3-60.ロメオ王子 side-A
王宮ではこんなことになってたよ。
「ロメオ王子、おはようございます。今日はお出かけでしょうか?」
「メット卿、昨日のデザートは美味しかった。あのレシピは何としても入手しておいてほしい。それと、飛竜でちょっと出かける。」
「スレイ様はご存じなので?」
「いや。今日直ぐに戻って来る。」
「承知しました。レシピと王子不在の件は私の知るところですが、飛竜の使用に関しては、私は何も聞いておりません。」
「ああ、宜しく頼む。」
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『(ノック、ノック)アルバート様、宜しいでしょうか?』
「は、はい。何でしょうか?」
『朝食の準備が出来ております。』
「わかりました。着替えを済ませて直ぐに向かいます。」
「フウマ様、ヒカリ様、朝食の準備が出来たようです。基本的には昨日の通りで宜しいでしょうか?」
「うん。ロメオ王子が出かけて居なかったら、私は女性のリカになっちゃう。その方がアリバイが出来ていいから。体調悪くなってこの部屋で寝るとかするかも。OK?」
「姉さんは、ロメオ王子が出かけるとでも?」
「王子の飛竜には昨日念話で連絡済み。あと、昨日のシュークリームを関所に居るリカに届けに行く可能性がある。」
「それが確定したら、姉さんは部屋に籠ってていいよ。その間は僕とアルさんで上手くやるよ。」
「うん。よろしくね。」
「「ハイ」」
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「メトロポリタン卿、おはようございます。昨日は良い寝室でぐっすりと寝ることができました。王宮見学どころか、宿泊体験までさせてもらい、ありがとうございます。」
「ああ、喜んでもらえて幸いだ。ランドル商人の息子であるので、身元確認も要らず、我々としても安心だよ。」
「養父は養父、私は私です。が、親の七光りと言われても仕方ありません。早く一人前の成果を上がられるように心がけます。」
「ロメオ王子もそのような志があれば、皆も安心するのですが・・・。」
「ロメオ王子は、昨日、我々が機嫌を損ねさせてしまったままなのでしょうか?」
「いやいや。気持ちを切り替えて散歩に出かけるようです」
「ロメオ王子なら、飛竜騎士団に所属されているとかで、気分転換に飛竜にも乗れるのでしょうね。なかなかに気持ちが良さそうです。」
「な、なな。そ、その様な勝手なことは出来ませぬ。ちゃんとスレイ隊長の許可が必要になります!」
「そういう決まりなんですか。御者なら勝手に飛竜に乗れるのかと思いましたよ。」
「流石に、どこでも簡単に手に入る馬などとは勝手が違います。それなりの規則に縛られています。」
「じゃぁ、関所で件のリカさんにお会いしに行くにも、飛竜でちょっと飛んで行くようなことは出来ないのですね?」
「ま、まま。まさか。」
「おや、何か不都合なことを申したでしょうか?」
「私は<恋煩い>とは申しましたが、エスティア王国のリカさんとは申してないと思いますが。」
「会話の中で、王子自らがエスティア王国のメイドのリカから菓子をお土産に貰ったと申しております。何か不都合な事でも?」
ガタン!
