3-26.合コン:side B
飛竜隊との合コン開始だ。
今度は関所メンバーのターン!
さてと・・・。
一戦始めるとしようかね。
ランちゃんやエスト達には事前に打ち合わせした通りだし。
モリスはお手伝いのメイドとしてお妃様やシルフまで連れ込んだ。
流石だ!皆本気出してるね。
「え~、本日は縁ありまして、飛竜隊の方達により、
(中略)
かんぱ~~~い!」
「どうだ?皆、今日の食事は美味しいか?」
(中略)
我々人間がまともに戦ったら100人の騎士部隊でも相手になるか判らないだろうね。」
みんな、会話のつなぎ方が上手いね。
飛竜隊の人たちもこっちに合わせて話題に乗ってくれてるのは助かる。
なんか、こんな極秘事項がボロボロでてきていいのか微妙だけどね。
「お前ら3人の空中戦での連携は大したもんだしな。あれは、どうやってるんだ?」
「は、隊長<ジェットストリームアタック>のことですね。あれは、飛竜を操縦しつつ、身振り、手振りを通じて連携しています。サーガにでてくるような<念話>でも使えるといいんですけどね。」
「ブフッ。ゲフッ。ゴフゴフゴフ。す、すみません。慌てて食べて咽ました。」
「隊長が選んでくれたこの料理美味しいですよね。僕も楽しんでます。良かったら僕の分もどうぞ。」
いや・・・。
自己紹介の時点で気が付くべきだったよ。
このネタをこの場でぶっこんで来るのはずるいよ・・・。
ユッカちゃんなら警戒してるんだけど、
飛竜の<黒い三連星>ってやつは要注意だね!
「次の料理はこちらになります。こちらもスレイ殿よりご提案頂きました料理を此方の調理人がなるべくレシピどおりに再現させて頂きました。」
「モリス殿ありがとう。これは<ロストビーフ>といって、大きな塊の肉の外側を焼いて、中まで火を通さずに食べる貴重な調理方法だ。各種ソースをかけて楽しむといい。」
<<ヒカリ、ヒカリの正面の人は他人の心が読めるみたいだ。全部が読めてる訳ではないみたいだけど、『ヒカリの思考が読めない』って彼の思考が漏れてる。ヒカリの<思考ガード>でヒカリの思考が読まれてないみたいだね。>>
<<シルフ、ありがとうね>>
「<ロストビーフ>ですか。
(中略)
ちょっと飛竜を見てみたくなりました。」
「リカさんは、飛竜に興味はないのですか?」
「あ、ロメオ様。わ、私は・・・。お話を聞いてるだけでワクワクします。」
うひょー。
何故機嫌も判らないような、心理も読めない私に興味を示す?
これはあれか。
普通の相手じゃ裏事情まで読めちゃうもんで物足りないんだね。
神秘的なものに惹かれるというか、怖い物みたさみたいなもんかね?
深入りしない程度に様子見ようかな。
「スレイ隊長!リカさんに
(中略)
明日中に許可が出れば午後からの開催も可能と思われるが、皆の都合は如何だろうか?」
「さんせ~~~い!」
「あ、あの、私は・・・。」
(中略)
「モリス様、ありがと!」
ふぅ・・・。明らかにおかしいよ。
王族の許可が必要な極秘事項を、そこらの隊員が隊長に<おねだり>できるもんじゃない。
あ、あれか!このロメオさんはロメリア王国の王子なのか。
だから特殊な読心術の魔術を自然に発動してるのかもね。
さ、反省会だ。
ーーーー
「ヒカリさん、うちの子とあの子、どっちを選びますの?」
「え?お妃様、いきなりなんでしょうか?」
「あなたの正面に座っていたロメオという青年はロメリア王国の王子よ。」
「わ、私、知らなかったです。飛竜隊の見学会のためには、関係を繋ぐ必要があると思いまして・・・。」
「そう。で、どうするのかしら?」
「飛竜を乗っ取ります。ロメリアの王子はその責任を問われることになると思いますが・・・。」
「王族がそんなミスしないでしょう。けれど、きっちり飛竜隊を潰して制空権を取り戻すことは重要事項ね。」
「おねえちゃん、カッコいい!ステラさんとおねえちゃんと私で<ジェットストリームアタック>しようね!」
「ユッカちゃん、いつそれ知ったの・・・?」
「皆の自己紹介のときだよ。」
「わかった。明日の鑑賞会で成功したら、3人でやろうね。」
「ヒカリさん、数頭の飛竜を潰せても、また新しい飛竜を捕まえて部隊編成するだけではないのでしょうか?」
「モリス、そこが問題なんだよね。彼らより強い飛竜を手に入れるか、飛竜の頭を捕まえるかしないと空中戦での喧嘩になっちゃうんだよね。人手が足りないこっちが不利だろうし・・・。
ただね?
