2-60.誕生会
一件落着。
あとは、ハッピーエンドなエピローグが待ってる。
そんな風にファンタジーを考えている自分がいました・・・。
そんな甘い考えは、私が悪いのかね?
「王子!誕生会は中止だよね?」
「この大混乱じゃ、無理だろ。」
「婚約発表も?」
「勝負はヒカリの勝ちだが発表できないことが多すぎだ。延期だろ。」
「私のせいかな?」
「ヒカリは悪くない。が、ヒカリが戦争を仕掛けたと思う。」
「いや、違うよ。ベニス卿が<王子は人を見る目が無い>とか批判したんだよ。」
「そうなるように仕向けただろ?」
「え?私は何も言ってないよ。」
「うちの両親に会ったときに作戦を説明したよな。」
「ロメリア側の作戦予想を説明したね。信用されなかったけど。」
「ああ、親父の件はスマン。あれ?悪いのは親父か?」
「私が悪いんだっけ?」
「いや、悪くない。誕生会と婚約発表を延期させてしまって申し訳ない。」
「ううん。じゃ、今日は疲れたからみんなと帰ってもいい?」
「ああ。ありがとう。忙しくて会えないかもしれないが、必ず迎えに行く。」
「うん。」
よし、あとは美味しいごはんを食べに関所に戻るだけだ。
この窮屈な衣装とも、やっとお別れだね。
<<モリス。ニーニャ。終わった。今からみんなと帰る。急ぎたいから、馬車を置いて帰ってもいいかな?>>
<<馬車は後日回収で構いません。関所の皆さんはヒカリさんの誕生祝いと娼館の開館祝いでお酒を飲み始めてます。急がないと食事がなくなりますよ!>>
<<わかった!すぐ帰る!>>
「ベッセルさん、お疲れ様でした。私たち、今日帰ろうと思うので馬車を預けたいのですけど。」
「馬車を預けて、何で帰るのですか?」
「走ってかな。あ、服ぐらいは変えないと不味いかな・・・。」
って、話をしていると王妃に捕まった。物理的にギュって捕まえられた。
「ヒカリさん、私たちが準備した金貨を1枚も使いませんでしたね。最後の精算を簡単にするためですか?」
「それもありますけど、自分たちの力で解決したかったので。」
「素晴らしい仲間の援助は受けたのに、私たちのは使えないの?」
「はい、皆が私の事を信頼してくれています。本当に大切な仲間です。損得無しで私の為に動いてくれるのです。王族やバイロン卿からお預かりした金貨は、リチャード王子やエスティア王国のために与えられたものと考えました。」
「そう。チャールズはともかく、私もまだ、ヒカリさんの仲間になる資格がないのかしら?」
「リチャード王子やフウマに聞いてみてください。私の仲間は結構大変らしいとの苦情が上がってます。」
「そうなの。考えておくわ。それで今日はこれからどうするの?誕生会どころではないわ」
「仲間内で誕生会をしようかなと。」
「流石にリチャードは連れていけないわよ?」
「今日は私の誕生日なのです。皆が待ってます。ご都合がつくようでしたら、今度関所まで遊びにきてください。精一杯もてなしますので。」
「私も夕飯を食べてないの。今日一緒に行っても構わないわよね?」
「え?」
「貴方、今日帰るって言ったじゃない。」
「あ・・・。仲間とです・・・。」
「貴方が行けて、私が行けない理由は?」
「あ・・・。ありません・・・。」
「ベッセルさん、お妃様をお借りしますので、王子に伝えておいてください。」
「承知しました。私はこの先何も見ません。」
「ありがとうね。」
<<みんな、関所に帰るよ。私の誕生会だけど、お妃様が来るって。>>
<<王子は?>>
<<この状態じゃ無理だって言ってた。また今度ねって。>>
<<お妃様は飛べるのですか?>>
<<眠らせてから、みんなで運ぼう・・・。>>
<<ハイ>>
まぁね。夢落ちにしちゃえばいいのさ。
明日朝、早起きが嫌だけど、ベッセルさん辺りに任せちゃえばいいさ。
次にお妃様がわざわざ関所に足を運ぶなんて無いしさ。
お妃様を眠らせてから、<重力遮断の膜><光学迷彩>と<飛行術>であっという間に帰還だ。
ーーーー
「みんな~!ただいま~!」
「ヒカリさん、お帰りなさい。どうでしたか?」
「大勝利!みんなのお陰だよ。ご飯たべよ!」
「ニーニャ、ごめん。頼んで作ってもらった小道具を使うシーンが無かった。」
「ヒカリ、何も無いのが一番だ。良かったな。ところで何に勝ったんだ?化け物でもいたのか?」
「うん。結構いろいろ居たよ。」
「<神器>は出たか!」
「あ~。私は貰えなかったなぁ。そこのお妃様が買い取ってたよ。」
「あーあーあー!ヒカリ、あれ!」
