3-16.都市計画を作ろう
実際問題、街とか作ったこと無いし。
市役所とかに住民票の取得とかしに行ったことはあるけどね。
さてさて・・・。
「モリス、ベイスリーさん、今日は都市計画についての打ち合わせ、よろしくお願いします。あ、お昼ご飯食べながらにしよっか。」
「我々はどちらでも結構です。」
「うん、お腹空いたら、適当に休憩しよう。頭使ってもエネルギーは消費するもんだよ。で、本題なんだけど・・・。
大前提として、100年使える物を整備したい。
道路、住宅街、水道、下水道、市場、商店街など
そういったものが100年後にも存続してる状態にしたい。
どう?」
「ヒカリさんの発想はいつも壮大です。そして頼もしく思います。喜んで協力したいですね。」
「ベイスリーさんはどう?」
「100年ですか。息子たちが50年。孫たちですら70年。ひ孫が玄孫の世代ですね。きっと、人口は今の数倍に増えているでしょう。ということは、予め住居や商店を拡張する前提で区画割が必要になります。」
「うんうん。そんな感じ。今、この関所の抱えている人口は100人に行かないぐらい。自然増加では倍ずつは増えないかもしれないけど、4代先では500人くらいになってるかも。あとは、街として発展すれば人口流入もあるだろうから、1000人くらいになってるかもね。そこまで大きくなってくると、街に買い物とか商売しにくる人も増えてくると思うんだ。メルマと同じ規模になるかもね。」
「ヒカリさん、宜しいでしょうか?」
「モリス、何?」
「多くの若者は賑わう街へ働きに出ることが多いです。メルマは港を抱えていて、尚且つ大国ロメリアの玄関口でもあります。とすると、この農村からの人口流出の方が多くなる可能性がございます。」
「なるほど。そっか。メルマがあるからそっちに流れちゃうか・・・。何かこの関所の村に住むメリットが無いと、整備した道路だけが廃墟として残っちゃうね。」
「ヒカリ殿、宜しいでしょうか?」
「ベイスリーさん、何?」
「<地下迷宮>を看板に、冒険者を勧誘するのは如何でしょうか?昔、この森の奥で瘴気の出る鉱山資源の洞窟を発見しました。それとは別に<地下迷宮>があるとのうわさでして、入り口が巧妙に隠されているとか。」
「あ、ごめん。それクリアしちゃった。単なるメンテナンス通路で何にもなかったんだよね。」
「そ、そうでしたか・・・。」
「ヒカリさん、宜しいでしょうか?」
「モリス、何?」
「ヒカリさんが作ってみたい都市は、<工業都市><鉱業都市><学術都市><商業都市><産業都市><軍事拠点>など、どういったものをお望みでしょうか?<観光都市>には不向きですし、<農業都市>としては、街の発展と相いれない部分がございます。」
「そうだねぇ。
<鉱業都市>ってのは、発展が無さそうで面白みが無いね。資源は有限で、そこが枯渇したら街が衰退しちゃうんだよ。
<工業都市><産業都市>ってのは、違いが良く判らないけど、時代に合わせて進化し続ければ存続していくと思う。ただ、軍事利用との相性もいいから、個人的にはあまり好きじゃないかな。あと、ここは農業自給率向上の拠点でもあるから、あまり水質を汚したくないってのもあるかな。
<商業都市>は、さっきのメルマの件があるからちょっと難しいね。必要な物品を販売する程度には発展してもいいと思うけど。
<学術都市>これかなぁ。研究ばっかりしてるイメージで面白そうだね。」
「ヒカリ殿は、軍事行動がお嫌いで?」
「ベイスリーさんは元騎士団長だよね。私は自衛のための軍は必要だと思うけど、進軍するのはあまり好きじゃないかな。当然、戦争が始まる前に敵を封殺してしまうのはアリだろうけどさ。今回のロメリアとか。」
「す、すみません。話についていけません。ロメリア王国との件、差支え無ければ伺っても宜しいでしょうか?」
「あー。モリス、任せた。」
「承知しました。ベイスリー殿へ説明させて頂きます。
まず、メルマの自治権を取得しました。
また、ベニス財務大臣がロメリア公爵の奴隷であることが発覚しました。
紆余曲折を経て、エスティア王国に金貨200万枚の借金がございます。
現在、エスティア王国では外交問題として戦略立案中でございます。
以上になります。」
「ヒカリ殿、本当でしょうか?」
「うん。大体あってる。」
「情報の出元を伺っても宜しいでしょうか?その、信ぴょう性と申しますか・・・。」
「うん。100%正しいよ。出元は私だ。」
「あ、あの、我々も出兵に参加させて頂くわけには・・・。」
「う~ん・・・。さっきも言ったようにさ。戦争が好きじゃないんだよね。人が死んだりするでしょ?家族が悲しむし、私も悲しくなるよ。あと、ツマラナイ話をすると、軍事行動中の人工は、農業の衰退に繋がるからね。」
「騎士は騎士として死ぬことが本望なのです!」
「モリス、どうしよう?私は反対なんだけど・・・。」
「ベイスリー殿はヒカリさんの奴隷ですから、自由に出来ます。いざとなったら、奴隷印を利用して、強制的に行動を抑制させることも可能です。」
「じゃぁさ、こういうのはどう?
