3-69_橋を架けよう(5)
フウマが奴隷のリーダー達と勝負するんだって。
なんでか判らないけど、まぁ、黙ってみてよう。
「兄ちゃんが選んだ5人だ。こいつらでいいな?」
「はい。ありがとうございます。店主も立ち会いますか?」
「いや、お買い上げが決まったら教えてくれ。8人の準備をしてくる。」
「では、こちらで確認作業を進めさせて頂きます。」
「兄ちゃんがどれほどの腕前かしらないが、気を付けろよ?結構腕の立つ傭兵が紛れ込んでるって噂なんだ。店主である俺が判ってなくて済まないが、忠告はしたってことでよろしく頼むよ。」
「ご忠告感謝します!」
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「ええと、とある領主より奴隷の買い付けを頼まれているフウマと申します。これから貴方達5人を購入するだけの価値があるか、腕試しをさせて頂きたいと思います。よろしいでしょうか?」
「いいぜ(ALL)」
「ご協力ありがとうございます。それでは、個人戦とするか、団体戦とするかなど、何かご希望はあるでしょうか?5人で簡単でいいので話し合ってもらえますか?」
5人ともそれなりの修羅場を潜り抜けてきた連中なんだろうね。
直ぐに自分たちが有利な状況になるように、最善手を模索し始める。
こっちは、フウマとクロ先生以外は学者っぽいアルさんと、女の子3人だもんね。多分、5:5の総当たり戦を挑んでくるんだと思うんだけどさ。あるいは、勝ち抜き戦とか言い出すかな?
5分ぐらいで意見がまとまった。その決断力だけでも買いだね。
代表の1人がフウマに声をかける。
「フウマさん、我々5人は別々の団体に属していたんだ。だから、それぞれで敵の捌き方が異なる。個人戦でお願いしたい。5人それぞれの腕試しの機会が欲しいんだが、その様な条件をのんで頂けるだろうか?」
「構いませんよ。5人それぞれと個人戦をして、それぞれが納得いく形での決着に対して勝敗を決めていくことでよろしいですね?あくまで勝敗ではなく、腕試しが目的ですので、その試合の内容を元に買取判断をこちらで行います。そこはご承知ください。」
「承知した」
「姉さん、王子から一本とったんだろ?」
「うん。両方の王子からね。」
「え?」
「リチャードとロメオね。」
「あのさ?彼ら、特別な戦闘教育も受けてるんだぜ?傭兵とか獣とかの戦いとは違うけど、そこらの女の子が勝てる相手じゃないよ。」
「フウマ、その話はどうでもいいけど、彼らが待ってるよ。」
「うん。じゃぁ、姉さん戦ってきて。」
「え?」
「彼ら小隊長どころか団長クラスの実力があるよ。盗賊団や傭兵団としても数十人規模だ。彼らと個人戦でなら僕も勝てる。けど、彼らにもプライドがあるから、<どんな領主に自分の剣を捧げるか>すごく期待と不安があると思うんだ。」
「それと、私に何の関係があるの?」
「彼ら5人は姉さんの直接の奴隷契約にする。他は僕やアルさん、他のリーダー格の下に配属する奴隷で構わない。」
「そんなに重要なこと?」
「ああ。その代わり、奴隷以上の絆で姉さんを支えてくれるようになるよ。」
「それって、私の仲間になってくれる可能性があるってことかな?」
「いきなりは無理だけど、時間が経てば姉さんを仲間と思ってくれる。距離を縮めておくのはこの機会が一番いいと思うんだ。」
「わかった。やるよ。勝負の方法は?」
「これから聞いてくる。」
ーーーー
「姉さん、<なんでも有り有り>で、勝敗は<待った>と言うか、審判が止めに入るかで決めることにした。」
「なんでも有りってどういうこと?」
「文字通りなんでも。殺しても良い。魔法は何を使ってもいい。」
「まじで?」
「殺されそうなら、僕が止めるよ。あの連中相手なら僕にはそれができる。」
