3-03.冒険_B1F
洞窟か地下かどっちって話になって、
地下のが伝説ぽくて、カッコいいって。
私もナイトメアなら地下迷宮かなとは思うけどさ。
「一応なんだけど、<地下>と<資源のある洞窟>どっちにする?」
「「「地下」」」
「じゃ、地下にしようか。入り口はこのまえフウマと二人で見つけてあるから大丈夫だよ。」
「みんな、罠の解除したり、魔物倒したりとか、できるんだっけ?私は分からんのだけど。」
「おねえちゃん、粘土の洞窟と同じだよ。索敵をさぼらずに、魔石を止めれば敵が倒れる。その魔石を回収するだけ。」
「罠は?」
「しらない。」
「フウマ、ステラ、罠について!」
「落とし穴なら見れば判るだろ。」
「ネズミとかイノシシを捕獲する罠ですか?」
「いや、そうじゃなくてさ。仕掛けっていうの?例えば、この入り口も偽物が2個有ったでしょ。そして、レバーで地下の入り口が開いた。こういうのでさ、人を殺すような仕掛けとかあるでしょ。」
「姉さん、なんで?」
「なんでって、なんで?」
「姉さん、真面目に話をしよう。
俺の普通では、人を殺す罠を仕掛けても意味が無い。罠に魔物が嵌ったら罠が無駄になるし、管理も面倒になるし、お金もかかる。だから、罠は無いと思う。
動物を殺したりして食料にするなら判るけどね。人の侵入を防いで守るだけなら強い魔物で十分じゃないかな。」
「ヒカリさん、気を悪くしないで欲しいのだけど、私もそう思うわ。」
「そうか・・・。そうかもしれない。そうしよう。」
「じゃ、地下一階ね。MAPを作りながら進もう。」
「姉さん、なんで?」
「迷子になる。次の階の階段の位置とか迷わなくて済む。」
「広いの?」
「迷路になってるかもしれない。」
「見たの?」
「見てない。」
「姉さん、探検の邪魔をしたいの?」
「あ、えっと、セオリーっていうか、後で困るっていうか・・・。」
「今日の牛みたいに失敗するってこと?」
「上手くいけば問題ないけど、問題が起こらないように準備する感じかな・・・。」
「みんなで中に入って、見てから考えるのでもいいかな?」
「はい。」
そっかー。これは大発見だよ。
ファンタジーの世界の住人にしてみれば、ファンタジー小説やゲームで遊ぶことは無いから、洞窟も地下迷宮も同じなんだね。
人が作為的に罠を仕掛けて管理しているダンジョンがあるとか、悪意をもって、攻略を阻む仕組みとか考えたり、経験したことがない。
いわゆる<想像の範囲外のこと>なんだね。
とすると、仕掛けがあるとしても、大したもんじゃないのかな?
「ここは南西の角だね。イージーモードだと良いね。」
「ヒカリさん、なんで角だと、やさしいのですか?」
「敵に挟まれたときに逃げやすい。角があるってことは、出発点として位置が分かり易い。角とか通路とか面で迷宮が構成されてるってことは、MAPも作り易いんだよ。仕掛けも管理しやすいけどね。ほら、この継ぎ目が1マス分って数えられる。この1マスが何個つながってるかで、この地下迷宮の広さも大体把握できると思うし、地下への通路なんかも見当がつくとおもうんだ。」
「おねえちゃん、頭いい?」
「ほめてくれてる?」
「今日一番カッコいいと思った。これ、北か東に数えればいいんだよね?」
「うん」
「姉さん、なるほどね。こんな風に形が似た通路で迷路みたいになってて、目印もないとどっちから来たか忘れちゃうかもしれないね。今のところ灯りも付いてるし、強い魔物の気配も感じられないけどね。」
「ヒカリさん、これ、どっちに行くのが正解なんですか?」
「それを調査することも探検の目的だと思うんだ。」
1マスが3mくらいの立方体。北に向かって直線で丁度30マスで、継ぎ目の部分を合わせると、一辺が100mぐらいの部屋ってことになるね。なんか、初心者に迷宮のルールを教えてくれているみたいだよ。今度は東に30マスそして、南に30マスさらに西に30マス。