私が戦地に赴くことになって、
一般的な徒歩、馬、馬車での行軍をする場合に、
その護衛役をお願いするの。
戦場で戦闘になるかどうかは、そのとき次第。
どうだろう?」
「それで結構でございます。」
「もしさ?
戦争が戦略によって、戦闘状態を経ずに終結したり、
神風のようなものが吹いたり、
奇跡が起きて終戦に至ったとしても、
それは勘弁してね?」
「そのような事態はヒカリ殿とは関係ございません。問題ございません。」
「じゃ、そうしよっか。戦略が判ったら話を一緒に進めよう。ニーニャ達がいるから<業物>の武具なら作ってくれるよ。」
「そのときはよろしくお願いします。」
「うん。じゃ、都市設計の話にもどろっか。」
「ハイ!」
「モリス、<学術都市>と<産業都市>のハイブリッドがいいかな。居住区、農業地区を別に設ける感じで。」
「とすると、関所の東側の森を開拓せずに、川を挟んだメルマ側の森を開拓するのがよいと思われます。1km(1000歩)四方を開拓し、そこを区画分けすれば良いかと思われます。」
「あー。街道から見えないように開拓して、関所側の橋からしか通路を設けなければ安全かな。ロメリアとの交戦が集結して、メルマが完全にエスティア王国の物として機能し始めたら、街道とつなげればいっか。」
「宜しいと思います。資源も森も近いので、材料の調達も水路も問題無いと考えます。」「いいね。」
「あの~。私はこの会議に出席している意味はありますでしょうか?」
「あるよ。なんで?」
「その・・・。お二人の会話のスケールについて行けてない自分がおりまして。」
「あ。ごめんね。<100年後>を考えて、その上で<今>を考える。こういった遡って物を考えるのをバックキャストって言うよ。」
「なるほど。」
「で、100年後に向けて、領地を拡張・都市化していく場所構想が決まると、それに合わせて近々の発展に必要な道や水路なども整備していくと無駄がなくていいよね?」
「なるほど。つまり、川を挟んだ向こう岸の開拓地に沿って、農業従事者の住宅などを整備することでしょうか。」
「うんうん。そうすると、お互いの利便性とか、インフラ整備が無駄にならなくていいでしょ?かといって、何度も移住したり、道路を再整備するとコストも時間も労働力も必要になるしね。」
「わかりました。」
「じゃ、ここから1km(=1000歩)ぐらい農業地に入ったところに、農業従事者の集落を作ろう。住宅、水、窯、粉ひき所、ごみ収集所、汚物集積所を整備する。100世帯分ぐらいまで拡張できるといいね。」
「100世帯も必要でしょうか?奥まった農地まで移動が大変になりますが・・・。」
「農業といっても、作物の栽培だけでなく、畜産業もあるし、農作物を加工したお酒などの加工品も作ることになる。毛皮とか干し肉、チーズとかもね。農閑期は無いのかもしれないけど、手が空いた時には織機などを使って織物も産業として発展できると良いね。適した木材が見つかれば紙も産業として発展させられるかもしれない。」
「ヒカリ殿は夢があって良いですね。」
「モリス、そんな大そうな夢でもないよね?」
「はい。ヒカリさんの発想は実現可能な近い将来と考えます。ですが、早いところベイスリー殿の知人を呼んで、食料自給率を高めたいところです。そこを乗り越えれれば、ロメリアとの戦争は勝ったも同然ですし、ヒカリさんの都市実現も積極的に取り掛かれます。」
「とすると、40世帯に声をかけても宜しいので?」
「モリス、準備は間に合うかな?」
