3-31.妖精の加護
さて、今日辺りランドルさんが来るんだよね。
その前にレイにお礼を言ったり、ステラに話をきいておこうかな。
「レイさん、こんにちは~」
「ヒカリさん、こんにちは。大活躍でしたね。」
「え?何が?今日はレイさんとランちゃんにお礼を言いに来たんだよ?」
「ロメオ王子を完全に落としたって、ランが報告してましたよ。
実際に二泊して、ロメオさんはお独りで宿泊でしたし。
娼館の子からメイドさんへ噂話が流れるのを気にされたのかもしれませんね。」
「そっかー。そうなのか~。でも、リチャード王子がいるし。」
「まだ、婚約者として認められてないのでしょ?」
「そうだけどさ・・・。まぁ、<縁>を大事にしたいね。ロメオさんとはこの先の縁次第ってことで。」
「ヒカリさんの周りには<いい縁>があります。良い関係になるといいですね。」
「レイさんともいい関係でいたいよ。」
「私はもう十分に<良い縁>を頂いていますわ。お妃様にしろ、ヒカリさんにしろ。」
「そういって頂けると幸いだよ。これかもよろしくね。」
「はい。」
ーーーー
「ステラ~。昨日はお疲れ様。そしてありがとうね。あれ?疲れてる?」
「ヒカリさん!問題だらけです!」
「ええ?飛竜の救出が上手く行ったなら大成功でしょ?」
「いいえ。
まず、ヒカリさんが飛竜の族長に会いに行かなければならなくなりました。私が救出した飛竜との対話で上手く説明できなかったせいです。」
「救出は成功した。そして飛竜と会話までできた。もし、私と同じお願いをステラがするとしても、きっとその飛竜は『族長に会いに行け』って言ったと思うよ。飛竜が人間達に力を貸すのは簡単な話じゃないんだと思うよ。
それでいい?」
「でも、それではヒカリさんが・・・。」
「私のことは気にしないで良いよ。また助けて貰うかもしれないけど、これからのことは皆で一緒に考えようよ。他には何かあったの?」
「エスト、イスト、ミストの3人が・・・。」
「どうしたの?飛竜隊に惚れちゃった?」
「それなら、まだよかったんです。『自分たちの飛竜が欲しい!』って言いだしてます。」
「捕まえればいいじゃん。どうやるか判らないけど。捕まえてもあの兜は使用禁止ね。」
「飛竜に乗ってて落ちたらどうするんですか。あの子ら飛行術使えないから助かりませんよ?」
「そっか。飛行術が使えないから飛竜が欲しいんだよ。乗せれても二人だって言ってたから、余計喧嘩にならないかな。」
「一人一頭ずつで、<ジェットストリームアタック>をするんですって。」
「ステラ、それはもう、<トライアングルアタック>だよ。弓のような飛び道具で同士討ちしないように攻撃できるかしらないけどね。てか、いつ戦争するつもりなの・・・。」
「ヒカリさんがロメリアと戦争するんですよね?弓も買って貰ったって。あの子ら弓の腕前は確かです。以前にもいいましたっけ?」
「弓の話は、なんか聞いた気がする。
そもそもロメリアと戦争しないで終結させたいんだけどさ、向こうが武力行使をしてくる可能性が高いから、その準備をしてるだけなんだよね。
もし、相手を武力で壊滅させても、結局はその領地の国力を取り戻すのに多大な時間がかかるんだよ。だから、局地的な戦闘行為はなるべく避けたいんだよね・・・。」
「ベイスリーさんからも話を聞いてるようで、『私たちは飛竜で出撃ね!』とか言ってます。」
「なんでそういう発想になるの。人は死んだらそこで終わりだよ?」
「エルフ族のいる大陸は<種族のるつぼ>でして、しょっちゅう縄張りあらそいしてます。なので、戦闘行為は出来て当たり前。出来ないと死ぬか奴隷にされるだけですわ。」
「そうなんだ。この地域が恵まれてるだけなんだね。私の考えが甘かったよ。ステラ、飛竜の族長に会って、三頭ぐらい調達しようね。」
「ヒカリさんがそういうと、出来そうな気がします。」
「問題は解決した?」
「解決してないですけど、問題の要点が絞られて、やるべきことが見えました。」
「それは良かった。で、最後に聞いていい?」
「はい、なんでしょう?」
「そのお洒落な額のマークはどうしたの?飛竜隊とパーティーに参加したかったの?」
「え?何もしてませんわ。」
「いや、そこにティアドロップっていうの?雨だれみたいな形したマークがついてるじゃん!」
「雨だれですか・・・。あ!」
「なに?」
「いえ、なんでも・・・。」
「私に隠したい事?」
「隠したいというより、逆ですわ。きっとヒカリさんにしか見えないのですわ。」
「意味が分からない。」
「私も判らないので、長老の所へ行きましょう。」
「なにそれ?」
「ですよね~」
ーーーー
「長老!ステラのこれなに!」
「ヒカリさんや、パーティーは楽しかったようじゃの。」
「それがさ、なんかロメリアの王子から好意的に接して貰って、ちょっと困ってる。」