「私のじゃないんだよね・・・。ごめん。起こして聞いてみようか。」
「ヒカリさん、起こす前に皆で食事のテーブルに着きましょう。皆さんお待ちですから。」
「うん。」
「ヒカリさんの誕生日で、かんぱ~~い!」
「レイさんの娼館開店祝いで、かんぱ~い!」
「姉さんの勝利を祝って、かんぱ~い!」
「リチャード王子のお母さんがきてくれて、かんぱ~い!」
「ヒカリのおかげで、お酒が飲めて、かんぱ~い!」
「ドワーフさん達が水車と水路を完成させて、かんぱ~い」
「ベイスリーさん達が移住してきてくれて、かんぱ~い!」
「エルフ3姉妹がステラと無事に会えて、かんぱ~い!」
「みんなが楽しそうだから、かんぱ~い!」
もう、なんでもアリアリだ。
いやー、勝利の美酒ってのは美味しいねぇ。
苦くて全然味とかわからないけど。
頭がぼ~~っとしてきた。
ご飯が美味しい。うんうん。
このまま、ぐて~~って気持ちよくなって、寝ててさ。
目が覚めたら日本のおうちに帰ってて、<夢オチ>とか無いかな~。
あ~。でも、日本に戻っちゃったら救出不能なエレベーターの中に閉じ込められるんだよね。それは最悪のバッドエンドだから避けたいなぁ。
お妃様もみんなと会話して料理を楽しんでる。
そっか、ステラ、ニーニャは貴族だもんね。エルフの子らも貴族だし。
レイさんも姓もってたしね。みんなちゃんとした貴族の教育受けてるんだろうね。
なんか、パーティーって楽しいなぁ。
うん。ご飯も美味しいし、みんなが楽しそうだし、これは絶対ハッピーエンドだ!
「ヒカリさん、ちょっと!」
「はい。」
「ここの料理長を借ります。」
「ダメです。」
「なら、食材を確認したいわ」
「いいですよ?外ですけど。」
私と、ニーニャ、フウマ、お妃様の4人で冷蔵庫の見学だ。
冷蔵庫を開けて見せる。って言っても地下の氷詰めの倉庫なんだけどね。
「ここにいろいろ入ってます。よろしいですか?」
「分かりました。これの作り方を教えなさい」
「ニーニャ、フウマ、作り方を教えてだって。」
「この設計をしたニーニャと申します。お教えするには条件がございます。」
「何かしら?」
「その<神器>と思われる剣をお借りできないでしょうか?」
「これ?ああ。ヒカリさんの勝負のときに買ったやつね。欲しい?」
「かなり。」
「うちの王宮にこれを作ってくれたらあげるわ」
「「「え?」」」
「だって、ベニス卿の借金を増やすために買ったのだもの。これもあげるわ。」
<指輪>、<ペンダント>、<権利書>が冷蔵庫に投げられる。
「「「え?」」」
「ヒカリさん、これは気持ちの問題。欲しくて買ったのモノではないの。貴方の作戦と勝利を手伝いたいために私個人がした行動なの。判ってくれるかしら?」
「勝負の最中も、十分に意図は通じておりました。とても感謝しております。」
「そう。これで私もヒカリさんの仲間になれるのかしら?」
「この関所の秘密を知っている時点で、仲間で無い訳がありません。」
「良かったわ。冷蔵庫はいつできるのかしら?」
「明日の昼までに作成を完了します。」
「ヒカリさん、いいのかしら?」
「ニーニャが言うなら、可能だと思います。それより、この<神器>と<権利書>はどうしますか?」
「そうね。冷蔵庫がちゃんと動いている間は返さなくていいわ。動かなくなったら連絡するから、冷蔵庫を直しにくるか、直せないなら神器を返しに来て頂戴。」
あちゃ~~。<自動冷凍装置>って、どうするんだろ・・・。
むむ~。
あれか、シルフの言う『僕は暖める側は得意だけど、闇はその逆かもね』ってやつか。
そこの謎を解けるまでは、氷の作り増しに人を雇わないとね。
そこの魔術さえ判れば、あとは魔石なり、属性石で運用できそうだもんね。
「ヒカリ、どうする?王宮は遠いから氷作りが大変だぞ」
「闇の精霊を見つけて、結界での自動冷却作用を考える。それまでは宮廷魔術師を雇って、日々冷蔵庫の氷を増やしてもらうしかない。」
「私は宮廷魔術師を雇うお金はないぞ」
「お金は心配ないよ。お妃様だってそれは分かってる。これは私の挑戦なんだよ。
<皆の役に立つ成果を自由に研究する>
ってね!」
いつも読んでいただきありがとうございます。
また、ブックマークや評価を頂けることはとても励みになります。
ありがとうございます。
これにて第二章完結です。
第三章は着々と準備中です。
この後書き時点では構想のみですが、
ひょっとしたら、お披露目できる状態になってるかもですが・・・。




