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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-58.ロメリア王宮(1)

王宮に招待されたんだけどさ!

ロメオ王子とかいなければいいけど、いたら面倒だよね

「本日は第三王子であるロメオ様とメトロポリタン侯爵同席での夕食会になります。また、無礼講とし、お気軽にご歓談くださるよう、申しつかっております。」

「承知しました」


やっぱ、こうなるか・・・。

飛竜騎士団主催じゃなかったから、どういうことかと思ったんだけどさ。


で、ロメオ王子からジロジロ見られてる。

でも、この変装はバレてないはず。

胸は大して大きくないけど、サラシ巻いてるもんね。

バンダナみたいなターバンもつけてるし。

でも、あれか、<念話ガード>は外せないから、そこからバレるのか?

じゃ、ちょっとだけガード外して、『お城見学したい。』って唱えておこう。


<<『お城見学したい』以外の思考漏れは封鎖>>


これで、関所のリカと同一人物には思われないよね?


「みなさん、お疲れの所、夕食会に付き合っていただきありがとう。この国の王子のロメオと言います。今日は皆さんの腕前が素晴らしいときいて、是非ともお会いしたくて来てもらいました。」

「ロメオ王子様に於かれましては、ご機嫌麗しゅう。一介の旅人にお目通り頂き幸いに御座います」


「あれ?君はサイナスの商人であるランドルのご子息ではないかな?確か、アルバートとか?」

「その通りでございます。以前にどこかの晩餐会に父と共に出席した折、父に連れられて一度お目通りしたかと思います。」


「面白い縁だな。こんなコンテストに出場するとはどういった風の吹き回しだい?」

「旅の仲間と共にミラニアに立ち寄ったところ、このようなコンテストがあると聞いて興味を持ちました。特に副賞の王宮見学は一般市民には縁が無いので、今後の人生の糧になるかと思い、未熟ながら挑戦させて頂きました次第です」


「ほう、その仲間たちを紹介してもらえないか?」

「フウマとリカになります。良い仲間でして、今回のコンテストにも協力してもらいました。」


「リカ、悪いが食事の際は帽子をとるのがマナーだ。もし、宗教上の問題などなければ、その頭に巻くターバンを取ってくれないか?」

「失礼しました。直ちに。」


声色を変えて、低い声で短く返事をしてターバンを外す。

でも、下から出てくるのは茶色い毛で作ったカツラのような帽子。

それもかなり短くて、私の髪の毛全部いれてあるもんね。

いつかバレそうで冷や冷やだ。

てか、もう、バレて堂々とロメオ王子に王宮内を見学させてもらいたいよ。


「なんか、<リカ>という名前と<お菓子>は関係があるのかな?」

「はっ。何か気に障りましたでしょうか?」


「ああ。たまたまだろうけどね。

このまえ飛竜隊の一員としてエスティア王国方面へ視察をしたんだ。

そのときに美味しいお菓子のお土産を貰ってね。

そのお菓子をくれる切っ掛けになったのが<リカ>というメイドの子だったんだ。」

「そうでしたか。ロメオ王子が甘い物に興味があったとは知りませんでした。」


「そこの食事もスレイ隊長のレシピらしいんだが、とても美味しかったよ。今度アルバートも一緒に食べに行こう。」

「いえいえ、そんな恐れ多いことです。それに現在旅の途中でして。」


「ランドルの元を離れて旅とは、独り立ちの準備なのかな?」

「はい。見聞を広めて、仕える先を探すことが今回の旅の大きな目的の1つです。」


「ランドルは相変わらず精力的に商流をまとめているのかな?」

「あ、いえ・・・。最近少々おかしなことを言いだしておりまして・・・。」


「ほぅ。あの愚直なまでに真面目なランドルがおかしなことを言うとは面白いな。聞いてもいいかな?」

「治水事業に乗り出すそうです」


「なんとなぁ。詳しく話を聞いてもいいかな?」

「あ、ええ。もし興味があれば宜しいのですが・・・。」


「メトロポリタン卿がいるから丁度いい。メット卿、話を聞くぐらいは良いな?」

「ハッ。仰せのままに。」


「それでは、不躾ながら養父の恥を晒すようで申し訳ないですが、食事中の小話とでも笑い流して頂ければ幸いです。


養父は商人としてもそれなりに実績があることから、少々の蓄財があるようです。その一方で、私と妹の独立の時期が近づき、養育にかかる費用がなくなり、また、<次に何をするか>を考え始めた様でございます。

