3-87.橋を架けよう(23)
ニーニャが来るまでに
少しでも石板彫りの枚数を積み上げておきたいね。
「おねえちゃん、朝だよ」
「ユッカちゃん、おはよ。みんなでピュアしよっか。」
「うん!」
関所に居たメンバーは分かってるけど、獣人族のレミさん達は見慣れない行動だろうね。ま、準備運動をしておくってことは、これからの作業でも重要だよ。
私はいつも通りに、クロ先生の指導をちゃんと受けてから朝ごはんを食べたよ。
今日もユッカちゃんとラナちゃんは居たり、居なかったり山奥での生活を満喫してた。私達は昨日よりも連携がとれてきたのか、午前中までで500枚を追加で作成し終わった。順調に進みだすと気分も良いね。
さて、みんなでお昼ご飯だ。
って、準備をしてたんだけどさ、一人の飛竜が飛んでくるわけね。何にも要請した覚えもないし、見慣れない飛竜だし・・・。
まさか、ニーニャが到着?
飛竜が着陸すると、大きな荷物を背負った小さなニーニャが降りてきた。その後から関所に居たドワーフさんが2人。きっとトンネル工事の助っ人なんだろうね。
私は降りたばかりで、荷物をまだ降ろしてないニーニャに抱き着いた。
「ニーニャ!待ってたよ!いろいろお土産ありがとうね。」
「ヒカリ、苦しいぞ。重いぞ。荷物を降ろすんだぞ!」
「あ、うんうん。ごめんね。これからみんなでご飯だよ。」
「なら、食事をしながらトンネル工事の進め方を打ち合わせするぞ」
「うん!」
ご飯の準備をしながら、レミさんを紹介した。
そしたら、ニーニャが、『お土産だぞ』とかいって、剣と鎧一式を作ってきてるのね。レイさんのサイズで作って、細かなところは手直しでいいんだって。剣の方も完璧な調整は無理でも、合金作成とか鍛冶の基本的な仕上げは終わってるらしい。
よく聞くと、架橋地点にも寄って、4人のリーダーの剣と鎧も一式ずつ持ち込んでて、その調整を終えてから来たから遅くなったんだって。
「ヒカリ様、これを頂いても良いのでしょうか?」
「私にきかないでよ。ニーニャに言って。」
「ヒカリが頼んだんだぞ。『リーダーにも簡単な武器を与えたい』って、言ってたんだぞ。」
「言ったようなきもするけど、それは私が作って貰ったナイフみたいなものでさぁ・・・。私、3人+5人で8人分のお礼とかできないよ?」
「最初の3人分はこれからのトンネル工事の指揮を執れればいいぞ。残りの5人は<船旅に同行する>でいいぞ。」
「じゃ、早く戦争終わらせようね。このトンネル工事さえ終われば、戦争自体は終わらせること出来ると思ってる。治水工事は終わっても終わらなくても大丈夫だよ。
でもね?船の出航準備が一ヶ月ぐらい先なんだって。熟練の航海士さん達が別の航海中なんだって。」
「分かったぞ。トンネル工事が終わって時間が余ったら船の改造をしたり、好きなことをやって待ってるぞ」
「うん。」
「ヒ、ヒカリ!わざとやってるな?」
「ステラ、任せた!」
面倒だからステラに押し付けて、私はニーニャ達と打ち合わせを始めることにしたよ。
後ろでステラが一生懸命相手してくれてる。ステラ、ごめんね。
「レミさん、問題ありませんわ。貰っておいて大丈夫ですわ」
「ステラ様、それはどういう意味でしょうか。」
「う~ん。例えばなんだけど、レミさんがレイさんに何かを与えたり、逆に貰ったりするときに、いちいちお金を支払ったり、対価を要求したりするかしら?」
「いいえ、しません。」
「それと同じことなの。ヒカリさんとニーニャさんは<相手が欲しいから与える>それでおしまい。関所にあるレイさんの娼館も石造りでとても立派なものなんだけど、ニーニャさん達がヒカリさんに無償で作ってあげて、ヒカリさんは無償でレイさんあげちゃうの。」
「話の規模を伺いますと信じられませんが、大切な仲間にとって、非常に欲しいものがあるのなら、私も出来る限りのことをしたいと思います。」
「その通りですわ。ニーニャさんもヒカリさんに取り入りたくて、余計な5人分の剣と鎧を作ってきた訳で無くて、『自分のできることで大切な仲間を喜ばせたい』ただそれだけなのよ。」
「ステラ様、そのような関係を聞くと、とても羨ましいです。」
「でしょう?昨日レミさんが『ヒカリは敬語を使うべきだ』とか言ってたけど、そんな関係の人達が敬語なんか使う必要ないと思いません?」
「ということは、ステラ様とヒカリ様もそのような関係なのでしょうか。」
「うふふ。」
「ま、参りました。」
なんだか、後ろから聞こえてくるステラの説明と説得方法に感心しちゃうね。
ニーニャの方は、イワノフから<空気搬送システム>のことをある程度聞いていたみたいで、なんとなくイメージはできてたみたい。
「ヒカリ、<空気搬送システム>がどこまで進んだか、確認するぞ」
「まだ、石板作ってる段階。トンネルの中で並べる前に、平らな所で動作確認した方がいいと思う。動作確認して上手くいったら、あとは石板と風の印を量産すれば、どこまででも繋げられるよ。」
「その石板を見せるんだぞ」
「うん、いいよ。こっち、こっち。」
大きな重そうな石板を発泡スチロールのごとく、軽々と持ち上げて何枚か並べる。