「おや、リカさん、どうされましたか?」
「き、気分が悪く・・・。」
「リカさん、変装の帽子がずれてる!」
「フウマ様、申し訳ございません。頭の締め付けが強く、頭痛が酷く気分も・・・。」
「な、な、なんですか。リカさんは黒髪の女性なんですか?」
「メトロポリタン卿、これはとても重要な秘密です。ご内密に頂きたいのです。」
「ま、まさか。」
「はい。エスティア王国から私がお連れしました。」
「というと、エスティア王国でメイドをしているリカさんご本人なので?」
「お互いの勘違いはありますが、間違いないかと。ただ、道中の危険もあったため、旅の疲れがでたのかもしれません。詳しい事情を話す前に、リカが休む場所をお借りできないでしょうか?」
「い、今すぐに!昨日の寝室でも良いかな?」
「あそこですと、窓も開き、良い風が通って心地よいと思います。」
「窓を開くのは問題無いが、3階の高さの為、転落には十分に注意して欲しい。」
「景色を眺めるほど元気ではない様子。疲れが取れたらメイドに言づけて我々と再合流とさせてください。」
「わ、わかった。あと、着替えの服なども用意して楽になった方が良いかな?」
「リカ、どうだ?」
「あ、あの、もし、フウマ様に許可頂けるのでしたら・・・。苦しい服から解放されたいです・・・。」
「リカさん、この王宮の中なら大丈夫だよ。僕が守る。ただ、王宮から出る前には、もう一度その服装に戻って頂きたい。」
「わ、判りました。この王宮だけでも楽になれれば・・・。はぁはぁはぁ・・・。」
「では、早速部屋へ案内しよう。服はメイドに用意させるので、着替えるときに声を掛けなさい。よろしいか?」
「フウマ様からお預かりしている服をお預けした方が宜しいでしょうか?それでしたら、勝手に服を持ち逃げしませんので。」
「その様なこと、気にされないで結構!早く楽になって休みなさい。何かあったら廊下のメイドに声を掛けなさい。以上」
「はい・・・。ありがとうございます・・・。」
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「大変お騒がせしました。メトロポリタン卿のご配慮に感謝いたします。」
「いやいやいや・・・。何と申しますか。詳しい事情を伺っても宜しいでしょうか?」
「はい。私も詳細は判りませんのが、フウマ殿からの伝聞になります。
まず、リカには姉がいて、エスティア王国のメルマ付近の関所の領主をしています。
たまたま、領主不在のタイミングで飛竜隊のメンバーが関所に立ち寄ったらしく、メイドであるリカと飛竜隊に所属するロメオ王子が知り合ったようなのです。
リカは生まれて初めて男性から指輪のプレゼントを貰って、とても嬉しかったようなのですが、その様子を見た姉の領主が
『お前は騙されている。騎士団の中でも飛竜隊に所属するようなエリートがお前ごときに好意を抱くわけが無い』
と、リカに激怒した様です。
ただ、領主とメイドの立場の違いはあれど、姉妹の喧嘩には関係が無いようで、収束の見込みが立ちません。
『私は領主としてここを離れる訳には行かないが、リカがその目で真実を見てこい!』
と、フウマ殿と私の養父に連絡をとり、リカを旅立たせたとのことです。」
「つまり、リカさんはロメオ様を王子とも知らなかったし、悪気もなく変装していた訳ですか?」
「その通りです。」
「なぜ、昨日の夕食の場でそれを申されなかったのですか」
「どうも、ロメオ王子と私の会話に圧倒されてしまったようです。リカからすると、助けて貰えるか判らない王子に声を掛けるのがいいのか、旅を支援している私に付き従うのが良いのか困惑していたようです。」
「あ、あの会話では確かになぁ・・・。」
「リカなりに、姉からのプレッシャーと、旅の疲れと、王子と私の板挟みといろいろと心労が重なっていたようです。」
「そうかそうか。ゆっくりと休んで貰うとしよう。」
「そうですね。王子が戻られたら、リカにお会い頂きましょう。」
「う、うむ。それまで王宮見学でも進めるとしよう。」
「もし差支え無ければ、その前に昨日の治水事業についてお願いがあるのですが」
「ああ、昨日夕食会では、王子が失礼な物言いをして申し訳なかった。」
「いえいえ。こちらも妥協点が探せるのでは無いかと、改めてお話をさせて頂きたく」
「リカさんの体調も回復されるかもしれぬし、王子が戻る前に込み入った話を片付けるのは賛成ですな。」
「ははは。メトロポリタン卿も機を読むのが上手いですね」
「アルバート、お主の提案だからな?」
「いやはや。早速詳細につきまして・・・。」
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「メット卿!メット卿は居るか!」
「ハッ!こちらに!」
「昨日の客人達はどうした!」