そのような折り、サイナス周辺の物流をメインに預かる身としまして、毎年2回発生する水害が地域住民の悩みであり、その難問に挑戦しようと考えた様でございます。

ただ、私から見ても、治水事業は父一人の代で終わることは考えられず、全財産を投げうっても道半ばで終わると思われます。」


「その志や良し!が・・・。ロメリア王国として全面的な支援は出来かねぬなぁ。あそこは領地登録されてないしな。そうだろう?メットよ。」

「ハッ。開墾、開拓、灌漑は任務と心得ておりますが、治水工事は国の財力で実施する範疇に含まれておりません!」


「そうだよな。だが、例えば、そのような有志が居て、その者の責任で治水工事など行うことは国として、その志を支援したいものだなぁ?どうだ、メット卿。」

「ハッ。治水事業の許可権を発行することは可能かと思います。」


「うむうむ。国として、志ある人間を支援すべきだよな。その許可証はいつ発行できる?」

「今すぐにでも!」


「アルバートよ。治水工事を国として支援する気持ちはある。つまり、ここにいるメトロポリタン卿の指示と許可によって、その事業を国のために実施することを可能とするのだが、どうだろう?」

「それはすなわち、養父が私財を投げうって実施した工事を国の成果として接収するということでしょうか?」


「まぁ、商人のせがれのことはあるな。そのような、あからさまな物言いはどうかとおもう。

獣や魔物も出るかもしれぬし、他国の軍隊が接収するかもしれぬ。

その様なときに後ろ盾が無いと困るだろ?もし、そこが無事に治水・灌漑事業に成功したならば、そこをロメリア王国の領地として他国や災難から庇護するということだ。」


「この件に関しましては、旅の途上であるため、いつ養父へ連絡できるかも判りません。また、大事な親書を万が一にも暴漢に強奪される恐れもございます。

また、日を改めて養父自ら賜れることが、本人にとっても幸いかと。」


「メット卿、聞いた通りだ。ランドルに話をつけておけ。」

「ハッ。畏まりました」


「今日の食事だが、何だか興ざめだな。後は任せる。コンテストのレシピの方はお前の判断で買い上げておけ。」

「ハッ。畏まりました」


ロメオ王子はガタガタっと席を立つと、ドタドタと部屋から出て行ってしまう。

部屋には手つかずの食事が5人前残るばかり。


「アルバート様、いくら無礼講とは言え、あのような物言いは困ります。」

「大変失礼しました。ごとのつもりが、あのような不興を買うとは思いませんでした。以前、ロメオ王子と挨拶させて頂いた折には、あのような物言いをしない、徳の高い人物とお見受けしておりました。」


「それに関しては、我々も少々頭を痛めているところでして。」

「何か王子の心情に変化があったのでしょうか?」


「その、恋煩いと申しますか。

他国のメイドに惚れてしまい、王族や大臣から咎められている次第でして・・・。


『国政の役に立たない。自力で侯爵程度の成果をだしてから我儘を言え』


といった諫言かんげんがなされております。」


「つまり、自分の成果を出すのに焦っていると?」

「私としては、そのメイドを普通に王宮で雇えば構わないと思うですが、

どうも王子としては正妻を念頭に考えておられるようでして、側室ならまだしも・・・。」


「それは随分と惚れ込んでますね。」

「はい。今回のお菓子コンテストも、そのメイドにお菓子を届けに行くレシピが欲しいとのことで、あのような大掛かりな祭典が催された次第です。

ただ、私自身としては想像以上の盛り上がりでしたので、コンテスト自体は良いものであったと考えます。」


「コンテストは我々も楽しませて頂きました。また、とても良い盛り上がりだったと思います。さらには、このように王宮に招いて頂きまして、誠にありがとうございます。」

「いえいえ。昔の王子をご存知な方で良かったです。チームのお二人もどうか気を悪くなさらぬよう・・・。」


「フウマ、リカ、そういうことらしい。人には様々な事情があるので、今日の所は我々が配慮しても良いと思う。」

「「ハイ」」


「それで、ご立腹とは思いますが、こちらの食事を召し上がって頂けますか?寝所も一部屋ですが用意させて頂いております。

また、副賞と同じく、明日は王宮内を案内させていただければと思います。」

「メトロポリタン卿、我々にそのように畏まって頂いては、こちらが恐縮してしまいます。ご事情判りましたので、普通に指示いただければと思います。」


ってことで、

なんだか拍子抜けした感じで夕食会が終わった。

味は、昼間食べたレストランより格段に落ちる。

さらには、私達が作ったデザートはどうなったのさ?

20人前とか、相当な量だと思うんだけどね。


まぁ、いいよ。

二人に言わせれば、私が原因だもんね・・・。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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