「姉さん!上に行く階段があったよ!」
「うん、それ入り口だね。」
「「「え?」」」
「ほら、こうやって、ここから入って、ぐるっと一周してきたんだよ。」
「1マスずれてたら、別の場所かもしれないじゃないか。他に分岐する道も無かったし。」
「そうか、そうかもしれないね。みんなで階段を上がってみよう。」
外は真っ暗だ。
迷宮の中の方が明るいから、探索する時間帯とかどうでもいいというのは面白いね。
で、階段を上った出口の外に仕掛けのある壁が薄っすらと見える。
まぁ、ここが入り口でいいんだけど、みんなと認識を共有しないとね。
「ヒカリさん、ここは最初の入り口ですわ。」
「おねえちゃん、すご~~い!」
「姉さん、スマン。」
「ううん。私はMAP書いてたから分かっただけだよ。」
「それで、そのMAPには次の通路が書いてあるんですか?」
「それを探すのも探検の醍醐味だと思うんだ。」
で、みんなでぞろぞろと南西の角の階段に戻る。明るい方がいろいろ楽でいいね。ここならご飯も食べられそうだし。
「姉さん、どうしたらいいの?」
「え?」
「姉さんのMAPが正しいなら、この道を東に進んでも、一周してここに戻ってきちゃうんだろ?」
「普通に進んだらそうなるね。」
「分かった。姉さんの普通で話をしてくれていいよ。」
「そうだね・・・。私も見た感じは分岐する通路は見当たらなかったよ。でもさ、入り口を発見した仕掛けがあるみたいに、触るとひっくり返る壁とかあれば、この外側の周から内側の周に入れるんじゃないかな。あとは小さなスイッチとかレバーがあるのかもしれない。」
「姉さん、すごい!」
「おねえちゃん、頭いい?」
「ヒカリさん、任せますわ。」
「いやいや、<普通>は、こういうのを迷宮の探検っていうんだよね。」
「一応付け加えておくと、ひっくり返った先に閉じ込められるとか、スイッチに毒が塗ってあるとか、この通路自体がダミーで、資源の洞窟に本当の入り口があるとか、そういうことも考えないといけないんだよね。誰かが先に調査してくれた記録とかMAPが残っていれば、そういうのに引っ掛からなくていいんだけどね。」
「姉さん、MAP!MAP作ろう!」
「そだね。」
「おねえちゃん、壁を探索すると、繋ぎ目でエーテルが僅かにずれてるね。これを使えば、罠とか仕掛けがある場所を探せるかも?」
「うん。内側の周だけじゃなくて、この床下にも仕掛けがあるかもしれないからね。」
「ヒカリさん、私はなんだか自信が無くなってきたわ。」
「みんな、皆が普段狩りをしたり魔物と戦う通りでいいの。ただ、今はこの迷宮を作った人のいたずら心の仕掛けを見破りながら楽しんで進めばいいの。そのうち、酷い仕掛けがでてくるかもしれないけど、それこそ<普通>は段々と難易度があがっていくもんだから、徐々にクリアされていくのを作った人は楽しんで見てると思う。」
「「「へぇ~」」」
「そしたら、みんなで地下2階の入り口を探そうか。」
「「「ハイ」」」
やっぱりさ、ここは初心者の練習用の階層なんだよ。明るい、魔物が出ない、仕掛けはあるけど、体にダメージを与えるような罠も無い。『仕掛けを楽しんで解いてね』って作成者の意図が伝わってくる。
よく、テストの山を当てるときに、出題者の意図を汲むとか、自分がテスト問題を出すとしたら、どういう意味を与えるとか考えて、テストの問題予想をする感じ。
ただ、この先さ、意味のある暗号と意味の無い暗号を織り交ぜてくる可能性があってさ、そうなると厄介なんだよね。「正当に正解にたどり着けた者を褒める」ってのは、理系の考え方だけどさ、「ゲームとしての難易度を上げて、相手の神経衰弱を狙う」なんて部分を織り込んでくると、それはもう、し烈な戦いになっちゃう。
前者だといいんだけどなぁ~。余計な<フラグ>が立たないことを祈ってますよ!
