3-68_橋を架けよう(4)
また、奴隷さんだね。
良い人が見つかるかな~?
先ずはミラニアの奴隷商人を6人全員で巡ることにした。
移動は飛竜6人で、光学迷彩を併用。
一軒目はこの街で一番大きい、大手と言われれているお店。
アルさんが言っていたように、結構な人数が奴隷市場に流入してるようで、檻が個別になくて、種族や性別に分けて大部屋管理みたい。
ある意味で、脱出しても戻る先が無いか、元の村に迷惑がかかる仕組みなのかもしれないね。
私は奴隷商人との交渉は表立ってせずに、面談だけ立ち会うことにした。
「はいはい。技能持ちをお求めですね。どのような技能がよろしいでしょうか?最近は奴隷が多くなっているので安くしておきますよ。」
「まず、指揮官経験や工事現場の親方、商人なら店主経験があるような、人を纏めた経験者が欲しい。」
「承知しました。リストを読み上げるので、気になる人物がいたら止めてください。」
「うん。実際の購入は面談してから判断したい。」
「ご尤もです。承知しました。」
<<姉さん、指揮する人なら問題ないと思うけど、四肢欠損はどうだろう?>>
<<そっちはいいけど、一人で動けないとか、喋れないとか目が見えないとかそういうのも問題になると思う。>>
<<そこは面談で確認しようか>>
「1人目、獣人族になります。王宮で近衛兵隊長まで務めた経験があるそうですが、年齢が38歳と高めであることと、人族との会話が不便であるため、小金貨5枚になっております。食費もかかりますので、もしお気に召したら、装備品などもお付けできます。」
ふむふむ。アルさんの出番だね。レイさんが居たらその経歴が嘘かどうかもわかるんだろうけど、獣人族も複数いるだろうし、ま、面談してからだね。
「2人目と3人目は服飾店の夫婦になります。部屋は別々になっておりますが、20人規模の服飾店を工場までもって経営をしておりました。肉体労働に不向きであることと、年齢が40歳前後であるため奴隷として使いにくいため、引き取り手が少ない状況です。二人で金貨2枚。資材や機材を付けると金貨10枚になります。」
「次は商人の店長で・・・。騎士団の小隊長で・・・。馬車の護衛隊長で・・・」
しばらく、奴隷商人の説明が続いた。
めぼしいのは、服飾店の夫婦がどの程度、工事現場で応用が利くかと、獣人族が格安なのが興味あるね。
他の人は数人の小集団の長をやってたけど失敗して犯罪奴隷に落とされちゃったっぽいね。
工事、建設、土木、鍛冶とかいないかな・・・。フウマに<念話>で伝えてみる。
「ええと、工事や大工経験者はいませんか?石工でも構いません。あとは鍛冶職人や採掘士など。」
「ドワーフ族に多いですね。数人はいますが、素性は分かりません。リストに入れておきますので、あとで面談して、そちらで吟味してください。人族ではそういった技工士の候補はうちのリストに無いですね。」
「ありがとう。それと、一応確認のレベルだけど、四肢欠損や身体に問題があるけど、魔術が使えたり、騎士団長の経験があったりとかそういう人材はいるかな?」
「うちは大きな取扱所だから、あまり質の良くないのはその時点で引き取っていません。そういう技能持ちで訳ありのを探してるなら別の店を紹介するので、そちらを当たってみたらいかがでしょう?」
「それは失礼しました。後で紹介してください。できれば、肉体的に問題なく、やる気と性格で問題のある働き者なんかも紹介頂けるとありがたいです。
「荒くれ者なら、犯罪奴隷専門に扱うの商人が居るので、それも別に紹介します。うちは平均的で即戦力になり、後からクレームが出ないような人材供給をモットーとしています。」
「貴方の店のポリシーを理解せずに失礼しました。それでは最初の3人とドワーフの方たちと面談させていただきたいのですが。」
「お安い御用です。お兄さん達の気に入ると良いですね。」
面談の結果、最初の3人とドワーフ族5人を買い取ることにした。
彼らの荷物も合わせて金貨20枚。
この10倍も人を集めるんだから大変だよね。
とりあえず8人と荷物の輸送のために、馬車3台を追加で購入。
どうも、服飾店の夫婦がお店の在庫込みで売られたらしいんだよね。
あとは馬か。馬はどうしよっかね?
