表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

215/334

4-13.航海の準備(13)

後悔先に立たず。

なのかなぁ?


「おねえちゃん、おはよう。」

「ユッカちゃん、おはよう。昨日は夜遅くまで付き合わせてごめんね。」


「ううん。私はストレイア帝国の人なの?」

「序列は判らないけど、十分に王族の一人だね。」

「おじいちゃん達と一緒に暮らすの?」

「う~ん、どうだろうね。

1つ目として、今のストレイア帝国にユッカちゃんが戻るのは命の危険があるってことだね。

2つ目は、トレモロさんが、昨日のことをストレイア帝国に報告するかどうか。

3つ目として、ユッカちゃん本人の意思もあるね。」


「おねえちゃんは、私のことどう思うの?」

「私個人としては、ユッカちゃんが自分の意思で私の元を離れたくなるか、独り立ちすべきときが来たら、お別れで良いと思ってる。

ユッカちゃんが一緒に居てくれるなら離れたくない。」


「私はおねえちゃんと一緒が良い!」

「うんうん。でも、それを許されないのが封建制度における王族の役割でさ。みんな苦労してるでしょ?」


「お妃様とか?」

「ロメオ王子もだし、レミさんとかも。」


「私はストレイア帝国に戻らないとダメなの?」

「命の危険のある重大な局面なので、私としては許容できないね。」

「どうすればいいの?」

「今日のトレモロさんの意見もあるけど、もし意見が纏まらなければ、私は全てを捨ててユッカちゃんと二人で旅に出るよ。」


「全てって?」

「これまで手に入れた物全てかな。知識や経験は残るけど、仲間全員とお別れする必要があると思うよ。」


「念話があるでしょ?」

「念話ガードすれば、普通の人達とは拒絶できるよ。」


「なんでそうなるの?」

「ユッカちゃんも私も力があるんだよ。その力を邪魔だと思う人が居ると、私達だけじゃなくて、私たちの仲間も犠牲になる場合があるんだよ。だから別れる必要がでてくるよ。」


「ドラゴンとかナイトメアがそうなの?」

「今のところ直接対決をしている訳じゃない。だけど、私が執ってきた行動は彼らにとって、相当邪魔な活動に捕らえられていると思うよ。私達の存在が知られたら、その勢力と戦争になるよ。」


「飛竜さんやラナちゃんを助けたこと?」

「そうだね。クロ先生もそうだし、ひょっとしたらレイさんやレミさんもかな。ユッカちゃんもその一人だと思うよ。」


「やっつければいいよ!」

「トレモロさんが味方になってくれれば、そのチャンスが出て来るかもしれないね。

今は、敵が何人いて、誰を人質にとられているかも判らないんだよ。」


「トレモロさんを仲間にしよう!」

「うんうん。仲間のままでいて貰えたら、普通に航海して帰って来るまで問題は先送り出来ると思うよ。

ユッカちゃんの両親の件で、酷くショックを受けていたみたいだから、冷静に判断してくれると助かるんだけどね。」


「じゃ、みんなでお食事だよ!」

「そうだね。」


ーーーー


「皆さん、おはようございます」

「ヒカリさん、ユッカちゃん、おはようございます!(ALL)」


昨日のメンバー全員が既に朝食の食卓に着いている。

トレモロさんは目の下にクマがある。

それでも、無理やり笑顔を作って、挨拶を返してくれた。

私も負けていられないね。


「ヒカリさん、朝食をたべながら話を聞いて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」

「トレモロさん、昨日はお疲れさまでした。時間も少ないので、どうぞどうぞ。」


「はい。それでは私なりに考えた幾つかの提案をさせていただきますので、後でご意見をください。


まず、ハンス様の死は伏せておきたいです。あくまで一旅行者としてのハンスさんのお墓は存在していても構いません。また、トモコ様も同様で、その子供であるユッカちゃんの存在は公にしてはいけません。例のペンダントはこれ以上オープンにしてもいけません。

次に、ヒカリさんの行動や成果ですが、私が推測するに、飛竜族や妖精の長と関りがあると思います。今後一切、ヒカリさんが主導で行った成果としての言動や噂、情報を隠す必要があります。


そして、ロメリア王国の作戦を潰して制圧したことや、関所の統治でヒカリさんが指揮を執られている内容も、優秀な部下が勝手にやってくれたこととして、ヒカリさんの存在を歴史から消すような活動が必要です。


それらの対処が済んだ前提であれば、計画していた通りに新規航路の開拓も出来ますし、私も同行した上で、報酬も受け取れるでしょう。私名義の報酬は全てヒカリさんが自由に使って頂いて結構です。」


