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神に愛されている俺が一番不幸な訳 〜愛を知らない最強ボッチの伝説〜  作者: 鷹宮 真
異世界生活の始まり ~大いなる歴史~
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不幸vs滝

 

 滝壺の中から勢いよく飛び出し、大粒の水しぶきを周囲に撒き散らす巨体。

 蛇のようなフォルムに、月明かりを反射し輝くいくつもの鱗を纏う姿は正しく海竜。違う、ここは滝壺だ。


「あれがリヴァイアサンか」


 テントから飛び出した俺たちの目の前を舞う海竜もとい滝壺竜。滝壺竜という名前の語感は悪いがイメージしてたより大分カッコいいそいつに思わず見惚れる。


(もう少し蛇みたいなやつかと思ってたが、かなりカッコいい奴が来たな)


「凄いのですぅ」


 リリィも見惚れてるのか、目がウルウルしていた。これはアカンやつや。


「これがさっきの音の正体だったんだな」

「みたいなのです」


 しかし、入水したときの音がしたということはリヴァイアサンは空でも飛んできたのだろうか。

 翼みたいなのがあるにはあるが、なんかこう胸鰭が少し長くなったようなもので、全長約30メートルの巨大を支えれるとは到底思えない。


「あいつ飛べるのか?」

「はいですぅ。多分魔法の力を借りて飛ぶことが出来るみたいなのですぅ」

「そうか」


 何でも出来るんだな、魔法って。俺の【疾風】(アクセル)とは一体……。

 まあ、少しずつ頑張れば、いつかは魔法と呼べるレベルになるだろう。明日も練習しよ。


「それにしても、リヴァイアサンが人前に姿を現わすのは珍しいのですぅ」

「そうなのか?」

「はいですぅ。リヴァイアサンは普段海の底を住処にしていて、ここへは何かあった時にしか来ないのですぅ」


 どうやら、ちゃんと海竜のようだ。

 それにしても、そんなレアなモンスターと出会えるのは、やはり幸運だからなのか。

 異世界転生をキッカケに俺の悪運とおさらば出来たのなら嬉しい限りだな。


「何かって何だろうな。見た感じ異常があるようには思えなかったけど」

「そうなのですぅ」


 リヴァイアサンは何回も滝壺を出たり入ったりしては咆哮するだけで特にこちらにも関わってこない。

 川の水取っただけで怒られるわけないもんね。良かった。


「まあ、俺たちに関係なさそうだし、寝よっか」

「はいなのですぅ」


 俺たちはテントに戻った。咆哮がうるさすぎて寝つきは悪かったが、ある程度したら聞こえなくなった。リヴァイアサンは寝たのだろう。

 テントでの睡眠も慣れつつある。









 朝。日課のトレーニングのためテントを出ると、目の前にリヴァイアサンの顔があった。


「うおっ、ビックリした」


 そんな俺の声で目を覚ましたリヴァイアサンと目が合う。


「あ、どうも」


 すると、リヴァイアサンは俺に近づき、パクッと俺を口の中に入れてしまった。

 俺は訳も分からないまま、ただただ大人しく口の中でジッとしていた。


(マジか……食われた)


 夢にしてはやけに感触がリアルだな。俺はそんなことをぼんやりと考えて、まだ眠たげな眼を擦っていた。

 リヴァイアサンは俺が眠くてウトウトしていた間も動いていたようだが、しばらくして止まった。

 と思ったら、ぺっと俺を吐き出した。


「……痛っ」


 地面に勢いよく打ち付けられたことに気づいたのは少ししてからで、この痛みでこれが夢じゃないことを悟った。

 俺は普通に食べられていたのだ。


(うぇっ、夢じゃなかったのか)


 目の前には俺を喰ったリヴァイアサン。完全に捕食する側とされる側である。

 まるで猫に追い詰められたネズミのようだと頭の片隅で思った。

 ……そんなこと考えている場合ではないな。


「な、なあ、俺をどうするつもりなんだ?」

「……」


 無反応。一番怖いやつだ。

普段クラスで冴えない男子生徒が、実は能力者でしたみたいなことはよくあるものだ。漫画やアニメなら。……そういうやつが怒ったときって凄い怖いよね。


(にーげよ)


 俺は逃げ道がないか、リヴァイアサンを警戒しながらも、視線の端に探す。

 しかし、残念ながら俺が連れて来られたところは洞窟のようなところで、多分リヴァイアサンの奥の方で水が落ちる音がすることから、ここはシャセミン滝の裏側にあるのだろう。

 ちなみに俺の背後には大きな空洞があるだけで、出口のようなものはない。


(どうすりゃいいんだ……)


 お互い……いや俺だけが一向に緊張した状況がしばらく続いた。

誤字・脱字あればすみません



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