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神に愛されている俺が一番不幸な訳 〜愛を知らない最強ボッチの伝説〜  作者: 鷹宮 真
異世界生活の始まり ~大いなる歴史~
18/19

不幸が滝へとやってくる

「……ですか? ……下さい。お願いだから、どうか起きて下さい! 翠さん……」


(……こ、この声は、リリィか)


 目を覚ますと、そこには俺を心配そうに見つめるリリィがいた。何となくだが覚えてる最後の記憶的に俺は死んでもよさそうなものなのだけど、どうやら俺はまだ生きているようだ。


「大丈夫ですか、翠さん?」


 いまいち頭が働かず、現状を理解することも出来ない俺は大丈夫かと聞かれれば、大丈夫じゃないと答えたいところではある。

 しかし、リリィのような可愛い子に心配されてしまうと、たとえ死んでしまったとしても大丈夫と言える、それが俺に、というより男に生まれた性というものだろう。


「ああ、勿論。俺は大丈夫だよ」

「そうですか。それは良かったです!」


 リリィは本当に安心したかのように胸を撫で下ろした。

 それにしても、先程はどちらかと言うと大丈夫、のような曖昧な言い回しをしたが、体の何処を見ても傷らしい傷は見当たらず、本当の本当に、俺は大丈夫なようだ。まったく可笑しい限りである。


「俺はどれほど寝てたんだ?」

「えっと、1時間くらいですぅ」

「そっか。あの傷……リリィが治してくれたのか……?」

「傷、ですか?」

「ああ、腹と腕に槍が刺さっていたと思うんだが……」


 辺りを見回しても、血のついた槍はなく、俺の制服の腹と腕の刺された部分も破けてはいなかった。

 リリィはしばらく考えたあと、思い出したかのように。


「そういえば。どうしたんですか、翠さん?」

「いや、俺に聞かれても……」


 質問をしたのは俺の方なのに、逆に質問を返されてしまった。そして、こう見当違いなことを聞いてくる。


「私が来た時にはもう槍も傷もなかったのですぅ。翠さんって治癒魔法使えたのですかっ?」


 正直、使えるわけがないことは一目瞭然である。何故なら、俺は昨日初めて魔法というものを学び、失敗に終わったとはいえ、魔法を使ったのも昨日が初めてだったのだから。

 しかし、俺じゃないとすれば、他に誰が俺を治してくれたのだろうか。

 さっきの反応を見るにリリィではないのは明らかだ。しかし、まさかゴブリンが俺を治してくれるわけでも……。


(ん? 少し待て。確か、あの時ゴブリンは何故消えたんだ……?)


 突然消えたゴブリンに、勝手に消えた俺の傷。考えることが多すぎて正直手に余る。いくら、その謎について頭を回転させても、俺の有智高才、英俊豪傑、博学卓識、海内無双な頭脳を持ったとしても、一向にわからないのである。

 なので、俺は女神が案外気を利かしてくれたのかなと思いつつ、その謎はまさに神のみぞ知る的な結論を出した。


「俺は治癒魔法は使えないよ。多分、槍が刺さってたっていうのは俺の気のせいだ」

「え、でも……私も刺さってるの実際に見たんですが……」

「……それよりさ、シャセミンの滝ってのを早く探そう?」

「あ、はいなのですぅ!」


 半ば強引に話を変えることにした俺は、すぐにテントを片付け始めた。運が良いことにゴブリン達がテントを壊すこともなかったので、まさに不幸中の幸いという感じだ。

 リリィの手伝いもあって、いつもより早く片付いた俺達は先程の戦闘のこともあって少し休んでから出発することにした。


「リリィはあんまり戦闘が得意じゃないんだね」

「す、すみませんっ!」

「いや、別に責めてるわけじゃないんだ」


(俺も危うく死にかけてるしね)


 しかし、リリィは魔物と戦えない。俺も魔物と戦えば簡単に殺されてしまう。この魔物と出会えば即死パーティで、広い森の中からシャセミンの滝を探さなくてはならないというのは極めて難しい。

