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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-15.冷蔵庫を作ろう(2)

エントロピー増大の法則が成り立たない?

なんか、とっても悔しいね。

「ステラ~。お願いがあるの。」

「今日は昨日の予定通り、エルフの3人の子らに、いろいろ教えようかと思っていたのですけど、ヒカリさんのお願いでしたら、彼女らを待たせて順番を変えますわ。」

「うん。<宮廷魔術師では出来ないらしい印>を書いて欲しいの。」

「ヒカリさんは試されたのですか?」

「ううん。印とか知らないからステラに相談。私は魔術の基本を勉強したことがないんだよね。」

「ああ、そうでしたか。では、先ずはそれを拝見してもよいですか?」

「うん。クロ先生のこれと、シルフのこれ。できればラナちゃんのこれも。」

「妖精の長の方達の印ですか・・・。習ったことの応用で分かればいいのですけど・・・。」


ステラが3枚の羊皮紙に書かれた印を確認する。

なんかさ、実際線の太さとか形とか、配置とか良く判らない。形だけ似せて、それをなぞれば印が写るんだとしたら、話も楽なんだろうけど、どうなんだろうね?

ステラが相当真剣に考えこんでる。指先でなぞったり、別の羊皮紙にメモをとったり、魔術の勉強も印の勉強もしたことがないから、何をやってるのかさっぱりわからない。


「ヒカリさん、これ、どれくらいの時間を頂けますか?」

「今日、ニーニャが動作確認したら、イワノフ達が持って出発する。」

「あ、無理です。」

「え?」

「解読すらできないので、動作させるまでとなると、半年でも無理かもしれません。」

「ステラ、ごめん。私に魔術の使い方と印の基本を教えてもらってもいいかな?」


「簡単に言うと、詠唱も印も指などで書く印も全て同じです。ヒカリさんから教えて貰っている<無詠唱>を具現化して、意識させるだけの物です。『水をここに出す』と、単に言葉で言っても、ここには水は出現しません。『どこから水を引っ張ってきて、どれくらいの量を出すのか』そこの仕組みを理解していないと、喋ろうが、印を真似ようが水は出ません。

ここまでは宜しいでしょうか?」


「大体分かった。私が水を集める方法を指定して、初めて水が出せるんだね。私が空気中に水があることを知っていたり、体に水分として含まれていたり、川や水車で運んでる樋を流れるものが水って知ってれば、後はそこから、この場に水を移す方法を指定すれば水を出すことができるね。」


「私やフウマさんなど一般的な魔術師は、師匠から魔術を習うときに、必ず『理解した物を具現化する方法』として魔術を習います。逆に、具現化する方法さえ分かっていれば、新しい魔術を行使することも可能になります。」


「なるほどね。空気中の水分を凝集させる方法が判れば、空気から水を絞り出すことが出来るね。私なら飽和水蒸気量を下げて結露させるか、体の水分を絞り出す方法をとるかな。あとは、冷たい物質を作って、そこの表面に結露させるとかかも。」


「ヒカリさん、流石です。『水を作れる魔術師を連れていけば、砂漠でも水に困らない』なんてことは無いんです。地下水脈を探し当てたり、気象を変えられる魔術師でもない限り、そこに水が無ければ、呼び出す方法を知っていても呼び出せないんです。」