「この溝に沿って、荷車が走る感じ。行きと帰りで別々に彫ってあるから、荷車さえ用意すれば、いくらでも運べるよ。荷車も<重力軽減>しておけば、いくら積んでも軽々と運べて、簡単な風程度で輸送できると思うよ」
「入り口と出口部分は工夫が必要だぞ。トンネル入り口側は、瓦礫を捨てた後で、そのままトンネルの中に戻れるように、U字型につなげておくといいぞ。
トンネルの奥側もU字にするのと、持ち手をつけて、掘り進んだら、どんどんずらせる構造がいいぞ。
あと、荷車も台車部分と荷台部分を別々に作っておくと、瓦礫だけでなく、荷物に変えたりもしやすくなるし、瓦礫を降ろすときも操作が楽になるぞ。
あとは、平らな場所でスイッチが入るか試してから動かせばいいぞ」
「じゃ、基本的な考え方は問題ないかな?」
「いいぞ。ヒカリはやっぱり凄いぞ。これからも一緒だぞ。」
「ニーニャもいろいろありがとうね。これからもよろしくね。」
「ヒカリ、もう一つ重要な確認があるぞ。」
「なになに?」
「どの方向へ掘り進めるんだ?」
「あ・・・。フウマに聞いてみる。」
「なら、ドワーフ達と荷車の設計と動作確認を始めてるぞ」
「わかった。」
確かに崖の途中とか、わけわからんところへトンネル掘って繋いでも不味いよね。全然じゃないんだけど、あんまり具体的に考えて無かったよ。まして、今回は逆側から掘れないからどうしよっかな。
ーーーー
<<フウマ、忙しいところちょっとごめん。話かけてもいいかな?>>
<<長くなくて、単純な事なら返事できるよ。>>
<<トンネルの工事を進めるんだけど、どこか目印とかあるかな。具体的に言えば、王宮の食糧庫に、こっそり領地マーカーとか>>
<<あるよ。メトロポリタン卿に城内見学をさせてもらったとき、備蓄倉庫も見せてくれたんだ。3ヵ月ぐらいは外界と隔離されても耐えられる量があるって自慢してく入れたよ。人工の洞窟が奥の方まで続いてて、領地マーカーが置かれてない範囲があったから、そこにコッソリと姉さんの領地マーカーを一個置いてきた。そっちのトンネル入り口側に2個を設置すれば、三角形が結べるよ。>>
<<フウマ凄い!>>
<<姉さんの方が凄いよ。この<飛竜の血>と<飛竜>の素晴らしさはなんなんだよ。>>
<<ああ、ラナちゃんのお土産ね。私もなんだか分かってなかったんだよ。関所の人達に(改行不要)
感謝しないとね。>>
<<ああ。姉さんの仲間達にはいつも頭が下がるよ。よろしく伝えてね。あと、アドルフさんは、さっき飛竜でそっちに向かったからよろしくね。>>
<<フウマにも感謝してるよ。くれぐれも無理しないで気を付けて行動してね>>
<<わかったよ。姉さんまたね。>>
<<またね。>>
そっか、そっか。じゃ、領地マーカーで出来た領地に向かって、ラナちゃんにレーザー光を出して貰えばいいね。無理って怒られたらどうしよう・・・・。
ーーーー
「ラナちゃん、お願いがあるんだけど。」
「ユッカと魚を取りに行く約束があるんだけど。」
「ラナちゃん、わたしは大丈夫だよ~。待ってる」
「ユッカが良いならいいわ。ヒカリ、何かしら?」
「トンネルの掘り進める方向を決めるレーザーマーカーを出してもらえないかな?」
「ヒカリ、貴方バカなの?」
「多分、馬鹿です。」
「光は直進するもの。そして、点光源からは放射状に広がる。貴方が自分で説明していたじゃない。忘れたのかしら?」
「なので、レーザーを出して貰えれば、それなりに直進性があるかなって。」
「・・・。」
「何でしょうか。」
「貴方、LASERが何か知らないのかしら?」
「プレゼンテーションで、画面に赤いマーカーおくやつ。あとは、お店で赤い線が出てたりする。」
「貴方、モリスとアリアに負けてるわよ。あの二人に感謝しなさい。」
「え?」
「今日のところは時間が無いから説明を省くわよ。モリスとアリアの二人が作ってくれた<点光源をレンズで絞って平行光にする道具>を持ってきたわ。
これはレーザーではないけれど、レンズの発熱に気を付ければ数百メートルは光が直進して届くわ。それ以上はきっと、レンズ内の泡や不純物が熱を吸収して、レンズがはじけ飛ぶから止めた方がいいわ。」
「それって、灯台みたいな感じ?」
「灯台が何かわからないけど、貴方が思い浮かべている、航海の目印となるぐらい光を遠くへ飛ばす仕組みとしては似たようなものね。」
「最後に一つだけ。レーザーを使えない理由は何でしょうか?」
「簡単に言えば、ドラゴンが飛んでくる技術だからよ。」
「分かりました。種々勉学に励み、自分の愚かさを認識します。」
「良い心がけね。それでこそヒカリよ。ヒカリが自分でLASERを組み立てられるようになったら、私が同じものを印で描いて作ってあげるわ。」
「そのときは、よろしくおねがいします。」
え~。
なんかさぁ、電池がなくても、ラナちゃんならぴか~って光らせてくれるかと思ったんだけどなぁ。
高温炉のナノ核融合だって、すごい技術だと思うんだけど。まぁ、確かにあれは炭を焼いたりすれば、似たような代替技術はあるけど、レーザーって全然違う世界かのかな~。
ナビと一緒に勉強だ。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