「イワノフさん達を王宮に派遣するかによりますが、食料自給率を最優先課題として考えて、他を停止すれば、40世帯分の住居とインフラ整備に1週間もあれば足りるでしょう。」
「ベイスリーさん、最短で1週間後を目処に人を集めて貰っても良いです?」
「人の声掛けは、この会議の後早速始めます。それで、インフラと住居が確保されるとして、100頭の牛の世話は如何お考えでしょうか?」
「1世帯当たり、牛2頭になるけど足りるの?また狩りにいくのは構わないけど、生きたまま連れてくるのはちょっと面倒なんだよね。牛の世話を進める畜産部隊と農耕部隊で手分けしてくれると無駄が無いんだけど・・・。」
「分かりました。まだ未開墾のエリアを放牧地として囲います。そこで手分けして牧畜と使役を使い分けるように指示を出します。」
「ありがと。他にはなにかある?」
「森の利用は如何でしょうか?」
「川を渡ったメルマ側なら自由に使ってくれていいよ。薪なんかは、さっきの都市計画で話が出た辺りから優先して切り出して持って行ってくれるといいな。領地マーカーはこの後囲っておくから心配しないで。
ただ、繰り返しだけど一か月で食料を自給できるレベルにまで自給率を上げたいんだよ。メルマを封鎖してくる可能性が高いからね。」
「ヒカリ殿、流石に一か月は無理でしょう。種を撒いても3か月はかかります。」
「妖精さんの力を借りてるから2か月までは縮むはずだけど?」
「エスティア王国の自給率は80%ほどです。20%の上昇は不可能でしょう。」
「え?モリス、エスティア王国の自給率80%ってさ、国が滅ぶレベルでしょ?」
「鉱物の輸出で賄っております。」
「メルマが封鎖されたら?」
「餓死者続出で、併合されます。」
「まった、まった。喧嘩売っちゃいけない相手に喧嘩売った?」
「いずれ、今までのままであれば、併合されていたでしょう。」
「うう・・・。なんとかしないとね・・・。メルマ封鎖はさせちゃいけない。人が死ぬよ・・・。」
「海上封鎖されますと、商船の荷が届かなくなり、結局のところ食料の輸入が途絶えます。」
「誰がそんな無謀な喧嘩売るようなことしたよ・・・。」
「噂によると、敵国の財務大臣に借金を背負わせたツワモノがいらっしゃるとかで。」
「うん。誰の仕業かはおいておこう。海上封鎖をさせないこと。メルマをエスティア王国の指揮下に組み入れること。先ずはここだ。これしないと、食料自給率が高くなるの待ってられないでしょ。」
「参考までに、概算でいいけどさ。ロメリア王国の人口と軍隊に使える人口はどれくらいかわかる?」
「人口は10万に届くレベル。軍隊は1万~3万といったところでしょうか。国境を数多く接しているため、その全軍がエスティア方面に集結するとは思えませんが。」
「エスティア王国はどれくらい?」
「人口1万5千程度。全軍で1000-1500名でしょうか。」
「ベイスリーさん、知ってる情報と合ってる?」
「30%ずれることはあるかもしれませんが、2倍にずれることは無いでしょう。」
「1万対1000で戦争するのか。自給率80%で・・・。戦争してるだけで3000人ぐらい飢え死にしちゃうシステム。これは、なんか隣国の支援が無いと戦争にならないね。
奇跡が起きるのを祈って、自給率向上と都市作成に邁進しよう。」
「「分かりました」」
これは、本気で対策打たないと不味いね。
いつもの事とはいえ、まいった、まいった。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