「それって、ユッカちゃんのもってるカバンに応用が利くね。ただ、保存の仕方とか、体積の変換とかをしないといけないけど。」


「そうなんですよ!あのカバンの伝説にかなり近づけていたと思っていたのですけど、ここにきて実物を拝見したら、重さが無いじゃないですか!」


「あ、ごめん。それ、私のせいなんだ。」

「ヒカリさんでしたか・・・。」

「軽くしてる部分だけね。」

「今度教えてください。」

「うん。いいよ。で、どうしよう?」


「妖精の長達の印の意味が分からないので、解読も出来ません。なので私があの模様をそのまま書き取って写しても、何の意味のないただの落書きですわ。」

「解読のヒントはあるかもしれないから、これも今度一緒に勉強しよう。今日は諦めて、クロさん達に複数書いてもらうことにするよ。」


「お役に立てず、申し訳ございません。」

「ううん。細かいことはさておき、先ずはお妃様対策が必要だからね。」


「見捨てないでくださいね?」

「何言ってるのバカ!私こそ見捨てられたら死んじゃうから!」

「ヒカリさんの周りには、ヒカリさんを助けてくれる優秀な人たちが多いですから。」

「貴方もその大切な優秀な仲間の一人だからね!」

「あ、ありがとうございます・・。」

「うん。じゃ、また今度声掛けるから。」

「はい!」


ーーーー


「クロさん!クロさん!クロさん!」

「ヒカリ殿、クロ先生と呼んでください。剣術の稽古で宜しいでしょうか?」


「あ。忘れてた・・・。形だけでもしておかないと不味いね。」

「剣術や体術など、体と心を結びつける種類の物は毎日訓練するのが良いですね。体調と心理状態の違いで、同じ体術が使えないことなんてザラにあります。その不発動を起こさないために、毎日、いつでも、どこでも同じ状態で居られるように日々訓練をするのです。」


「なるほど。クロ先生、流石だね!」

「それ以外にも何かお急ぎの用事でしたか?」

「あ。ステラに印の書き写しをお願いしたら、今日の夕方には無理って言われた。だから、ニーニャが組み立てやすいサイズでもう一枚作って貰って良い?」

「お安い御用です。ニーニャ殿は冷蔵庫に居ますかな?」

「うん。たぶん。一緒に行こう。」


ーーーー


「ニーニャ、冷蔵庫の動作はどう?」

「ヒカリ、ちょっと困ったぞ。羊皮紙ではぐちゃぐちゃになるぞ。あ、クロ先生もいるんだな。」

「うん。ステラに写しを作って貰おうとしたんだけど、それも難しいから、クロ先生にもう一個作って貰うことにした。ニーニャが組み立てやすい形に書いてもらおうと思って。」


「それは丁度良かったぞ。錆びないコーティングをした鉄の板とかにもう一度印を書いてもらうのがいいぞ。使っているうちに印が消えたり、ボロボロになって剥がれる可能性が高いぞ。」


「ニーニャ殿、石に直接印を刻むことも可能だが。」

「王宮まで運ぶのが大変だが、石が一番いいぞ。壊れない、削れない。汚れても復活させやすいぞ。後は、ヒカリが言っていた温度調整のような強弱を付ける機能を付与して欲しいぞ。それが無いと、冷蔵庫が全部凍ってしまって、何も使えなくなるんだぞ。」


「印の起動、停止をさせる印を別に書くので宜しいか。」

「離しても作用できるなら便利だぞ。一緒に凍り付いたら、二度と凍結した封鎖が融けなくなるぞ。」

「とすると、ON/OFFの印とは別に、更に遠隔で操作する印も必要になりますな。」

「それがいいぞ。その仕組みをシルフさんの風の循環やライトさんの照明にも同じようにする必要があるぞ。」


「僕は構わないよ。石板に3枚を別々に作成して、動作するようにすればいいかな?」

「私もいいわ。石を削れるナイフを貸してくれるかしら。」


「ヒカリ、私が作ったナイフはあるか?」

「はい。こっちの<業物>のナイフだね。そしたら、冷蔵庫はニーニャの指揮にお任せしていいかな?」

「いいぞ。今日中にイワノフ達に組み立て方まで教えて、馬車で出発させるぞ。イワノフ達はエスティア王国は初めてだから、許可証があると助かると思うぞ。」

「あ、そっか。一応伯爵なのか。そこそこ融通利くかもね。そっちも準備しておく。フウマに念話で王宮に入れるように連絡しておくよ。気遣いありがとね。」


「これが終わったら、<高温炉>か<空飛ぶ箱>だぞ!」

「うん!」


さて・・・。

冷蔵庫の印の謎解きが残っちゃったね。

多分、エントロピー増大の法則は壊れてなくて、クロ先生の説明が足りてないだけだと思うんだよね。

きっと、印のどこかに、外壁への熱拡散をスムーズに行わせる機能があるか、何等かの分子や原子レベルでの熱交換機能を持たせてるんだと思う。

ペルチェ素子みたいのがあれば、電気通すだけで熱交換が出来る訳だし。

エーテルの作用で熱交換させる仕組みが組み込んであるのかもしれない。

ステラと物理学、工学のお勉強だね。


よし!

今日の所は知的な探求を我慢して、都市計画の話だね。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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