ま、買っておいて船で運んでもでもいいかな。
五体満足でなくて、特殊技能持ちの奴隷商人と犯罪奴隷とか荒くれ者専門の奴隷商人の2軒周って、今日の全体量を決めよう。
「ステラ、ユッカちゃん、クロ先生。これから身体に問題があるけど、特殊な技能を過去に持っていた奴隷さん達に会いに行く。これから私たちがするのは橋をかけたり、治水事業をしたりするから、基本的に健康な人でないと事務処理だけできても仕方ないし、目や耳が不自由だと人への指図が出せないから指揮官としても問題がでてくる。
けどね?
あるレベルの薬や医療を施すことができれば、健全な状態に戻れる人が居ると思うんだよ。もし、そういう貴重な人材がいて、不幸な目に遭っていたら、再起する機会があってもいいんじゃないかと思う。
けれど、それはあくまで私の自己満足なのかもしれないし、この地域では許されない治療行為を施すことになるかもしれない。この辺りの意見をききたいんだけど。」
「ヒカリさん、私からよろしいでしょうか?私自身が使える魔術は基本的に妖精の力を借りるものが多く、一般的な宮廷魔術師と変わりません。治癒速度を高めたりできますが、欠損しているものを回復するこはできません。あとは、長老の作ってくれた秘薬やエルフに伝承されている薬を提供できるだけです。」
「お姉ちゃん、私は腐った部分を除去して、それ以上の進行を止めることはできるけど、失われたものを復活させる魔術はお母さんから教えて貰ってないの。逆に、小さな傷を切り開いて、きれいに合わせることで傷をきれいに治療したりはできるよ。」
「ヒカリ殿、私も欠損を補完することはできません。例えば、眼球が失われている場合には、その欠損を復活させることはできません。しかしながら、眼球が存在して、なんらかの病気などによって、視力が弱まっていたり、白濁が酷い場合には、それを治療する術を心得ております。同様に声や耳に関しても治療できる場合がありますので、そこは別途相談とさせてください。
あと、もう一点。
一応、<可能かどうか>の観点でいうなれば、新鮮な肉体を欠損した肉体へ融合させることは可能です。また、神経系までの接続や循環器系の接続も同時に行い、免疫による拒否反応も除去した状態での可動性を確保できます。これは人間達の間では禁忌事項と思われますので、一案としての情報提供と捉えてください。」
「みんなありがとうね。クロ先生のが一番具体的なのは年の差かもね。欠損の回復については・・・。そうだねぇ。私が一番気になってるのはレイさんの耳と尻尾かな。それ以外新しい人へのその術の提供は考えてないかも。」
「ヒカリ殿、レイさんは関所の娼館の主のことでしょうか?」
「うん。私もわかってなかったんだけど、幼いころに国を占領されて、そのとき耳と尻尾を切り落とされちゃったんだよ。それを戻してあげたいなって。」
「失われた部位に相当する部位を持つ死体があれば、ぜひ私も協力させてください。」
「うん。この戦争が終わって、獣人族の村とか作れたらレイさんも新しい人生が開けると思うんだよね。その辺りは今のレイさんの生き方もあるから終わってから考えよう。
で、欠損は無理でも、内容によっては回復可能ってのがあるんだね。取引が終わるまでは黙っていて欲しいけど、回復できそうな人がいたら念話で教えてね。特に工事や鍛冶関係者は事故とかで体が不自由になっている場合があると思うからさ。」
「ハイ(ALL)」
二軒目は、訳アリ奴隷を扱う奴隷商人を訪問した。
意気込んでリストを確認したけど、大きな成果はなかったね。3人ぐらい症状の軽い腰痛とか白内障みたいな人がいて、石工とか料理ができそうな人が見つかった。なかなか指揮官ってのは難しいね。
3人で金貨3枚だから安いといえば安い。なんか人の命に値段が付いているのに慣れてきた自分が怖いよ。
三軒目は、ミラニアで最後の荒くれ者専門店だね。
「すみませ~ん。力仕事のできる奴隷を探しているんですが。」
「よう、にいちゃん。きれいな女性連れて奴隷探しとは大層なご身分だね。奴隷同士の殺し合いでもさせるのかい?」
「いや、領主に屋敷の壁の修復を頼まれてさ。結構大掛かりなことになりそうで、町の職人を雇うより、2-3年かけて囲い全体を直そうとしてるらしいんだ。」
「そうかそうか。最近、貴族の方たちは金回りがいいもんな。こういうご時世だ未来に投資しようとする領主に仕えてるなんて、お前も幸運に恵まれたな。」