「アルバート御一行のことでしょうか。」
「他に誰が居る!」
「ハッ。昨日は王様等々、多数のお客様がお越しになられておりましたのもので。」
「あの者達を直ちに連れてこい!」
「ただいま、3人で早めの夕飯をとられております。」
「どこだ!」
「昨日の第四食堂でございます」
「すぐ行く!お前もついて来い!」
「ハハッ」
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「アルバート!昨日なぜ黙っていた!」
「何をでしょうか。」
「そこにいる女性は、昨日は男装をしていたな?」
「はい」
「その者がリカと知っていたな?」
「その様に紹介させていただきました。」
「なぜ、性別を偽っていたんだと聞いている」
「性別の紹介はしておりません。あくまで旅の仲間として紹介させていただきました。女性の旅は道中の安全がございますため、男装での旅路となっております。」
「それを何故言わなかった。」
「頭被りを取り除かせて、それを確認できたのだと、私が勘違いしておりました。」
「むむ・・・。」
「美味しい食事を頂きまして、王族の皆様に感謝しております。ロメオ王子もご一緒されますか?」
「ああ。メット卿、私の分も用意させてくれるか。」
「判りました!」
「とんだ無駄足だった。無駄足どころか恥をかかされた!」
「私が伺っても宜しい事なのでしょうか?」
「ああ。リカの姉がとんでもない食わせ者だ!」
「養父より、『関所の領主の妹を助けて欲しい』とは、言付かっております。何か問題があったのでしょうか。」
「いろいろとな。リカ、お前は関所のメイドとして働いていたリカで、姉があの関所の領主なんだな?」
「はい・・・。」
「メルマの商人組合が裏金を受け取っていることを知っているか?」
「私には難しい話は判りません」
「では、ランドルが治水事業に取り掛かることを知っていたか?」
「姉から聞いております」
「リカはどう思う」
「橋が架かると、移動が楽だと思いました」
「橋と治水事業は別物だ。橋など無くても、雨季の被害は甚大だ。」
「私には良く判りません」
「いや、いい。そうか、橋か。私がミラニア川に橋を架けたらどう思う?」
「皆から尊敬されると思います」
「リカはどう思う?」
「姉にそのことを伝えたいと思います」
「私が橋を架けるまで、この王宮で待てるか?」
「あの、その・・・。」
「リカさんが良ければ、私とフウマだけで帰路に着きますよ」
「いや、あの・・・。」
「リカさん、姉さんに何か伝言でもあるのかな?」
「鍵が・・・。無いんです・・・。」
「「「鍵?」」」
「その、あの・・・。滞在のお礼にロメオ王子の夜伽に付き添うことも考えますが、鍵がなくて・・・。」
「部屋に鍵を掛けるのなら、それは王宮のメイドにお願いすればいいのでは?」
「姉に鍵を掛けられてて・・・。<貞操帯>って言うらしいです。その鍵を姉が管理していて・・・。」
「「「<ていそうたい?>」」」
「ロメオ王子、あの、その、はしたないといって責めないでくださいね?」
リカがゆったりしたチュニックの裾を捲り上げると、
その腰から股の部分には金属でできた褌の様なものが装着されていた。
「ご覧いただけたでしょうか。いま見た腰巻のせいで、殿方との契りを結ぶことは出来ません。そしてこの金属の腰巻は鍵で管理されていて、姉がその鍵を所持しているのです。これを<貞操帯>と言います。」
「その、なんだ。小用などが不便だろう?」
「小用は小さな穴から。後ろは隙間をずらして用をたします。その後で良く洗う必要があります。」
「鍵がなくても破壊は出来るだろう?」
「高名なエルフとドワーフの合作によるものらしく、普通には壊せないそうです。また、鍵穴には封印の魔術がかけてあるので注意するように言われています。」
「すまぬ、すまぬ、すまぬ・・・。リカよ、すまぬ・・・。」
「いえ、私がロメオ様に会うための条件が、この貞操帯の装着でした。私が自ら望んだことですし、その甲斐あってロメオ様に会えたので大変うれしいです・・・。」
「リカの望む橋を架けるのに、少なくとも一か月はかかるだろう。最大限の力を注いで橋を完成させるので、その橋の上でリカともう一度会うことは出来るだろうか?」
「そのときは、姉から鍵を奪ってでも会いに行きたいです・・・。」
「御三方、すまぬが、これから緊急で会議を開く。食事は今日も共にできぬ。メトロポリタン卿と打ち合わせをし、王宮内で過ごすもよし、旅の帰路に着くもよし。自由に行動して欲しい。」
「「「承知しました」」」
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。
なお、書き溜めが間に合いません。
年末年始は10日間ぐらい休むかもしれません。




