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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-80.橋を架けよう(16)

砂糖を買いに来たら、岩キノコだらけになっちゃった。

「ヒカリ殿、この<丸太採取>と<サイン>の試験は必要なのでしょうか?」

「クロ先生が自由にいろいろな街を歩くことが出来るよ。一人が出来れば、ラナちゃんとかも一緒に行動できるはずだし、人間達から妙に怪しまれることも無いよ。」

「では、私達家族のためでしょうか?」

「ううん。それもちょっとは有るけど、船主との交渉結果を待っててもしょうがないから、その待ち時間で<通行許可証>貰っておこうかなと思って。」

「承知しました。」


ロメリアの城下町までは、飛竜さん達に乗って岩山に向かって進めばいいから直ぐなんだよね。だけど、問題は<直径50cmの丸太>なんだよね。結構太い木を3本も探さないといけないしさ。ステラが前に説明してくれたような枝打ちもしないとね。


飛竜さん達と上空から大き目の木を探して、飛竜さん達は上空待機で、私達3人が地上へ降下。うんうん。二抱えあるような大きな木だね。

先に枝打ちをしてから、ユッカちゃんの斬鉄剣でスパッと切る。高さ30mぐらいあるんだけど、これ<光学迷彩>付けずに運ぶのは不味いサイズなんじゃないかな。

他に許可証を発行して貰ってる人たちって、このクエスト、どうやって達成してるんだろうね。


ま、細かいことは気にせず、城門でサインを貰って、直径1mの丸太3本を飛竜さんがぶら下げてナポルの街に戻る。


「あの~。」

「お嬢さん達、早かったね。許可証があるんだろ?通ってもいいよ。」

「そうなんですけど、この丸太をどうしたものかと。」


3人が、それぞれ大きな木を引きずってる。

念のため重力軽減はせずに、身体強化の力だけで丸太を移動しているんだけど、いやぁ、重い重い。ユッカちゃんも我慢してるけど、相当重いと思うんだよね。


「誰かのお使いかい?というか、そんな大物をどこで採ってきたんだい?」

「<万事屋>の試験で、<大きな丸太を一人一本採ってくる>というのがあったのです。」


「そうか、そうか。昔はもっと小さいと思ったんだが、試験が厳しくなったのかな。そこの城壁の脇に転がしておけば、俺らで見ておいてやるよ。」

「それでしたら、この3本を見ておいてください。お礼にこちらを。」


と、小金貨1枚ずつを渡す。チップの相場とか知らないけど、ここでケチって採取しなおしとかなったら目も当てられないもんね。


「分かった。後で名前を掘っておくよ。ヒカリ、ユッカ、クロでいいな?」

「はい、お願いします」


ーーーー


早速、万事屋のカウンターまで戻ってきたんだけど、受付の人が代わってる。


「すみませ~ん。戻りました。店長はいらっしゃいますか?」

「店長?ああ、ギルド長のことかな。今、重要顧客の依頼を直接片付けに行ってる。可愛いお嬢さん達が何の用だい?」


「今日、そのギルド長に試験をして頂いて、その結果の報告に参りました。」

「そうかそうか。町での買い物が終わったのかな?ひょっとすると、宮廷魔術師見習いで、水がだせるようになったのかな?」


「丸太と城下町のサインです。」

「ほぅ。そこの後ろの騎士さんのクエストか。よし、見に行こう。先ずは丸太でいいか?」

「はい。お願いします。」


今日、何回目かになる門番さんに会いにきた。


「すみませ~ん。丸太の確認に来ました。」

「お嬢ちゃん達、早かったね。あ、これはこれは<万事屋>の店長自らお越しですか。」

「ああ。この子達、ギルド長に試験を受けさせて貰ってるらしくてな。私が代行で試験の確認をしてるんだ。それで、丸太は何処だい?」


「門番さん、どこでしょう?」

「それが、お嬢さん達、スマナイ。ギルド長とメディチ家の当主の二人が来て、丸太3本を買い取ってしまったんだよ。使いの者達が港の方へ運んで行ったよ。」


「あれって、採ってきたばかりだし。試験の結果報告って言ったでしょ?」

「嬢ちゃん、その件に関して合格にするそうだ。お金は今度会ったときに精算すると、言付かってるよ。」

「店長さん、ご足労頂いてすみませんが、売られてしまったそうです。」


「あ、いや、いいんだ。うちのギルド長も随分と無茶するな。人のモノを勝手に売ったりする人じゃないんだけどな・・・。」

「あ、じゃ、最後の試験の<ロメリア城下町のサイン入手>の結果です。はい、3人分!」

「お嬢さん達、これ、締め切りの日付が明後日だ。こんな未来の日付が付いてたら、この試験は無効だよ。」


「だって、それ、ギルド長が渡してくれたんだし。」

「いや、あの人がそんなミスするはずがない。なんかオカシイな」


「だったら、明日の朝から出発すると思ったんじゃないの?」

「普通は、朝から出発するから、そういう日付を入れるだろう。少しでも移動距離を稼ぐためには、夜中に出る人も居るぐらいだからな。」


「あ、なんかサービスしてくれてたね。」

「なんだか、話が読めない。」


「門番さん、私達、今日この街に来て、丸太とか運んできたよね?」

「うん、そうだね。朝方、<万事屋>を案内したから間違いないよ。そういえば、そこの騎士さんも海水の入った樽を運んでいたね。」

「うんうん。ホラホラ!嘘言ってないじゃん!」

「合格な気もするんだが、ギルド長から直接許可を貰っても良いかな?本件は引継ぎされてないから俺には判断できない。」


「じゃ、ギルド長のところに案内してよ。後で会える予定だったから。」

「さっき、<万事屋>で話をしたとおり、重要顧客の依頼があって、出かけてるんだよ。」


「いや、それおかしいって。丸太もどっかいっちゃうし、岩キノコもどっかもってっちゃったの?私の砂糖はどうなるよ?」

「嬢ちゃん、横から悪いが、その重要顧客ってのは、メディチ家に居るんじゃないか?ナポルの街だと、あそこの家の依頼は断れない。さっき、丸太を買いに来たって言っただろ?」