 だからといって、ここに留まり続けてもどうしようもない。そこで、作戦会議を開くこととなった。勿論、二人きりで。


「今俺たちって魔物と戦えないからさ、どうしたら遭遇しないように出来るかなって考えてて」

「うーん、さっきみたいに私が足音とかを聞きながら歩きましょうか?」

「……そうしてもらえると助かる」

「分かったのですぅ!」


 毎回止まって聞き耳を立てるのは時間がかかるので、出来れば違う方法を模索していきたいところだったのだが、それが一番簡単な方法で逆に言えばそれ以外の方法を俺も思いつかなかったので、たった3、4つ言葉を交わしただけで、作戦会議は終了した。

 これが、常に一人だった俺が会得した、短い会話で話をまとめるという翠クオリティである。

 それから特に話すこともなかったので、二人で沈黙のままボケーッとだらけてた。


「そろそろ行こうか」


 多分数十分くらに経った頃、ようやく俺の一言により、シャセミンの滝へと出発した。

 まだ休んでいても良かったのだが、そろそろ食料も底をつきそうなので、早く次の街に移動しなくてはいけないのだ。

 耳の良いリリィを先頭に、水の音が聞こえないか確認しながら進んでいくことになった。

 しかし、たった10数メートルくらいしか進んでいないところで、早速先頭を歩くリリィの悲鳴が聞こえた。

 俺は手に持っていた荷物を肩にかけ、急いでリリィのところまで駆けつけると、そこにはまるで自然のアスレチックのように乱雑に沢山の木が倒れてこんでいた。


「どうなってるんだ……?」

「分からないのですぅ」

「それは知ってる」


 一番近くに倒れていた木を見ると、その断面が驚くほどに綺麗で、例えるなら包丁で大根などを輪切りにしたときの断面のようだった。

 一見すると台風とかその他の気象現象でこのような有様になっているのかと思えば、その断面から明らかに人為的に作られたものだと推測出来る。


(この注意力、観察力が大事なのだ)


 翠は心の中でドヤ顔を決めていた。しかし、それはこの災害じみた有様を人為的に作り出したやつがいるということでもある。


(さっきみたいにいつ魔物と遭遇するかも分からないし、慎重に進むしかないな)









