3-48.ガラスを作ろう(2)
さ、昨日のガラスの続きだよ!
張り切っていこう!
んん~~~。
なんか妙な体温を感じる。だれだ?
「あ、ヒカリ、おはよう。」
「あ、あ、ああ。お、おはよう!」
「ヒカリが待ってろって言ったよな?」
「い、言いました!」
「もう、昼だぞ。」
「が~ん・・・。」
「俺も農場の視察に行けなくなった。レナードと母親とベイスリーさんで出かけた。」
「そっか。ごめん。って、誰か部屋に来たの?」
「ユッカちゃんがきて、『昨日はお楽しみでしたね』って言ってたぞ。」
「ああ・・・。それは、ニホンに伝わるサーガの中のネタなんだよ。多分、意味は知らなくて使ってる。」
「そうか。ヒカリは楽しめたのか?」
「そういうのは聞かないの!」
「起きて、ぶらぶら散歩するぞ。」
「はい。」
ーーーー
いや・・・。
何て言うかさ、皆の気遣いが痛々しいよ。
新婚さんの初夜が明けたような雰囲気。
とりあえず、朝ごはんだ。
モリスに悪いから、台所で直接食べよう。
「ゴードンさん、朝ごはんを二人前食べたいんだけど」
「あら、ヒカリさん、おはようございます。昨日は楽しんだのかしら?」
「マリア様、視察は・・・?」
「もう、お昼よ。農場の視察は終わったわ。いつも通りメイドとして活躍してるわよ。」
「そ、そうでしたか・・・。」
「ジャガイモを収穫した跡地に、もう次の種まき前の地ならしをして、石灰や肥料なんかを撒いてたわよ。要領といい、段取りといい、手慣れたものね。素晴らしいわ。
朝ごはんは、パンとお茶と卵料理で良いかしら?」
「王子、どうしよう?」
「農場は近いのか?なら、お弁当を持って外で食べてもいいんじゃないか?」
「それなら、ガラス作りを見に行こう。寝坊してどうなってるかわかんないけど。
サンドイッチを今から作るよ。」
パンを耳付きでいいから薄切りにして、バターを塗って、そこらにある野菜とかハムとかを適当に挟み込む。別バージョンでライ麦系の黒パンにチーズとハチミツを塗ったり。あとは、牛乳と水を別々の革袋の水筒に入れて準備お終い。速いもんだね。
「王子、できたよ。」
「手早いな。じゃ、出かけるか。」
「ヒカリさん、私の分が無いのだけど。ユッカちゃんの分も。」
「わ、わかりました!今作ります!」
「冗談よ。今日で見るの2回目だから私でも作れるわ。二人で仲良くいってらっしゃい。」
「は、ハイ!」
こう・・・。ね?
本気か冗談か判らない人を相手にすると疲れるよ。
ーーーー
「歩きか?馬でも馬車でもいいが。」
「近いから馬でいいと思う。」
「なら、弁当を落とさないようにな。道案内よろしく!」
「うん。関所の奥の森を東に抜けて、街道を途中から北東に入る感じ。」
「なんだか、随分と道ができてるんだな。」
「みんなが頑張ってくれてるおかげだよ。」
「そうか。良い仲間は大切にな。」
「うん。」
森→川沿いの農場→草原→直ぐに森の中へ。
全部道が舗装されてるんだよね。
王子がいろいろとびっくりしてる。
「ヒカリ、この道でいいのか?」
「うん。岩山が見えてきて、その入り口に馬車が停まってるはず。」
「わかった。」
大体二時間ぐらいかかっちゃったかな。
途中で交代するなり、休憩するなりって声を掛けたけど、
このまま走った方が速いってことで、そのまま走り切った。
「ヒカリ、見えたぞ。ここで昼ごはんだな。」
「はい。」
二人で馬を降りて、馬をそこらの木に括り付けて、馬車の脇を通って、岩山方面へ。そこにはニーニャとアリアとラナちゃんが居た。トーマスさんは居ない。何か別のことをしてるのかな?
「ヒカリ、昨日は楽しめたのかしら?」
「は、ハイ・・・。」
「そう。ニーニャさんから『何も聞いてない』ってきいたから、ヒカリの代わりに手伝いに来たのよ。二人とも理解が速くて助かるわ」
「いろいろありがとう。」
「ヒカリ、この子は?」
「クロ先生のお子さんらしいの。ユッカちゃんとは別の意味でいろいろ優秀です。」
「初めまして。リチャードと申します。今後ともよろしくお願いします。」
「私はラナよ。貴方の噂は聞いてるわ。私、敬語とか使えないの。ごめんなさいね。」
「お手柔らかにお願いします。」
「あら、貴方も優秀なのね。父の手ほどきをうけてみるといいわ。」
「ヒカリ、クロ先生はそんなに凄いのか?」
「私は武術に関しては全然わかんないよ。ごめん。」
「そうか。今度手合わせしてもらおうかな。」
「ガラスの仕込みがもうすぐ終わるから、戻って声を掛けてみればいいじゃない。」
「ニーニャ、アリア、遅れてごめん。ラナちゃんと昨日テストをして上手く行ったんだけど、夕食会辺りでゴタゴタして、二人にそのことを伝えられなかった。それもごめん。」
「ヒカリ、大丈夫だぞ。ラナちゃんのテスト結果が良好だったから、もう、ガラス吹きまで終わったぞ。あとは徐冷炉にいれておしまいだぞ。」
「ヒカリ様、私はこの関所で勉強したい事が沢山あります。どうか皆さんのご指導を賜るチャンスを頂けませんか?」
「アリア、ここの人たちはお互いを尊重しさえすれば、大事に扱ってくれるし、困っていれば無償で助けてくれる。だから、アリアも誰かを助けられるときは助けてあげて欲しいかな。」
「私で出来ることで良ければ、喜んで!」
「アリア、私はガラスで砂時計を作りたいぞ。試作が上手く行ったら、今度は私の注文の形のガラスを作って欲しいんだぞ。」
「是非是非!」
「ヒカリ、ガラスは買うもので、作るものではないだろ?」
「王子、その買ってくる元は誰かが作ってる訳でしょ?いろいろな技術の基礎になるし、一度ガラスを作れれば、自分たちで好きな大きさや形に加工もできるんだよ。
買ってきたものでは技術的な価値は無いの。」
「透明なだけの置物に技術的な価値があるとは思えないんだが。当然、宝飾品としての希少性や芸術的な価値は理解してるつもりだが。」
「うん。大量に作って、大量に器として使える様になれば世界が変わるよ。
で、今見てるこの高温炉の仕組みも大型化できれば、鉄の時代が鋼鉄の時代へと変わることができるし、鉄の大量生産も簡単にできるよ。」
「ヒカリ、この話をレナードは知ってるのか?」
「ううん。昨日二人が来る前に初めてやったことだし。どうも成功しそうみたいだけど。」
「ヒカリは大規模農場を開拓して自給率をあげて、工業レベルを一段階も二段階も上げて、飛竜を討伐して、侯爵にでもなるつもりか?」
「飛竜は討伐してないよ。仲間になってもらったんだよ。」
「意味がわからない。」
「関所に戻ればわかるよ。」
ガラス作成の実験は今のところ成功。徐冷炉を使って段々と冷やしていけば、器も無事に残るかな?泡とか異物があるとそこからひび割れちゃうから、そうなったらそれは今後の課題ってことで。
さて、みんなで一旦関所に戻ろう。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。
また、誤字・脱字の報告ありがとうございます。
簡単に修正ができました。
作者自身も気が付いたときはなるべく直すよう、心がけます。