「そなんだ。じゃ、私も出来ると思う。服装はどうしよっか?あと、クロ先生のコーティングはしてもらった方がいいよね?」
「服装は姉さんが動きやすい恰好がいいよ。武器も姉さんが使いやすいものでいいよ。クロ先生のコーティングが重要と思うなら、全員かけてもらっておいて。」
「わかった。」
私は、例の関所の門番が使ってた鎧と剣一式を使うことにした。で、クロ先生のコーティングは私だけじゃなくて、相手にも観客にも全員かけてもらうことにした。
先ず1人目。
相手は剣で勝負がしたいってことで、ステラが借りてきた門番装備の剣を貸してあげることにした。
正規の騎士団崩れなのかな?両手剣を構えてるのは王子とかと一緒。これなら戦いやすいね。<飛竜の血>の影響もあって、もう、剣で受け流す必要がほとんどなく、避けるだけで大体かわせちゃう。こんなんでいいのかね?ロメオ王子のときと同じく、相手が疲れてきちゃったよ。
「ヤメ!」
フウマの中止合図が入った。まぁ、相手の体力不足もあるし、こんなもんなんだろうね。
「勝負引き分けとし、終了とする。奴隷契約の結果は別途報告する。」
つぎ、2人目。
ナイフが良いんだって。こっちも長剣をやめていつものナイフに切り替える。ナイフは貸せるものがないので、フウマが持ってた私の訓練に使う木のナイフで相手をしてもらうことにした。
この人は盗賊団なのかな?構えが汚い。で、フェイントを多用するんだね。
でも、こっちはフェイントによる視覚効果を気にせず、体の動きをエーテルの動きで見てるから、重心の移動とか動く方向を先読みできるんだよね。視覚に惑わされない分、移動速度を楽に上げられるよ。
で、コイツ、ナイフで砂を掻き揚げてきた。煙幕兼目潰しなんだろうね。しょうがないから目を瞑って、エーテルで動作検知しつつ、身体強化した俊足で交わす。
目を瞑ったまま相手の足を払って、相手の木のナイフを蹴りあげて、ナイフを構え直す。
「ま、参った」
「勝負そこまで。奴隷契約の結果は別途報告します」
3人目。
さっきの人と同じく、木のナイフでいいんだって。この人も盗賊団?
ちがった。フウマと同じ忍びの一族なんだね。魔術を駆使するためのエーテルを練ってるよ。
面倒だから、<光学迷彩>を発動。
相手の背後に周り込んで、相手に<重力遮断>を施してから<吹き飛ばし>を発動する。
あ、飛んでった。
「勝負あり!ちょっと回収してきます」
フウマが飛んでった忍者みたいのを飛行術で回収してくる。
地面に到着するのを見届けてから、<重力遮断解除>をする。
「奴隷契約の結果は別途報告します」
4人目
この人も騎士団なのかな、1人目と一緒。
だけど、捌きが鋭いね。
あ、魔術も駆使してるのかな?動きが変わった。
王子クラスの鋭い動き。これ、<飛竜の血>飲んでなかったら、
エーテルで動作確認ができても、体が動ききれずに相手についていけなかったよ。
躱すんじゃなくて、受ける。流しきれずに、受ける。受ける。
ガキン、ガキンって、剣の刃がこぼれてる感じがする。
少なくともロメオ王子よりは断然上の技量だね。
しゃあない<光学迷彩発動!>って、姿消してもついてくるじゃん?
私ピンチ?
<重力遮断><飛行術>を連続発動して、上空に退避。
あ、敵は私を一瞬見失ったね?
って、上見てる。ばれた?
<<エーテルさん、あの人の頭に小さな落雷!>>
キーーーン!
あ、クロ先生のコーティングにダメージが入った音だね。
「ヤメ!そこまで!」
「奴隷契約の結果は別途報告します」
ゆっくり地上に降りてから、<重力遮断>を解除して、
その後で<光学迷彩>を解除する。
いや、無理だって。
あんな本格的な戦闘はしたことないもん。
やっぱ、女の子にとって戦闘は厳しいなぁ~。
最後、5人目。
獣人?素手だって。それも女性じゃん!