「なんじゃ、問題でもあるのかのうぅ?」
「だって、エスティア王国の王子と婚約するから、ロメリアの王子は選べないよ。」
「まだなんじゃろ?戦争も負けるかもしれんし。」
「そしたら、この関所も娼館も封鎖になるよ。」
「それは困るのぅ。」
「だから飛竜の族長に会いにいくことになったんだけどさ。」
「うむ。ステラは飛竜と会話ができたんじゃの。」
「やっぱり、長老が何かしたんだよね!」
「わしは何もしとらんのじゃが。応援ぐらいじゃの。」
「ステラの額になんかついてるよ。」
「お主、あれがみえるのか!」
「あれが見えることが特別なら、それは主神のせいだと思うよ。で、あれは何?」
「<妖精の加護>の印じゃ。」
「どうしてステラが貰えたの?」
「いい子だからじゃのぅ。」
「私も良い子だよ。」
「お主も欲しいのか。役に立たない、人に見えないものが。」
「長老はレイさんに言って、<娼館の出入り禁止>にする。」
「ま、待つのじゃ。」
「待つから頂戴。」
「ステラ、お主はヒカリに何て説明したのじゃ?」
「雨だれの形と言えば、長老にお話を聞かないと判りませんと説明しました。」
「ヒカリさんや、これは単なる印なのじゃ。
<妖精と知り合い>を意味しておるが、<妖精の長の印>を実在するものとして認知しておるものは、この関所で暮らす人間達より少ないないのじゃ。」
「さっき、<妖精の加護>って言ってたでしょ?なんか、あったら役に立ちそうじゃん!」
「確かに飛竜の族長やドラゴンなんぞに会ったら、対等に話をしてもらえるかもしれんが、あくまで<紹介状>みたいなものじゃ。ワシは直接的にお主を助けてやることはできんのじゃ。」
「それって、意味あるの?」
「ほとんどの生物に見えないし、役に立たないと言っておるじゃろ?
お主が欲しいのじゃったら、ワシが印を書くのは構わないのじゃ。
ただ、本人に見えるとなると、勝手に印を書いても良いのじゃろうか・・・?」
「長老、水撒きまだ?」
「シルフ、もう、地下の種まきは終わってもうたか。」
「長老の帰りが遅いから、何かあったのかと探しに来たんだよ。クロ先生とラナちゃんも来るよ。」
「それは丁度良かったのじゃ。ステラに<妖精の加護>の印をつけてやったら、ヒカリが欲しいというのじゃ。」
「あ、ステラ綺麗に描いてもらったんだね。僕も描こう。ちょっとしゃがんで。」
「は、はい。」
「長老、シルフ、何やってるの?とっとと種まき終わらせないとヒカリさんに報告が遅れ・・・。あ、あれ?ヒカリさん?」
「今、シルフがステラに<妖精の加護>の印を描いてるのじゃ。」
「へぇ・・・。私も描いちゃお。」
「どれどれ、私も描かせてもらおうかな。」
ステラの額に水色のティアドロップ
ステラの両耳の耳たぶに小さく緑色の渦を巻いた円形
ステラの左手の甲には白金色で太陽の紋
ステラの右手の甲には、黒い丸からフレアが立ちあがった金環日食みたいな形
かっこいい。
なんか刺青みたいなんだけど、ちょっち皮膚から浮き上がって光ってる感じが下品じゃなくていい。
「ステラ、僕は耳のピアスをイメージしたよ。」
「私のは手に描いたわ。」
「私は日食という現象をモチーフとしました。」
「皆様、ありがとうございます・・・。」
「あれ?僕の妖精の印では嬉しくないの?」
「い、いいえ。その、なんというか・・・。」
「シルフ、ライト、クロ、お主らヒカリにも印を授けてやって欲しい。ただ、ヒカリは印が見えるので慎重に頼むのじゃ。」
「え?」
「あら。」
「なんと、ヒカリ殿!」
「そうなんじゃ。『ステラが飛竜に会いに行く』とのことで、何等かの足しになればと軽い気持ちで描いたのじゃが、ヒカリに見つかってしもうた。」
「わ、私も今度飛竜の族長に会いに行くから、<妖精の加護>が欲しいかも!」
「ウンディーネ殿、ちゃんと説明されたのかな?何の役に立つものではないと。」
「<紹介状>ぐらいの効果とは説明したのじゃ。ただ、本人が見えてしまうので、どこに描いたものかと考えておったら、丁度お主らが来たのじゃ。挙句ステラに最優先で描く始末じゃ。」
「ヒカリ殿は理と利を好む方だから、不要かと思っておりました。ヒカリ殿が指定した場所に描きますのでお申しつけください。」
「僕もヒカリが好きな場所に描くよ」
「私も描きますわ」
「もちろんワシもじゃ。」
「あ、ありがとうございます・・・。ステラさんの印がとても素敵に見えるので私も同じ様に描いて頂いても宜しいでしょうか?」
「「「「お安い御用で!」」」」
なんか、随分な我儘を言っちゃってる気がする。
で、でも、もし飛竜の族長がこの印を見ることができるなら、
きっと何かいい効果があるんじゃないかな!
そういうことにしよう、そうしよう!
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