飛竜を催眠状態にさせつつも、こちらの指示に従わせることができるってことは、飛竜にある程度知能があるんじゃないかと思ってる。だから、きっと催眠より、<針>による弱点を突いた制御なんじゃないかな。<言うことを聞かないと殺すぞ>みたいな。
そうだとすると、飛竜たちを解放出来たら恩に報いてくれたり?」
「ヒカリさん、サーガの中には飛竜と会話した話が出てくるわ。もし、貴方がなんらか飛竜と通じ合うことができれば、その作戦は悪くないわ。成功を祈るわよ。」
「ヒカリさん、私も飛竜にのせてもらったとき、その操縦者は<針>のようなものではなくて、何かを念じて会話をしてるようにも見えたの。お妃様のサーガの言う通りかもしれませんわ。」
「じゃ、明日は制圧までせずに、穏便に懇親会を続けることにするよ。
モリス、5人の普通の女の子で移動することになるから、関所の残り1台の馬車を1日借りるけど大丈夫かな?」
「はい。明日の1日分は問題ないと思います。
そろそろ人も増えてきたので、追加の馬車も必要でしょうか?」
「モリス、馬車なら私が作れるぞ。農耕用の牛車を応用すればいける。ただし、馬は買ってきて欲しいんだぞ。」
「ニーニャ殿、それは助かります。ニーニャ殿の設計は非常に細かいところまで行き届いていて、さらにメンテナンス性まで考えて頂いているので重宝します。」
「う~ん。今日も明日も飛竜隊の対応か・・・。
あ、あれ?モリス、ひょっとして明日ってフウマ達が戻って来るかな?」
「いえ。荷馬車も引いてるとのことですのから、明日は厳しいでしょう。もし何かありましても、代行を務めさせて頂くのでご安心を。」
「モリス、そろそろ客間が減ってきたね。」
「増築しましょうか?」
「お妃様が長期滞在するから建てちゃおう。イワノフさん達にお願いして、娼館と同じぐらいの設備で仕上げてくれるかな。場所は川挟んだ向かいが広くていいと思う。材料は開拓者用地にある石をユッカちゃんに運んで貰っていいかな。」
「承知しました。ニーニャ殿、イワノフ殿、ユッカちゃんと打ち合わせして進めます。」
「ヒカリさん、私のために勿体ないわ。まして戦争で壊されるかもしれないし。」
「いえ、急な訪問とは言え、こちらの備えが不十分でお妃様にはご不便をおかけして申し訳ございません。別荘としてご利用頂いても結構ですし、不要であれば別の遣い方を此方で検討しますので、滞在終了時にご意見を賜れればと思います。」
「ヒカリさん、私の事に気を遣い過ぎよ。いろいろ準備があるでしょうから、そちらを優先して欲しいだけなの。レイの所で話をしたように、元は貧乏な村の出身だから不便にも慣れているし我慢もできるのよ。」
「お妃様には大変失礼な発言で申し訳ございませんが、全てをお妃様に合わせて行動している訳ではございません。とにかくも、フウマの連れてくる客人との接触と協力が今後の作戦立案において、大きな鍵を握っておりまして、下手に動いても全部やり直しになる可能性があるのです。」
「どういうことか、私も聞いても良いわよね?」
「はい。
メルマの有力な商人であるランドルさんと面会予定になっております。また、お妃様よりお預かりしているメルマの自治権を携えたベッセルさんも一緒に来られます。お二人は旧知の仲で、フウマが人材を求めている折り、『私に会いに来る』ということになった様です。」
「おかしいわ。メルマのランドルなら権力や物では動かない人よ。ヒカリさんが何かをプレゼントして、協力をお願いしたとしても会いに来る必要が無いわ。何かパーツが足りないのよ。」
「はい。話を端折らせて頂きましたが、プレゼントをした相手はランドルさんの養子達へでした。<養子達が、ランドルさんへのプレゼントを欲しがった>ためです。当初、ランドルさんの養子達を人材として雇用契約を結ぶつもりでしたが、縁あって訪問頂けることになりました。」
「いい話じゃない。ぐっとくるわね。養子が養父の元を旅立つときにそのお礼をするなんて。そのプレゼントはいくらかかったの?」
「小さな革袋一杯分の金貨です。」
「ヒカリにしては珍しいじゃない。まだ会ってもいない者には出し惜しみしたのかしら。」
「え、あ、はい・・・。」
「でも、結果オーライじゃない。ランドルは理が通る人物よ。ヒカリの理を見せれば話に乗って貰えるかもしれないわ。もし上手く行ったらベッセルを私に頂戴ね。」
「いや、あの・・・。ベッセルさんも私の物ではなく・・・。」
「何言ってるのよ。ベッセルの持つ自治権をランドルに渡す気満々なのでしょ?そしたら、ベッセルをエスティアの財務大臣に召し抱えられるじゃない。」
「私としては、そんな上手い話があるなら、それがありがたいのですけれど・・・。」
「そうね。先ずは飛竜をなんとかして頂戴。その後の事は私も協力するわ。」
「は、はい・・・。」
ふぅ・・・。
お妃様はどんな人脈というか情報網をお持ちなんだか・・・。
まぁ、国を治める以上はそれぐらい当然なんだろうね。
恐れ入ります・・・。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