 なるべく木の陰になるように歩き進めること約一時間、ついにリリィの耳が微かな滝の音を受け取った。


「翠さん、あっちの方ですぅ」

「……おお、ようやくか」


 直前まで木々が生い茂っていて、リリィのミミが無ければその存在に気づけないくらいに、ひっそりと森の奥にシャセミンの滝があった。

 正直、この森がウォルターの森かも分からない状況だったのだが、シャセミンの滝があったことにより、俺たちは一先ず安堵の息を吐いた。


「とりあえず、ここがウォルターの森であっているようだな」

「みたいなのですぅ」

「あとは地図を見てホートクシティの方に歩けばいいわけだ」

「そうなのですっ!」

「地図見せてくれないかな?」

「わかりましたぁ。 少し待ってくださいですぅ」


 リリィはどこからとも無く、地図を取り出した。多分魔法か何かで取り出した、あるいは作り出したのだろう。


「えーと、ここがシャセミンの滝だから……」


 地図にはウォルターの森の中心付近に小さな滝の絵が描かれていた。その滝から左斜め上あたりにホートクシティと書かれた街が描かれている。


「とりあえず俺たちは本当に当たりを引いたようだ。この滝を超えて真っ直ぐ進めばホートクシティが見えるだろう」

「はいなのですぅ! そのまま向かうですか?」


 そこで俺は考える。確かにこのまま向かってもいいのだが、森という歩きにくい環境でリリィの足への負担を考えると、無理に先に進むのは如何なものかと。


「いや、疲れてるだろうから、今日はこの辺りで休もうか」

「分かったのですぅ。実はもうクタクタで」

「そうだったか、気づかなくて悪い」


 内心、予想が当たってホッとした。しかし実質一時間でもリリィはクタクタということは、昨日は相当無理をしてくれたに違いない。

 俺はテントを立て終わると、一箱二袋入りで、一袋二個入りのフルーツ味のバランス栄養食を一箱バッグから取り出し、俺の隣で休んでいるリリィに一袋渡す。


「これは何なのですぅ?」

「それはバランス栄養食っていう、なんて言えばいいんだろ……とにかく、食べ物だ」


 こういうとき、アニメや漫画の主人公なら何て返すのだろうか。とかぼんやり考えながら俺とリリィはモソモソと食べ始めた。

 リリィは案外美味しかったようで、俺は自分のを一個あげた。正直チョコレート味のが好きなのである。

 食べ終わると案の定、口の中の水分が持ってかれて、水が飲みたくなる。二つのコップに水を注いで、リリィに片方手渡す。


(水、そろそろなくなりそうだな)


 見ればペットポトルの水は半分以上なくなっていた。


(地図的にあと1日も歩けば森は抜けるだろうが、念のため水を汲んでおこう)


 俺はシャセミンの滝から少し下ったところで、川の水を、持ってきた空の1リットルサイズのペットボトルに並々に汲む。

 そしてテントまで戻ってくると、持ち歩き用の小さな椅子をバッグから取り出し、テントの前に置き、座る。


(よし、やるか)


 まず持ってきた鍋にキッチンペーパー、ハンカチ、ガーゼを被せ、その上から水を注ぎいれる。これで軽くろ過が出来る。

 次にその鍋を火にかけ、煮沸消毒を行う。これで細菌類を死滅させるわけだ。


(これで少しはマシになるだろう)


 鍋がある程度冷めてから汲んできたのとは違う1リットルサイズのペットボトルにいれてバッグにしまった。


(よし、一応これで飲料水はまだ大丈夫だろう)


 飲料水を確保し終わった俺は、他にやることがなくなったので、焚き火に枝を入れながら、テントの近くで【疾風】(アクセル)の練習をする。

 勉強、運動、料理に美術など多岐にわたって経験してきた俺は大抵のことはすぐに習得してきたのだが、今回はどうにも覚えが悪いようで、魔法のマの字も未だに見つからないという状況だ。


(イメージか……風のイメージ、イメージっと)


 頭に追い風で加速する自分をイメージしながら口に出して唱えてみる。


【疾風】(アクセル)


 しかし、俺の体に変化が起きた様子はなく、試しに走ってみるも、やはりいつも通りだった。


(コツでも聞ければ良いんだけど……)


 俺はそっと視線をテントに向ける。

 中ではリリィが、よっぽど疲れていたのか、ぐっすりと眠っていた。


(リリィが起きるまで練習するか)


 それから俺はリリィが起きてくるまで、イメージして魔法を唱えては、数メートルダッシュというのを繰り返し続けた。









 気がつけば日は沈みかけていて、空の暗い部分が深みを増し、夕焼け色に強く当てられたところだけがほんのりと色づいていた頃、リリィはそっとテントから出てきた。


「すみません、寝すぎたのですぅ」

「よく寝れたか?」

「はいですぅ、ありがとうなのですぅ」

「うん」

「それより……何をされていたんですか?」


 多分5時間くらい経ったのだろう。昼飯もとらずにひたすら走り続けた俺の体は汗でビショビショだった。


「少し魔法の練習をな、中々コツが掴めなくて」

「あ、そうだったんですかぁ。やってみてなのですぅ」

「分かった」


 俺はイメージする。この5時間の練習で改良した点はただ追い風をイメージするのではなく、それによって自分の動きが軽くなるような、速くなるような、そんなイメージを加えたことだ。

 その結果、若干、本当にほんの少しだけ速くなった気がする。0.1ミリくらい。


【疾風】(アクセル)