「その人は偉いの?貴族なの?」

「侯爵で商人だから偉いな。ストレイア帝国の貴族だよ。」

「ここって、ロメリア王国じゃないの?」

「領地としてはメトロポリタン卿の管理下だが、メディチ家はもっとエライ。」

「別荘ってこと?」

「なんというか、メディチ家の当主として事業を進めているうちに偉くなったという方が正しいかもな。だから、ここはメディチ卿の出身地でもある訳だ。」


「じゃ、ロメリア王国とはあまり関係ない?」

「ああ、税金もロメリア王国に納めているし、各種事業のおかげでナポルの街は豊かになっている。元が商人とは言え、貴族になっても評判の良い珍しい人物だよ。」


「なんか、その人に行動を邪魔された気がする。砂糖を貰いに行こう。」

「おねえちゃん、今日はもういいよ。帰ろう。」

「ヒカリ殿、あまりの無茶は困ります。せっかくの<通行許可証>も剥奪されてしまうかもしれません。」


「我慢するの?」

「おねえちゃん、私が我慢すればいいんだよね?」

「じゃ、砂糖買ってから帰るよ・・・。」


市場で砂糖20㎏くらい買った。

金貨100枚だって!


でも、メルマでロメオ王子に買って貰ったよりは安いのかな?

リチャード王子なんか2㎏を金貨一袋で買ってたもんね。

しょうがない。今日は帰る。

もう、こんな街、来ないもんね~~~!


ーーーー


「ステラ、ただいま。」

「あら、ヒカリさん、機嫌が悪そうですね。砂糖を買いに行かれたってイワノフさんから聞きましたけど、買えなかったのですか?」


「買うには買ったけど、なんか気分悪い。」

「高値で買わされたとかですか?」


「ううん。20㎏を金貨100枚だから一番安いと思う。」

「良かったじゃないですか。お菓子が沢山作れますわ。」


「それがさぁ・・・。あ。<岩キノコ>をお土産に採ってきたよ。」

「あら、それは貴重なモノを。砂糖より何倍も高価ですわ。見せて貰っても良いですか?」


ユッカちゃんが、カバンから袋4つを取り出す。

で、雑にザラザラと机に広げる。

所詮しょせんは、干からびたコケの塊だもんね。


「ヒ、ヒカリさん、ユッカちゃん、雑過ぎます!」

「え?」


「これ、一欠片ひとかけらで金貨1枚って言われてます。その粉も集めれば金貨数枚になりますわ。というか、<塊りの岩キノコ>って、初めて見たのですけど。」


「岩にこびりついてたから、バリバリ剥がして欠きとってきたよ。ね?」

「うん。ボロボロ海に落ちたり、風にとばされて、集めるの面倒だからこれだけ。」

「・・・。」


「ステラ、どうしたの?」

「私も採取に同行してもよろしいですか?というか、何故私を誘ってくれなかったのですか?」


「ステラが打ち合わせで忙しそうだったから、ユッカちゃんとクロさんと3人で買い物に行っただけだけど?」

「あ、すみません。興奮してしまいました。ヒカリさん達は悪くないです。私もアルさんや服飾店の人と打ち合わせがあったので、仕方ないです。」


「いつも冷静なステラが興奮するなんて珍しいね。」

「あ、はい。この<岩キノコ>って、非常に成長が遅くて、『バリバリ毟り取る』なんて、できない品物なのです。欠片一つ一つを大事にして、薬剤や高級調味料として使うんです。」


「あ、ギルド長もなんか、そんなこと言ってたね。

あ、それそれ! 不機嫌の原因はそれなの!もう、あんな街に行きたくないよ。」

「どうされたんですか?」


許可証のこと、試験のこと、岩キノコのこと、メディチ家のこと、丸太のこと、試験の日付がずれてることなんかを簡単にまとめて話をした。


「ヒカリさん、それはギルド長が可哀想ですわ。」

「なんで?ちゃんと、『後で戻ります』って言ったんだよ?

他の重要顧客とかのお使いでどっかいっちゃうしさ。

人の試験の丸太売るしさ。とんでもないよ!」


「直線距離で片道100km、道なりに150kmの距離を日帰りはしません。まして、お昼に出発して、夕方前に丸太を抱えて戻ってきません。

きっと、ヒカリさんをどこかの貴族の子女と考えて、試験のために丸太を買って来たと考えたのですわ。そして、気を遣って、知り合いの貴族に丸太を転売して、金銭的な負担を解消しようとしてくれたのですわ。その上で試験も合格にしてくれたのでしょう?」


「それは試験官として、人の見る目が無いよ。」

「ヒカリさん、飛竜に乗れないと、そんな風に試験をクリアすることを思いつきませんわ。もし飛竜を使えても、ロメリア王国の飛竜は人を一人か二人運べるだけですし。」


「ちゃんと、馬車とか使っていいか確認したよ?乗り物禁止って言わなかったもん。」

「分かりました。ヒカリさんが正しいです。明日、ご一緒しましょう。メディチ家とは知らない関係ではありませんので、ちゃんと会えますわ。」


ステラも岩キノコに興味があるし、ステラの仲介があれば面談もできるのかな?

今日は砂糖でデザートいっぱい作って、食べて寝よう。

もちろん、ユッカちゃんとラナちゃんのデザートも作るさ。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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