3-24.合コン準備
飛竜隊との合コンだ。
さぁ、準備っと。
「ステラ~。新しいお願いができたの。」
「はい。ヒカリさんなんでしょうか?」
「エルフの子ら3人を貸して欲しいの。」
「彼女たちの弓の腕は抜群ですよ。戦力に加えてあげてください。」
「あ、いや、そうじゃなくて。飛竜隊の隊員とパーティーすることになって、頭数合わせに貸して欲しいの。」
「あら。喜びますよ。飛竜隊に憧れてたみたいですから。」
「ステラも参加したい?」
「飛竜を飼ってみたいですけど、隊員とお話しても・・・。」
「私もどちらかというと、飛竜の方が面白そうなんだよね。王子の許嫁だし。」
「関所の従業員のフリして、存分に堪能されたらいいと思いますわ。」
「そっか!私も役どころを押さえておかないと、『伯爵様本人の登場です!』なんて自己紹介は不味いね。いろいろと打ち合わせだ!」
「がんばってくださいね。飛竜捕まえるときは同行させてくださいな。」
「うん!」
ーーーー
「長老!エルフの子らを借りたいんだけどいいかな?」
「本人らが構わなければ、ワシは構わんのじゃ。」
「じゃ、明後日の朝ぐらいまで借りるね。」
「ワシはお主が元気な様子でいるのが嬉しいのじゃ。楽しい気分の方が良いアイデアもでるのじゃ。」
「ありがとね。がんばるよ!」
「エスト! イスト! ミスト!用事があるの!」
「「「ハイ、ヒカリ様なんでしょう!」」」
「超極秘の重要任務であるゆえ、これから緊急会議を行う!」
「「「ハイ」」」
で、いつもの食堂でみんなでお茶をしながら雑談を始めることにした。お茶の準備が整うまでの時間を利用して、お妃様が来てて、妖精とか各種秘密は基本的に喋らない。あるいは良く判らないで通すこと。ロメリアとの戦争準備段階に入っていることは極秘で、制空権をとっている敵方の飛竜隊の情報を丸裸にしつつ、こちらが逆に制空権を掌握することができるように、飛竜の捕獲方法などを入手することが今回のパーティーの主目的であると説明した。
「でね?5:5のパーティーなんだよ。向こうは隊長と隊員4人。隊長は5人分の娼館の空き部屋を前払いしてくれるぐらいお金持ちみたい。こっちは、娼館の子と貴方達3人と私の合計5人だよ。よろしくね。」
「ヒカリ様は、やはり伯爵様として紹介した方が宜しいのでしょうか?」
「えとね!まず敬語禁止!で、私は偽名つかって、この関所のメイドってことにしよう。そうじゃないと、相手が<手っ取り早く思い通りに動かせる存在>って思わせられない。『飛竜隊の人たちにぞっこんなんですぅ~』って皆で装う。だから、私もみんなと同じ関所で普通に働いていて、貴族に憧れている女の子扱いでお願い。
てか、貴方達は本当はエルフ族の貴族の子達なんだよね?」
「ヒカリ! 私たちも仲良し3人組のエルフの子にする。旅の途中でお金が無くなって、ここで働いて旅の資金をためてることにする。イスト、ミストいいよね?」
「「ハイ」」
「じゃ、私の名前を決めようか。面倒だから<リカ>にする。OK?」
「リカ、いい名前ね。そういうことなら、娼館の子も呼んだらどうかしら?」
「そだね。ちょっと呼んでくるから待ってて。」
で、飛竜隊の隊長のお気に入りの子も作戦に参加してもらうことになった。予めレイさんから話を聞いていたようで、飛竜隊とのパーティーの目的は良く理解していた。そしてこの関所の各種極秘事項も理解してくれていた。
「飛竜隊の隊長の名前はスレイです。貴族なのでしょうが、姓は確認できていません。私の名前はランです。ランとかランちゃんと声掛けて貰えればいいと思います。」
「ランちゃんよろしくね。私はこのパーティーではリカでお願い。この子たちはエルフで旅をしている仲良し3人組。エスト、イスト、ミストだよ。」
「「「ランちゃん、よろしく!」」」
「ランちゃん、作戦をお願い!」
「そうですね。基本的に飛竜隊は騎士団の中でもさらに選抜されたメンバーです。魔術も使えるのが普通です。噂によると<念話>が使えるらしいです。飛竜で編隊を組みながら、攻撃したり、囮を使ったりなど連携プレーができるそうです。この辺りがエリートと呼ばれる所以です。」
「なるほど。収入とか家族構成とか判ってることある?」
「基本的に貴族の中でも伯爵以上の爵位持ちかそのご子息でないと選抜対象にすら選ばれないそうです。なので、収入と言われても伯爵以上の領地からの収入を自由に使える身分としか判らないですね。隊長は結婚されていて、家族もいらっしゃいます。確か30歳ぐらいと思います。隊員はもう少し若い方が多く、17歳~25歳ぐらいだったと思います。」
「じゃぁ、関所で働くメイドの子なんか、手玉に取るのは容易って思ってるだろうね。その辺りをのらりくらりと交わすのは面白そうかな。
エスト達は、何かきいておきたいことある?」
「1つ最初にお伺いしておきたいのは、作戦のためとはいえ、娼館の空き部屋に連れ込まれて、その・・・。<契りを交わす>ことは必須事項でしょうか・・・。」
「私はそんな必要ないと思うけど、ランちゃん、その辺りどうなの?」
「その、とても言い難いことですが、殿方と個室に二人きりになるということは前提として<男女の仲を許容している>と、捉えられますので、後から『誤解です。そんなつもりは無かったです』なんて言い分は通りませんし、娼館の従業員の一人ぐらいにしか見なされないので、チップを払われて終わりになるでしょう。