 漫画やアニメのように魔法陣とか体が光ったりするわけじゃないので、違いがわからんが、何となく追い風が吹いてる気がする。


「こんな感じなんだがどうだ?」

「うーん、多分なんですけどぉ……」

「多分……なんだ……?」

「魔法発動してないのですぅ」

「何だと?!」


 やはり気のせいだったようだ。


「この追い風は俺の魔法のせいではないと……?」

「はいなのですぅ」

「そうか」


 俺は目を閉じてさらにイメージする。今度は追い風などではなく、竜巻とか台風のような凄い風の流れを。そして、そのまま呟く。


【疾風】(アクセル)


 すると、またしても微かに追い風のようなものを感じる。


「……これはどうだ?」

「凄いのですぅ!ちゃんと 【疾風】(アクセル)が発動してるのですぅ」

「本当か」

「はいですぅ!」


 少しイメージする内容を大きめにしてみたのが良かったようで、俺は無事魔法を発動出来たようだ。


「少し試してみていいか?」

「はいですぅ」


 俺はその状態で一歩を踏み出した。


「……ん?」


 もう一歩踏み出す。


「……は?」


 さらにもう二歩三歩進める。しかし、変化なし。普通のスピードで歩いてるだけ。

 俺は徐々にスピードを上げて歩いていく。

 次第に歩きは競歩に、競歩が走りに変わり、俺が全力で走り出したとき、ようやく変化に気づけた。


「……少し、速くなってる気がするような、しないような……」


 俺が最高に体調の良い日の全速力と同じスピードくらいで走れてる気はする。だけど……。


「え、この程度なの?」

「うーん、そうみたいですぅ」

「マジか」


 俺は思ってたよりも魔法の力が使えなすぎてガッカリした。


(アニメや漫画とはやっぱり違うんだな……)


 しかも、5分も走ってないのにもうかなりの疲労感が俺を襲っている。

 前の世界ではフルマラソンでもバテたことがない俺がだ。


「あ、でも魔力が増えれば、魔法の効果も大きくなるはずなのですぅ!」

「魔力を増やす?」

「はいなのですぅ」

「どうやって?」

「いっぱい使えばいいのですっ!」


 リリィはまた先生のような口調で説明してくれた。今回も長くなりそうだと思いながら、リリィを連れてテント内で魔法学の授業が始まった。本日は3時間コースである。










「なるほど」


 ノートに全てメモを終えた俺は今日の授業内容をもう一度確認する。ちなみに内容をまとめると、こうだ。

 そもそも魔法というのは魔力を様々な形で放出する術のようなものだから、注ぎ込む魔力が多いほど威力が上がる。

 魔力を増やすためには体内にある魔粒子を魔力に変換する器官の力を強くすればいい。

 この器官は筋肉とかと一緒でたくさん使うことで組織が破壊され、それが生物の持つ自己治癒力により回復、超回復で破壊前よりも強く治るため、たくさん魔力を蓄えることが出来るというわけだ。


(つまり、筋トレみたいな感じで魔法を使っていれば、それなりに効果も上がるということか)


「ありがとうな、リリィ」

「お役に立てて何よりですぅ」


 約3時間もずっと喋り続けて喉が痛いだろうリリィに俺は、先程煮沸消毒した川の水をコップに入れて渡す。

 ……べ、別に毒味をさせるつもりではないが。


「ありがとうですぅ、それにしても翠さんは本当にタフなのですねっ」


 リリィがゴクゴクと水を飲みながら、俺にそう言ってくる。


「え、何が?」

「だって初めて魔法を使ったのに全然疲れてないみたいなのですぅ」

「いや、そんなことはない。これでも結構な疲労感が襲ってるよ」


 実際、相当に疲れてしまってるようでリリィと話していなかったら秒で寝てしまいそうだ。


「あれ? そうだったんですかぁ……あ、少し寝て休んだ方がいいのですぅ」

「ああ、そうさせてもらうよ。でも、その前に夜ご飯食べようか」

「はいなのですぅ」


 俺はツナ缶を一つ取り出す。これで缶詰は残り一つしか残ってない。


(腹減ったなぁ)


