表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/334

3-78.橋を架けよう(14)

『ヒカリは橋をかけ終わりました。めでたし、めでたし。』

って、ならないのかね?


「イワノフ、おはよう。今日は何しよう?」

「ヒカリ様、おはようございます。橋脚間のアーチの設計に入ろうと思います。」


「まだ、橋脚が全部出来て無いのにいいの?」

「河原に作った橋脚の粘土による固定は終わりました。3本すべてです。しかしながら、粘土が乾かないと、全てが台無しになります。文字通り橋が流れます。天候にもよりますが、3日~1週間かかります。

そこの乾燥が十分に行えるまで、水中に建てる二本の橋脚の準備が進められません。川の流れが変わると、既存の橋脚が流出してしまうためです。」


「うわ。それってさ、橋脚建てるだけでもあと2週間ぐらいかかるってことだよね?」

「天候も良く、良い風が吹けば3日程度で乾燥します。しかし、天候は私には操れません。念のため申し上げますが、石の上で火を焚くなどして、急激な乾燥をすると、粘土がひび割れて、そこから劣化し破壊が進みますのでお止めください。<反応するのに良い状態を持続させる>ことが重要になります。」


「分かった。天気が悪くなりそうなら何か考えないとね。他に私が手伝うことってあるのかな?」

「工事の進め方を説明させて頂きまして、問題が無ければ私が指揮をとります。」

「うんうん。良く判らないけど、話を聞くよ。」


「先ず、アーチの構造設計になりますが、半円状に煉瓦や石を並べて、上部からの加重に耐える構造とします。当然ながら、そのアーチが崩れてしまわないように、側面からそれを押さえつけるガードも作る必要があります。ただ、ガード部分は護岸工事と併用したり、隣の橋脚のアーチからの応力をお互いに合わせるとこで解消可能です。」

「何の問題も無いよう聞こえるよ。」


「アーチを組むための足場が必要になります。幅15m、長さ20m、高さ15mの足場が無いと、アーチ状の煉瓦が組み上がりません。足場の材料となる木材は運んで頂いている量で構わないのですが、足場の組み上げと煉瓦の配置、その煉瓦の乾燥でそれぞれ3日ずつかかります。足場の撤去にも3日掛かります。乾燥が完了していないと、並行作業では行えません。」

「何か、遅いね。」


「ですので、先ずは構造と工事の仕方を説明させて頂きました。」

「足場の形になる石を切り出してきて、その上で作業すると、3日ぐらい短縮できるってこと?」


「そのような、大きくて複雑な形の石を作るのは、普通はむ・・・。

あ、すみませんでした。その様な大きな複雑な石を切り出して頂ければ・・・。

あの、ヒカリ様?」

「なに?」


「アーチ型の石を切り出して、それを橋脚間に載せるのは如何でしょうか?」

「いいけど、アーチの意味あるの?」


「橋梁の荷重が分散するのと、橋梁自体の重さが軽くなります。」

「岩一枚だと、メンテナンス性とか、ひび割れたときの惨事とかないかな?」


「外装や化粧には、別の石を切り出して貼り付けます。そこは色を統一したりと、見栄え重視の作業になります。橋梁の通行部分は必ずメンテナンスが必要になりますので、従来型のアーチでも、今回の提案でも敷石は必要になります。」

「なんか、良さそう」


「アーチに使う石材に関してですが、橋脚用に5本の石を切り出して頂いてありますが、現在、2本しか使用しておりません。残り3個を上手く使えば、新たなる石の切り出しも不要と考えます。」