なので、最初から一線を引いておくのであれば、食事会までで、『今回はここまで。また会いましょう。』として、プロの娼婦を利用いただくべきでしょうね。」
「例えばなのですが、各種薬草の支援効果によって、殿方を<とても疲れた眠い状態>に誘引して、何事も起こらない状態で翌朝を迎えることは、『しても構わない』ことでしょうか?」
「ああ。そんなの全然アリだよ。普段ですら、お金払って寝ちゃう人もいるぐらいだからね。そんなの気にしない。ただ、今回の作戦の目的として、相手との関係を繋ぐ意味もあるだろうから、そうなったら、翌朝相手が目覚めるまで待って、『昨晩はとても楽しい思い出をありがとうございます。また一緒に楽しみたいです』みたいなことを言っておくと相手が勘違いしてくれていいね。朝起きて、隣がもぬけの殻みたいな状態にするのであれば、一緒に部屋に行くべきじゃないね。」
なるほど。ユッカちゃんに催眠の魔術を習っておく必要があるね!下手にハーブと使っても、自分が先に寝ちゃったらアウトだ!プロの知恵はいろいろ参考になるよ。
「あの、タブーな話題とかあるのでしょうか。これは関所の秘密事項ではなくて、パーティートークとして、うっかり触れちゃいけない話題とかです。」
「タブーとかは無いけど、座を白けさせないように、<貴方達に敵う者はいません>って態度を通すことだね。貴族はプライドが命だから、それより優れた才能、人柄、金銭など、少しでも自分より高い物を持っているのを見ると全力で潰しに来る。その場で潰せない内容であれば、場が静まり返ってしまうね。
一方で面倒なのが、飛竜隊クラスになるとエリート達ですから、普通の貴族と同列に見なして、<貴族ってすごい>みたいのは、軽んじられてると思ってしまいますね。あくまで<飛竜隊に成れていること>が、とてつもない価値があることで、そこを突くのが良いです。」
「他に何か注意すること、ありますか?」
「そうね。相手が間違ったことを言っていても、スルーして気づかない振りをするとか。一々修正するのは最悪の行為だね。あと、何かの話題で相互の意見がずれてしまったら、そこは、軽く引いて、『確かに○○さんのいうことも一理あると思います』みたいに上手く迎合してあげると喜ばれるね。」
「ランちゃん、私もいいかな?」
「えっと、あ、リカちゃんどうぞ。」
「例えば難しい面倒な質問をされて、普通の女の子じゃ答えられないような内容だけど、それを知っていて真面目に答えられるようなときも我慢するの?」
「ヒカリ様!じゃなくて、リカちゃん!それは我慢してください。『私よくわかんない。』って言って、教えを乞うてください。相手は懇切丁寧に教えてくれるでしょう。それがリカちゃんにとっては当然のことでもね。」
「わかった。私は隅で大人しく飲み食いしてるよ・・・。」
「いえいえ。相手の話を聞いて、ふんふん頷いている必要があるんです。『あんたたちとの会話より、飲食が大事』なんて思わせる素振りはダメです・・・。」
「わ、わかった!みんなの足を引っ張らないように明日はがんばるよ!
さっそくパーティーの食事とか会場の打ち合わせしてくる。みんなは適当に打ち合わせして、適当に解散してください。お菓子とか必要なら作って貰ってね。」
「「「「ハイ」」」」
ーーーー
「モリス~。お願いがあるの。」
「ヒカリさん、なんでしょうか?」
「飛竜隊とパーティーすることになった。」
「そ、それはいつもながら突然の展開ですね。いつまで時間を頂けますので?まさか今晩では・・・。」
「あ、明日の晩。5:5だよ。私も関所のメイド役で1人に加わることになった。領主は不在の前提でモリスに全権を委ねるからよろしくね。」
「承知しました。それで、どのようなご協力を・・・?」
「基本は食事ね。あと、パーティーの飲み物。金貨3枚を前払いで貰ってる。宿泊は娼館の予約が5室入ってる。そこへ行くかはそのときのメンバーと本人達次第。エルフの子らは行きたくないっぽいから、プロの娼婦にお願いするかもだよ。」
「承知しました。ゴードンと打ち合わし、不足食材は明日買い出しに向かいます。」
「うん。海鮮はかなり低温で保存しているけど、追加で必要な食材があったら海まで取りに行ってくるからゴードンさんに確認しておいてね。」
「了解です。他に配慮すべきこと、支援させて頂くことはございますか?」
「あ、とにかく私が変な事してたら、<念話>通してもいいからサポートして。エリート貴族相手に失礼なことをしないよう行動できるか自信がないんだよ。後、逆にエリートさん達には事前に食事のメニューとか蘊蓄を仕込んでおいて、あたかも『これ、俺らが注文しておいた料理なんだぜ。すごいだろ?』ってドヤ顔できるようしておいてくれるといいかもね。私たちは慣れちゃっててもさ、彼らは自慢の一品になると思うんだ。」
「承知しました。あとは追加でメイドなどを準備させて頂いてよろしいでしょうか?何分、10人分の給仕を私一人では賄えないことと、平常の関所の業務から人員を割くわけにもいきませんので。」
「あ、そだね。目星がついてるなら任せる。常駐雇用でもいいよ。」
「ヒカリさん、明日が楽しみですね」
「うん。飛竜がどんなものか知りたくてしょうがないよ!」
え?なんで、モリスはがっくりした顔してるの・・・?
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