で、東側に最後まで進んで、5マスぐらい北に行ったところに回転扉?壁?を発見。厚さが30cmぐらあるんだけど、壁に重なる部分で面取りされて丸くなってるもんで、一見すると判らない構造。ちゃんと、自ら押して、ここに仕掛けがあるぞって意図が無いと自重があるから簡単には動かず、発見できない扉。
よいしょって感じで、扉を回転させて皆で中に入る。4人同時に入れなかったから2人ずつに分かれてね。念のため<念話>が通じることもチェックしておく。内周に入ってみるとコチョコチョと曲道なんだけど1本道で誘導されて、ちょっとした広場にでる。そこには階段が2つ。ボタンが1つ。レバーが1つあった。
「姉さん、これはレバーを下げると、下へ行く階段が出る仕掛けでしょ!」
「たぶん。」
「こっちの2つの階段は、絵で、実は下に降りられないんじゃない?」
「そうかも。」
「で、このボタンを押すと地上に出られるとか。」
「それだと楽でいいね。」
「何か不満?」
「ううん。判らないから、慎重に1つずつ試すしかないかなと思う。」
「おねえちゃん、みてみて!これ、絵だよ!降りれそうな階段の絵が描いてある!」
「ヒカリさん、こっちも絵です!」
「ほら、姉さん、俺の思った通りだ。」
「うん。」
「じゃ、このレバーを引くよ!」
「うん。」
グガガガガって感じで床が開いて、地下に降りる階段みたいのが現れた。
うんうん。これって、地上と同じ仕掛けだよね。
ってことは、あのボタンが単純に地上に出る扉ではなくて、次の階へのヒントになってるはずで、きっとここまで戻って来るんだろうね。
「よし!みんなここの階段を降りよう!」
「「ハイ」」
「うん。」
「姉さん、何か不満?」
「ううん。MAP作るの忘れないことと、階を変える時には索敵をして、罠を警戒して、あと初めて遭遇する敵が居ないかとかの確認が必要と思う。」
「確かに姉さんの言う通りにした方が良いね。俺がちょっと様子みて、<念話>通すよ。何かあったら助けてにきて」
「「「ハイ」」」
<<みんな、聞こえる?>>
<<ハイ>>
<<照明が少し暗くなってるけど、敵は居ない。降りてきても安全だ>>
みんなフウマの誘導に従って階段を降りていく。確かにちょっと暗くなった気がするね。魔物の気配はするんだけど、壁越しなのか、襲い掛かられる心配は無い感じ。そんなに強そうな気配でも無いから多分このメンバーなら楽勝なんだろうね。
「姉さん、またレバーだ。もう、ボタンも絵の階段も無いよ。」
「そうだね。」
「他に道もなさそうだから、下に進むので良いかな?」
「そうしよっか。」
レバーを下げると階段が現れる。
で、フウマだけが先に偵察で降りて、私たち3人が後から付いていく。
これを7回も繰り返したんだよね。
「姉さん、ここは何階?」
「地下9階だね。」
「真っ暗で灯りを出さないと見えない。」
「うん。MAPらしいMAPは必要ないけど、とうとう真っ暗になっちゃたね。」
「姉さん、レバーが見当たらないんだ。」
「そう。」
「ここが探検の終点?何もないんだけど。」
「何も無いかは、よく探してからでないと判らないけど、ここが最後じゃないと思うよ。」
「どういうこと?途中に何かあった?」
「途中って言うか地下1階のボタンが気になってる。」
「なんで、そういうことを先に言わないの?」
「こっちが順番先でいいと思ったから。」
「面白くないし、魔物も居ないし、時間の無駄じゃないか。」
「ううん。違うよ。」
「なんで、だって、真っ暗で何もないじゃないか。行き止まりだし。」
「多分、ここに次のヒントが隠れてると思う。途中で引き返したら、ここにあるヒントが貰えないと思う。」
「なんでそんなこと思うの?」
「私ならそんな風に作ると思うから。みんなで壁とか床とか何か無いかよく探そう。」
「「「ハイ」」」
壁を見ると何もない。
床をみると何もない。
天井を良く照らすと文字が見えた。
私には日本語で判読できるんだけどね。
この辺りにアナグラムが隠されているとどうするんだろ。
たまたま日本から転移してきた人物の落書きなの?
あるといいかも
めずらしい宝箱
とおい世界の話
いつまで続くの
なんだか怖いね
まあ、そのまんまだね。よし、目標どおりだ。
次のこんなヒントを探せばいいけど、みんなの様子も確認だ。
「ヒカリさん、これって冒険者の日記かしら。宝箱とか怖いとかって。」
「うん?ああ。こっちの大陸だと、文字はどう読むの?左から右だけ?」
「いいえ。上から下にも読むけれど、それは右端から読むので、<も箱話のね>とか、まるで意味の通じない言葉の羅列になるので、左上から右方向に読むのが正解だと思うわ。」
「ありがと。フウマやユッカちゃんも同じ風に読める?」
「うん」
「俺もステラさんと同じ解釈だね。」
「そっか。ありがとう。このメモを書き写しておいて、戻ろうと思うけどいい?」
「「「ハイ」」」
謎解きが謎になって無くてすみません。
短時間で練れる文章だとこれくらいでした。
一応、謎は他の階に進むことで作中の皆と共有できます。
ヒカリと読者が知ってて終わりにはなりません。
少しずつアップロードします。
手間な方は週末にまとめ読みして頂ければ幸いです。