 思えば、ここ2、3日缶詰やらバランス栄養食のようなものばかりで、これでも食い盛りの高校生である俺としては、中々に腹が満たされてなかった。


(明日中に街に着いて、ちゃんとしたもの食べたいな)


 俺はツナ缶を開けて、スプーンと一緒にリリィに渡す。


「俺腹減ってないから全部食べていいよ。俺はもう寝るから」

「え、本当に良いんですか?」

「ああ」

「ありがとうなのですぅ!! やったーですぅ」


 スプーンで少しずつ掬って、口に入れては頬をとろけさせてるリリィを横目に俺は床についた。

 といっても毛布が一枚あるだけで、リリィと一緒に寝るときはかけないで寝てるくらいには夜も暖かいので、ただ仰向けに寝転がってるだけなのだが、とにかく俺は魔法の反動で凄く眠たかった。










 ザップァァァァァァァンンンン!!!

 

 そんな体格のいい男が市民プールに飛び込んだ時の音を何百倍にも大きくしたような音が森の中に響いた。

 当然、俺といつのまにか隣で毛布をかけて寝てたリリィは飛び跳ねるように起きた。


「何の音だ?」

「多分水の音ですぅ」

「ああ、それは分かってる。どこからだ?」「滝の方から聞こえるのですぅ」

「分かった」


 俺は何故か戻ってきてたスコップを持ち、テントを出ると、その後ろからリリィも付いてくる。


「ど、どこに行くんですか?!」

「少し見に行ってくる」

「え……」


 俺がそう言うと途端にリリィの顔が真っ青になった。


「待ってくださいなのですぅ」


 リリィがポツリと言った。ちなみにいつのまにかリリィは俺の前に立って行く手を阻んでる。


「翠さん行かないで欲しいのですぅ!」

「どうして?」

「どうしてって……!!」


 今度は顔を真っ赤に染めて、目をカッと見開くと怒ったような声で俺にこう言うのだ。


「翠さんが心配だからに決まってるのですぅ!! さっきだって私がどれほど心配したと……ッ!!」


 最後の方はリリィが咄嗟に口を手で塞いでしまったのでよく聞こえなかったが、どうやら心配してくれてるらしい。

 目覚めたときは大して変わらない様子だったが、その裏でリリィは相当な心配をしてくれていたのだ。

 怒ってる声が可愛いとか、真っ青になったり真っ赤になったり忙しいなとか思ってる場合ではなかった。


「ごめん、リリィがそんなに心配してくれてるとは分からなかった」

「それは……心配するに決まってるじゃないですかぁ……翠さん優しいし、カッコいいし……」


 最後の方はゴニョゴニョとしか聞こえなかったが、聞き返すと怒られそうなので静かに頷く。


 「な、なんで頷いてるんですかー!!」


 どうやらダメだったらしい。


「悪い。リリィの言う通り見に行くのやめるよ」


 そう言うとリリィの顔がパッと明るくなった。意外にリリィは表情豊かな子のようだ。

 

「それは良かったのですぅ。さぁ中に入るといい……ッツ!!」


 リリィが俺の背中を押してテントに入ろうとした時、リリィの手が離れた。

 

「どうかしたのか?」


 俺が振り向くとそこには肩をプルプルと震わせてるリリィの姿があった。


「どうした?」


 俺はリリィの肩をガッシリと掴んで、再度リリィに問いかける。

 すると、リリィは少し落ち着きを取り戻したようで、静かにこう言った。


「……来るのですぅ」

「何が?」

「このシャセミンの滝の主、リヴァイアサンがですぅ……!!」

「リヴァイアサン?」


 これまた聞いたことのあるようなモンスターに会えそうだ。

 恐怖で震えてるリリィとは裏腹に、少し俺の心はウキウキしていた。


誤字・脱字あればすみません

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