「あ~。トレモロさんは素晴らしいね。

私なりに秘密を保持できるようにしていたつもりだけど、最近はいろいろな人たちとの交流が増えて、ガードが甘くなってきているね。

今度の航海で私を殺しちゃおうか・・・。

あ、でも、リチャード王子との婚約の件もあるか・・・。」


「ヒカリさん?」

「トレモロさん、何かな?」


「歴史から抹殺する意味で、行方不明になってもらうことも考えていました。それをヒカリさんが提案されるので、私の伝えたいことを理解して頂けて助かります。

けれど、<王子との婚約>の件は初耳なのですが。」


「う~ん。

そもそも論でいうと、王子の病気を治したことから始まっててさ。

王子とそれをきっかけに知り合いになって、男爵の地位とか貰ったんだよ。

私も王子に相応しい存在であるべきと思って、いろいろやってたんだよ。

そしたら、こんなことになっちゃってるんだよね。」


「ヒカリさん、エスティア王国の皇太子が結婚をするとなると、

周辺地域との政治的な力関係を維持するために

政略上、都合の良い人を選ぶのが慣例です。

私はヒカリさんとお会いするまで、存在を知りませんでしたが、

どういった圧力がエスティア王国にかかっているのでしょうか。」


「まさにそれでさ。

『国の役に立たない結婚は認めない』

みたいな声が財務大臣から上がってね。」


「極めて当然のことでしょう。ヒカリさんの圧力の背景をお尋ねしたつもりですが。

『ロメリア制圧するから、私と結婚しろ』

とか、約束されたのでしょうか」


「簡単に言うと、金貨20万枚相当で落札したって感じかな。」

「はぁ?」


「ほら、今回の航海の準備で魔石をトレモロさんにあげたでしょ。

あの方法で、財務大臣2人を破産に追い込んだの。」


「まさか?」

「うん。あれ1個金貨3000枚相当なんだって。80個ぐらい用意したよ。」


「私も9個ほど頂きましたが。」

「砂糖代で1個と、今回の航海で8個だね。」


「いや、そういう問題では無くて、あのクラスの魔石は希少性故に高価な訳でして、そう簡単に手に入る物ではございません。」

「うん。まぁ、普通はそうだね。だから、相手の限界ギリギリまで金貨を放出させることが出来たんだよ。」


「あ、財務大臣二人といいますと、エスティア王国の財務大臣、副大臣のことでしょうか?」

「ううん。エスティアとロメリアの2国の大臣だよ。戦争の終結の際に立ち合いして貰ったよね。」


「ヒカリさん、あんな手品みたいな模擬戦を見せられて、そのあとの終結なんか私には細部は理解できません。当事者ではありませんので。」

「あれ、そうだっけ?ま、いいや。

だから、箝口令を敷くならロメリアとエスティアの両方に言っておかないと不味いんだよね。」


「ヒカリさん、一応お伺いしますが、<いつ戦争が始まっていた>のでしょうか?」

「それは、<ナイトメア>の頃からジワジワとだよ。」


「ヒカリさんは、若返りを繰り返している伝説の魔女なのですか?」

「ステラ、フウマ、説明任せた!」


「トレモロさん、長い航海になりますので、その辺りはゆっくりで良いと思いますわ。少なくともヒカリさんは人族で、私やトレモロさんより若いですわ。」


「トレモロさん、今回の箝口令の話だけど、基本的に秘密を守れる人だけのはずだし、人を扱うシーンでは、姉さんの名前を直接出してないよ。僕やアルバートさんが仲介していたし、そもそも橋の工事はランドルさんの事業だからね。」


「フウマさん、エスティア王国の王族の方達は、<ドラゴン>や<ナイトメア>のことはご存じなのでしょうか」

「ユッカちゃんがストレイア帝国の王族の一人って分かったのは昨日が初めてじゃないかな。多分、だれも知らないよ。

当然、伝説としての<ドラゴン>や<ナイトメア>は知ってるだろうけど、実際にストレイア帝国に圧力がかかっているとか、その勢力のせいで、エスティア王国が長い間苦しめられていたとは気づいていないんじゃないかな。」


「つまり。ヒカリさん達は、知らず知らずのうちに、<ドラゴンを名乗るもの達>と、敵対行動を起こしていたということでしょうか。」

「トレモロさん、僕の理解も今そこに追いつけたところだよ。

当事者としてみれば、当人同士の色恋沙汰を成就させるための行動なんだけどね。」


「ステラ様、ありがとうございます。」

「トレモロさん、私は何かしましたかしら?」

「先日、拙宅を訪問頂きました際に、ヒカリさんと私の間を取り持っていただきました。もし、あのままヒカリさんが不機嫌な状態で帰られたら、このような交流の場もありませんでしたし、間接的にストレイア帝国が滅亡していた可能性があります。」


「うふふ。ヒカリさんは町がいくつも滅びそうなのを何回も止めているのよ。

だから、私も折角助けたナポルの街が滅ぶのが嫌で、止めに入っただけですわ。」


「ステラ様、一般論で言えば、町は作るより壊す方が簡単です。まして、壊れそうな状態を正常な状態に戻すには何倍もの力が必要です。新しい場所に新しい街を構える方がずっと楽です。

それは、つまり、ヒカリさんには街を何個でも簡単に壊せる力があると言っていませんか?」


「ねぇねぇ!ちょっと物騒な事いってるけど、私は何もしてないからね?」

「それはありえません(ALL)」


「なんか、全会一致の即答だね?わかったよ・・・。

フウマ、箝口令はレミさんとモリス経由で一応確認しておいて。

ニーニャ、部品だけ積んで有れば航海しながら改造を進めよう。

アルさん、食料関係の準備、積み込みの最終確認よろしく。

ステラは後で想定される<ドラゴンを名乗る集団>の対策を考えよう。

みんな、いいかな?」

「ハイ!(ALL)」

いつも読んで頂きありがとうございます。

時間の許す範囲で継続していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