「設計が変わったのだから、無理しなくてもいいよ。とってこようか?」


「計算上は大丈夫です。トラブルなどで必要になりましたら、ご連絡させていただきます。」

「じゃ、それで進めようか。他に何か無ければ、私、ステラ、ユッカちゃんはお菓子作ってても良いのかな?」


「あの、それに関してなのですが・・・。」

「何か問題ある?」


「『飛竜の分が無かった』と、ユッカちゃんから連絡が入っております。」

「そうなの?ラナちゃんとユッカちゃんには沢山渡したはずなんだけど。」


「いえ、あくまで、そのような会話がされているだけで、飛竜の方達が直接不満を言っていた訳では無く・・・。」

「イワノフありがとうね。そういう不公平感は早いうちに解消しておくのが良いと思う。材料含めて調達しなおしだから、何かあったら、そんな風に説明しておいてね。」

「承知しました。」


ーーーー


<<<タカさん>、ちょっと良いですか?>>

<<ヒカリさん、なんでしょう?>>


<<昨日、クッキー食べれた?>>

<<ユッカちゃんとライト様が運ばれた食物ですな?あれなら美味しく頂きました>>


<<今、こっちに来てる飛竜さんたち、全員分あったのかな?>>

<<夜は飛竜は基本的に飛びませぬ故、全員いる場で配布頂きました。問題は無かったと考えております。>>


<<そっか。じゃ、私の勘違いかもしれない。>>

<<皆が喜んでおりました。またご相伴に預かる機会があれば幸いです。>>


<<うん。作るのは良いんだけど、材料が高価で入手し難いんだよね。潤沢に皆に配布できなくてごめんね。>>

<<ヒカリさんのお仲間達と一緒に過ごせて、飛竜族も人間達への偏見が少しずつ変わり始めています。今後ともご一緒できれば幸いです。>>

<<いろいろ手伝ってくれてありがとうね。こちらこそ、これからもよろしくね>>


あれ~?噂の出元が判らない。

まさか、ユッカちゃん自身が食べられなかったパターンなのか?

だとしたら、大事件だよ。


ーーーー


台所で何やらゴソゴソやってるユッカちゃんを発見。


「ユッカちゃん、何か探しもの?」

「あ、え、えとね。」


「砂糖?」

「う、うん・・・。」


「昨日クッキー食べられた?」

「あのね?飛竜さんが悪いんじゃないからね?私が自分で食べなかったの。」


「ユッカちゃんだけ?ラナちゃんは食べられた?」

「ラナちゃんも食べて無いよ。」


「それは大事件だね。それで砂糖を探してたんだ?」

「モリスさんからのお土産には砂糖が入って無かったんだって。」


「塩とか油の調味料はここにあるけど、砂糖はあまり買って無いんだよね。」

「買いに行く?」


「アルさんとフウマに話をしてからなら出かけられる。」

「フウマお兄ちゃんは、昨日帰ってきて無いよ。」


「え?」

「アドルフさんと<ていさつ>に行くって。」


フウマは強い子だねぇ。

肉体的にも精神的にも鍛えられたベースが違うんだろうね。

私は不甲斐ないよ。

長時間偵察すると、高濃度の鉛ヒュームで体が汚染されないように注意しておいた方が良いかな?化学物質の有毒性とか知らないだろうし。

そういえば、鉛白とか鉛丹を化粧に使っていたんだっけ。

簡易マスクをつけるだけでも、短期的には効果あるだろうからね。


「それじゃ、アルさんところに行こうか」

「アルさんは、ステラさんと服飾店の人とお話し中だよ。」


支援職としての仕事もだけど、服飾関係の素材集めではとても助かったよね。今度は工房でも作るのかな?それか、ステラの革技術とのコラボとか?あの2人が居て出す結果なんだから、きっと良く考えられているに違いない。見守ることにしよう。


「そっか・・・。ラナちゃんと一緒に3人で行く?」

「ラナちゃんは、竈の改造とか、部屋の暖房を作るって、どっかいっちゃった。」


100人分の炊事の燃料とか、部屋の暖房ってのはそれなりにエネルギーが必要だもんね。水はあるから、お湯にすることでリフレッシュも出来るだろうし、関所でイワノフやシルフが作った装置も見てるだろうから、放っておいても大丈夫かな。


「そしたら、二人で出かける?」

「おねえちゃん、ひさしぶりだね。」


「そだね。どこいこっか?」

「冒険!(にひひ)」


「いや、砂糖ならナポル辺りの港町で手に入ると思うよ」

「じゃ、砂糖を買いに行く冒険!」


「イワノフさんに言づけて出かけよっか。」

「うん!」


たまには良いよね。

ショッピングしたりとかさ。

そういう目的が曖昧な息抜きとかあってもいいと思う。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