なんか、レイさんによく似たところがあるけどさ。
私は素手の戦いとか教わってないよ。
「フウマ、私この人と何するの?」
「戦うと思うんだけど、聞いてみる?」
「聞いてみよう。」
「すみません、この方と勝負してもらうことになりますが、勝負は戦闘で宜しいでしょうか?」
「それはお前が決めたルールだろ。私は知らぬ。」
「勝負無しでも、領主を認めてついてきてくれますか?」
「それはお前のルールだろう。私は知らぬ。」
「フウマ、この人、仲間になってくれるの?」
「仲間になってくれれば、心強いと思う。けど、難しそうだね。」
「お前は獣人族を仲間にしたいのか?」
「私は種族関係なく、協力してくれる仲間を探してるよ。」
「そんな都合のいい話があるか!」
「私もそう思う。フウマ、どうするのさ!」
「え?俺?」
「「そう!」」
「ちょ、ちょっと。二人ともすごく性格が合ってないかな?特に、その僕に対する攻撃姿勢とか協調性抜群だと思うんだ。」
「「確かに。」」
「だが、断る!」
「フウマ、断られてるよ!」
「いや、だから、そこは姉さんが力づくでねじ伏せて欲しいんだよ。」
「この人、多分、勝負に負けてもルール無視するよ。『お前のルールで負けただけだ』っていう。」
「おまえ、頭いいな。私ならそうする。」
「だよね。」
「姉さん、獣人族に姉妹とか親戚とか居ないの?」
「知らない」
「私も、こんな奴はしらんな」
「いや、二人が同じ反応してるのが怖いよ。もう、勝負引き分け。僕の負け。」
「「なにそれ!」」
「奴隷契約の結果は別途報告します」
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「フウマ、5人目を除いて、他の4人はどうするのさ?」
「姉さんが嫌じゃなかったら、4人とも雇うべきだよ。」
「え?あれで?」
「姉さんが、いろいろインチキすぎるんだよ。」
「1人目を除いて、敵が酷いことしてきたから、こっちも必死だったんだよ。模擬戦じゃなくて、実際の戦闘だったら殺されてたかもよ?」
「彼らは姉さんを殺す気で向かってたよ。」
「嘘だぁ。こう、本気の殺気みたいのが無かったでしょ」
「4人目の騎士さんは凄まじい気を発してたけど、姉さんはなんともなかったみたいだね。」
「そうなのか。そうなのか。4人目は姿消しても追いかけられたもんね。凄い力量なんだとは思ったよ。」
「姉さん、1人目だって大したもんだよ。姉さんが変なんだよ。」
「私のことはどうでもいいよ。あの4人を指揮官クラスで雇用して、芋づる式に荒くれ者を雇えるなら雇っちゃって。」
「分かった。そうする。で、5人目は?」
「買い取るに決まってるじゃん!」
「高額じゃなかったら買い取るよ。」
「金貨100枚までなら安いよね?」
「分かった。持ち金が足りる範囲で必ず買うよ。逃げても僕のせいじゃないからね。」
「逃げたらフウマかあの人のせいでしょ。」
「あの人も逃げる理由は僕か姉さんのせいっていうね。」
「そうだと思う。」
「本当に買うの?」
「買わないと負けた気がする。」
「姉さんの気が済むなら金貨100枚でも安いよ。買う方向で進める。
あと、5人の配下になる人も確認して全員買い取るけどいいかな?」
「うん」
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結局3軒目が大当たりの大量購入だったね。
支援職が8人
指揮官が5人
4人の配下が総勢48人
あと、獣人族の女性のレミさんの配下は不明。
1日で支援・間接が14人、指揮官4人、その他53人の合計71人なり。
結構、人がそろったんじゃないの?
さて、今日は食料を調達してから帰還だよ。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




