3-20.アイスクリーム
ユッカちゃんも居ないのに、
夕飯食べながらアイスクリーム作るとは考えてなかった。
だってさ・・・。しょうがないじゃん?
<<姉さん!大変だよ!>>
<<こっちも大変なんだけど、何?>>
<<みんなは、まだそこにいるの?>>
<<私のせいで居て貰っている>>
<<丁度良かった。全員に念話を通すね。
ユッカちゃんの金貨の袋が届いて、それを二人にあげたんだ。その後、すぐにベッセルさんに話をして、6人全員で夕食をしているんだよ。>>
<<ユッカちゃんもゴードンも速いね。ご飯は美味しい?>>
<<それが大問題でさ!アリアさんとアーノルドさんにばれた。>>
<<ばれないよ。ユッカちゃんがミスする訳が無い。>>
<<使われている食材が問題なんだ。『新鮮過ぎる』って。>>
<<何をもってった?>>
<<ローストビーフ、海鮮パスタ、デザートはまだ出してない。>>
<<海鮮パスタはどうしてばれた?>>
<<ランドルさんが美食家でこのソースの風味を知っていたんだ。そこをきっかけに、海岸からの距離、冷蔵技術などがないことを元に、『ここに、この料理があるのはオカシイ』ってことになったんだよ。>>
<<フウマよろしくね。>>
<<よろしくじゃないよ!どうすんのさ!デザートの後に感動のプレゼントを手渡すシーンなんだけどさ!場が混乱してるよ!>>
<<分かった分かった。その錬金術師に説明してあげて。大きな氷の塊を作って、そこに塩をかけて温度下げたって。その状態で宮廷魔術師が定期的に冷やしたって。宮廷魔術師=運搬役=フウマでお願い。それなら飛行術なくてもできるから。>>
<<姉さん、普通の氷の魔術じゃだめなのかい?>>
<<氷点では冷蔵しかできないから、鮮度が保てない。寒剤で氷点以下まで冷やす必要がある。科学に興味がある子ならそこから切り崩せるから。>>
<<わ、わかった。その線で進めるよ。>>
「なんか、面倒な人たちだね。頭が良すぎる。関所の秘密がばれるかもしれない。」
「ヒカリさん、ご迷惑をおかけします・・・。」
「ううん。流石はモリスの遺伝子を引き継ぐ子達だね。仲間になってくれるなら、とても心強いよ。それくらいじゃないと直ぐに音を上げることになるし。」
「はっ。そのように評価頂けると有難い限りです。」
「次は、その錬金術師が『見本を見せて』って言ってくるね。だから、こっちは牛乳と砂糖でアイスクリームでも作ろっか。
モリス、ゴードンにバケツに氷、塩、あと、薄手の鍋に砂糖、よく冷えた牛乳、卵黄を貰ってきて。あとかき混ぜる道具も。」
「では、早速ゴードンの所へ行ってまいります。」
「うん。緊急事態だからね。食事中にごめんね。」
「ヒカリ殿、冷やすだけでよいなら、私が手伝おう」
「クロさん、ありがとね。それは今度お願い。今日は遠隔でフウマのバックアップできることをみんなで楽しもう。ついでに美味しいよ。」
って言ってる間にアイスクリームの素材の準備ができた。
「普通はさ、ただの氷を使って幾ら混ぜても牛乳は固まらないの。精々チーズやバターができるぐらいでさ。でもね?氷に塩を振りかけて、氷の温度を下げてからかきまぜるとさ・・・・。」
やったね!出来て来たよ!
牛乳も冷蔵庫で冷え冷えだったのがいいんだろうね。
ユッカちゃんがこの場に居ないのが残念だ。
「ほら、できた!アイスクリームだよ!」
「「「「「「「こ、これは!」」」」」」」
「どうよ?」
「お父様、これ美味しいです。楽に沢山作ってください。直ぐに砂糖入りの牛乳を固めてください。」
「あ、それは・・・。」
「ヒカリ殿、何か不味いのでしょうか?」
「牛乳の水分が先に凍って、分離して、カチカチの物ができるよ。シルフに手伝って貰って、風の力で空気を巻き込まないと、この口の中でふわっと融ける触感は得られないの。」
<<ねえさん!
一応説明したけど、錬金術師の子から『実演してみせてください』みたいな話になったんだけど、どうすれば・・・。>>
<<アイスクリームを作ればいいじゃない。>>
<<アイスクリームって何さ!>>
<<ステラが知ってる。>>
<<フウマさん、ヒカリさんに代わって、私が説明しますわ。>>
<<ステラさん、お、お願いします。>>
「ヒカリさん、あの、すみませんが、こうなると読めたのですか・・・。」
「あ、モリス。もし私が真摯な錬金術師だとしたら、嘘をついて、騙している相手が居ると思えば、そこを科学的に切り崩そうとするね。」
「でも、ゴードンさんが何を作っていくか指示もしないし、存じ上げなかったはずですが?」
「錬金術師がいちゃもんつけてきた辺りで返し技を考えたよ。彼女なりに『相手の嘘を科学的に見破った根拠』がある訳だから、そこに嘘を塗り重ねるより、『上回る科学技術の提示による証明』の方が説得力あるからね。」
「何故そのような面倒なことをわざわざ・・・。」
「この関所に来たくなるでしょ?」
「ヒカリさん・・・。」
「モリス、そこは喜ぶところだよ?」
ーーーー
<<姉さん!錬金術師の子は説得できた!っていうか、是非領主の元で働きたいって言いだしてる。>>
<<フウマがんばったね。お使いのユッカちゃんも褒めておいて。>>
<<ユッカちゃんが『ヒカリおねえちゃん、いつもずるい!』って怒ってる。>>
<<念話で言わない辺りは、相当怒ってるね。謝っておいて。悪いのはロメリアが戦争仕掛けて、忙しいせいだって。>>
<<分かった。あとで伝えておく。で、<得体の知れない金貨>なんだけど、これ何?お兄さんの地政学者が革袋のままランドルさんに渡したんだ。で、この場でデザート食べながら開けてみたんだけど、誰も判らないんだ>>
<<ストレイア帝国の前の帝国の物らしいよ。私は知らないけど。>>
<<それは、公開していい事実?>>
<<<サーガとして聞いた話>でなら、言ってもいいと思うよ。>>
<<分かった。このまま話をしちゃうよ。>>
<<うん。>>
<<姉さん・・・。>>
<<反応が速いね。どうした?>>
<<家族3人で領主を訪問することになった。>>
<<決まるの速いね。良かったじゃん!>>
<<いいのかい?>>
<<ここで、フウマと念話を通していることがばれるぐらいなら、訪問してもらって、自由に会話して納得してもらう。>>
<<ご、ごめん。日程詰めるよ。>>
<<お妃様に会って、冷蔵庫の件を伝えること。出来ればでいいけど、戦争の開始とか金貨の代償請求は引き延ばして欲しいの。理由は王族の体調不良とかなんとか。それで誕生会が延期になってるって感じで。
あとは、ベッセルさんが一緒に来てもらえる状況になっていたら、みんなで明日から移動開始でもいいよ。よろしくね!>>
<<了解!>>
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




