


「あれ?フウマ居たよね?」

「姉さんがアリアの意見に反論してるのを聞いていたよ。

『ちゃんと証拠示せないと駄目だ』ってね。」


「じゃあ、一緒に月をみようよ。それまでは地図の話を保留にさせてよ。」

「分かった。じゃぁ、急いで皆で夕飯を作ろう」

「うん!」


なんか、面倒なことになってるねぇ。

ステラとアリアが分かってくれてるのはありがたいけどさ。

こう、男性の方が夢とかロマンとか追い求めそうなんだけどさ、

うちの女性陣の方が夢や好奇心が山盛りな気がするよ。

まぁ、いっか。


ーーーー


「アリア、準備できた?」

「はい!自信をもってハイと言えます!」

「ひょっとして、もう、見てみた?」

「ハイ!」


「どう?」

「感激ですが、ヒカリ様の前に感激を味わって申し訳ございません。」

「アハハ。第一発見者の醍醐味じゃん。やったね!」

「ありがとうございます。皆さんに感謝です。」

「うんうん。この発見を事実として確認して共有できることで、今度は皆がアリアに感謝する番だよ。」


「え、そんな・・・。」

「アリアはこう思うんだよね。『これは皆で発見したのです。皆のおかげです』って。」

「はい・・・。」

「なんか、不満なことがある?」


「これは、ヒカリ様の成果なのではないですか?」

「大きな意味では私と私の大切な仲間の成果だね。

だけど、月を観察して、月の形は影で変わっていることを示したのはアリアだよ。」


「なんか、ちょっと・・・。」

「うん。ま、いいよ。皆に見て貰って感想を聞こうよ。」

「はい!」



みんなで、代わりばんこにアリアの望遠鏡を奪い取って見てた。

何より、クレーターに沿って、山の影とかみえるもんだから、

月がのっぺらなお盆の形ではなくて、この大地と同じ凸凹で形成されて、

そこに太陽からの光りの当たり方で影ができるって分かってきた訳だね。

まぁ、それぞれの自転周期とかあるけど、とりあえず月の形は影で変わることが確認できたのは大きいね。


「アリアさん、凄いですわ」と、ステラ

「姉さん、これはアリアが正しかったんじゃないのか?」と、フウマ

「月が凸凹してるねぇ~」って、ユッカちゃん。

「ヒカリさん、これは、大地が球体であることの間接証明でしょうか?」とトレモロさん。


みんな、このアリアの発見に対して真摯に受け止められてるね。

そりゃさぁ、かなり高純度な石英ガラスのレンズを精密に加工されれば、私が居た頃の日本と同等な観察が行えるもんね。新発見が続出すると思うんだよ。

ま、いっか。


「ヒカリ、ルナに怒られるわ」

「え?ラナちゃん、何?」

「いちおう、月の形を決めて毎日管理してるのは月の妖精ルナの仕事なのよ。」

「あ、はい・・・。」

「ここまで科学の力でルナの仕事を奪うと、ルナがやる気無くして、怒り出すわ」


「ええ~?」

「ヒカリ、声が大きいわよ。」

「あ、はい、すみません。でも、潮の満ち引きとか月が無いと起きませんよね」

「それは、貴方が好きな重力と月の関係を示せないと、月の価値が見えてこないわ。」


「どうすれば・・・。」

「貴方が、『月の役目は形だけじゃない』って、ちゃんと説明しておくことね。」

「わ、わかった。ありがとうございます。」

「新年の月が3つ新月になるときに、会えたら紹介するわね。」

「あ、はい。チャンスがあればよろしくお願いします。」

「じゃ、頼んだわよ。」

「はい!」


いや~。

これは、なんというか、科学と妖精の扱いは難しいよ?

日本では<八百万やおよろずの神>って概念があってさ、

万物ばんぶつに神が宿っているて考え方普通にあるんだけどさ。


妖精を信じてる世界で、その意義を問うような発見をすると、

今度はその妖精をないがしろにするような雰囲気になっちゃう危険がある。


ここは、科学と魔術が共存できる世界なのだから、

そこの教育も一緒に進めたいよね。

それができないと、<ドラゴンの名を騙る集団>と同じ方向にむかっちゃうもん。

いつも読んで頂きありがとうございます。

時間の許す範囲で継続していきたいと思います。

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