「ええ、まぁ。それで、力仕事ができそうな人であれば、出自は問わないそうです。あと、男女や種族も関係なく集めてこいと言われています。」
「そうかそうか・・・。う~ん・・・。
まず、うちでは<即戦力>といわれるような奴隷は扱ってない。過去に犯罪を犯して、身分を奴隷に落とされたような奴らがほとんどだ。稀に貴族同士の権謀術策に嵌って奴隷におとされたのもいるがな。その辺りは面談なりで決めてほしい。
そういった訳で、ここでは食事も満足に与えずに弱らせてる場合が多い。そのような扱いをしている奴らをこれから商品として見ることになることを覚悟して欲しい。」
「承知しました。」
「次に、うちのラインナップだ。
貴族同士の争いに負けたのは気性の良い連中だ。だが、王国間の戦争で負けたり、種族間の征服で奴隷に落とされた奴らは、他種族への恨みが強く、そこを従えるにはそれなりのカリスマ性が必要になるだろうな。その分、管理コストを抑えて、値引きできるようにしている。」
「なるほど。壁の大規模修復にも多少の指揮官や専用の執事やメイドも必要になると考えているんです。そういう人たちもいるのですか?」
「気性の荒いの獣人族のメイド経験者はいるぞ。性奴隷として囲ったが返品されて、周り周ってうちに流れ着いたようなやつだがな。
あとは、40歳過ぎて夜伽の役に立たなくて、お役御免になったメイド長や執事も居る。偉い貴族のところで働いた経験があると、プライドが邪魔して、何かと新しい雇い主に反発しちまうみたいなんだ。まぁ、自業自得ってやつだが、普通の<即戦力>として買い取っても返品されるような連中だ。面談してみるといいさ。」
「まず、獣人族の男女全員と面談させてください。次に、プライドの高い執事やメイド長経験者。そして最後に種族問わずに荒くれ者といわれた人たち。できれば、そのリーダー格から会わせてもらいたいかな。」
「にいちゃん必死だな。こっちは商品が捌ければいいに越したことはない。順番につれてきてやるから、どんどん面談してやってくれ。
あっと、すまねぇ。俺は通訳はできねぇ、地方の方言や種族違いの言語は通訳を雇うなり、上手いこと考えてくれ。」
「ありがとう。じゃ、さっきの順番でお願いします。」
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いや~。アルさんとフウマが凄いよ。
アルさんの言語能力が遺憾なく発揮されてさ。獣人族だろうが、別大陸だろうが関係ないのね。母国語で話ができる安心感からか、結構簡単に奴隷身分からの解放に喜びを感じて協力してくれそうな雰囲気。
フウマの方は、執事やメイドの選別とリーダークラスのやる気を判定して、どんどん篩分けしてくれた。
「(姉さん、リーダークラスの5人と力比べをしたいんだけど、いいかな)」
「(それはどういう意味合い?)」
「(この5人は多分、盗賊団とか傭兵団のリーダー格なんだ。だから頭を押さえらえると、そのチームを一括して手に入れられるんだ。そのために、<こっちのが実力は上>ってことを示す必要があって、それがあれば、買い取ったあとも従順であることが多いんだよ。)」
「(なるほどね。大量購入になるかもしれないから、店主と相談してみよう)」
「すみません、このリストの5人の力量を確認したいので、ちょっとした広場で模擬戦をさせてもらえませんか?
万が一傷つけたり、殺したりした場合にはその損害額をお支払いします。そして、当方にケガ人がでた場合にもこちらの自己責任で結構です。」
「にいちゃん、冷やかしだけじゃないんだろうな?」
「あ、はい。この5人以外に、獣人族とメイド、執事のこの8名は買い取り確定したいので、衣類があれば付けて準備を進めてください。」
「お。その8人を選ぶとはお目が高い。品があって良さそうな連中だろ?一人金貨1枚になるけどいいかな?」
「う~ん。本当はもう少し安くしてもらいたいところだけど、これからの模擬戦の迷惑料ってことで、8人で金貨8枚でいいです。彼らが持っていた衣服や装備があれば、それもサービスで付けてくださいね?」
「兄ちゃんには敵わないな。よく勉強してるよ。じゃ、リストの5人を連れてくるのと、8人の出荷準備を整えるから、ちょっとまっててくれな?」
「承知しました」
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




