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02.人みたいな何か

なんか、ビジネスライクなのか冷淡なのか判らない。

でも、この人頼みだからすがってみよう。

『あなたは近いうちに死にます。なので助かりません。私の管理する別の世界へ転移してみますか?』


 って、ファンタジーな人から追加で声が届いた。

 うーん、うーん。

 私は今生きている。

 でも、たぶん助かりそうにないってことは、このエレベーターの状況からなんとなく予想がつく。これが冗談の可能性も無くは無いけれど、スピーカーから他の音が聞こえてこないのだから、冗談かどうかを考えている余地はない。


 入念なドッキリに騙されていたとしても、それはそれで構わない。

 今はありとあらゆる状況を想定して、積極的に情報収集を開始することにする!


「あの、すみません。私は貴方とお話できる時間はどれくらい残されていますか?」


 我ながら残り時間を最初に確認するってのは冷静だね。

 このチャンスを逃すわけには行かないけど、ずっと対話が続けられる保証がないのだから、情報収集の優先順位をつける必要もある。


 ただね?

 研究ってのは主観や感情で達成できるもんじゃないわけで、時間の許す限り、既成概念を捨てて、情報収集と分析をした上で新しいことへチャレンジするのが重要


 よし!いけいけ~!


『今、結構忙しいの。貴方みたいな人を結構な人数抱えているの。

 で、移せる人と移りたい人のマッチングが取れたら移ってもらうの。

 ほら、せっかっく移った先で死なれるぐらいなら、移さない方が楽だし。

 だったら、他の人の枠を増やした方が良いでしょ?』


 う……。

 想像以上な状況で、想像以上な能力を持った人と話してるんだ。

 

 そして、全然ファンタジーな人じゃなくて、冷静に淡々と作業をしてるだけっぽい。ここは相手の機嫌を損ねずに、別世界へ移って新しい人生を選択した方が、このエレベーターの中で静かな死を待つより絶対にいいはず!


「判りました。私を別世界へ移す候補に選んで頂きありがとうございます。貴方と出会えたチャンスを生かしたいと思います。


 ところで、先ほど、『移った先で死なれたらと困る』とおっしゃっられたのですが、私が移住しても生きていける環境なのでしょうか。そして移住先で死なないで済むようなオマケとか頂けるのでしょうか?」


『ああ~。炭素ータンパク質系の生物なら生きられる環境だよ。

 言語は必要な時にダウンロードできるようにしてあげる。

 ただ、知識の全てをアップデートしてる訳でないので、足りない情報は自分で収集してね。


 ところで、<オマケ>ってなに?』


 全然ファンタジーじゃない。

 この人だか神様だかは、少なくとも地球とか人間じゃない生物体系を知ってる人だし、そんな人の<生きていける環境>ってどんなレベルよ?でも、<言語>っていうから、会話ができる程度には文明が発展してるってことでいいのかな?


 まてまて……。こんなこと考えているのは、時間がもったいないね。<オマケ>を具体的にお願いして、移住後の生活を有利な状態で始めさせてもらおう。いわゆるチートギフトってやつね。


「時間がないところ恐縮です。

 オマケとは、私がこの箱の中から着の身着のままで転移すると、生活に必要なものが不十分で野垂れ死にしてしまう恐れがあります。そうしますと、折角のお誘いの期待に答えられず、この会話が意味のないものになっては本末転倒です。


 そこで、言語能力以外に生活を支える能力のオプションの意味でオマケと表現しました」


『あー。行く気満々だね。よかった~。

 そして、生きる気力も十分だ。

 オマケね。オマケ……。


 おっけ~。

 生活に必要な機能を何個かつけてあげる。全然おっけ~。


 あ。時間だ。

 次行くね?

 がんばって』


「え?」


そして私はエレベーターの中で2度目の気を失った。

言い回しなどの修正を行いましたが、本筋に影響する内容の修正はありません。

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