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第4話 合コン

よければ感想をいただけるとやる気になります。

「え~?なんでそんな話になったの~?」


一応鶴美がき聞いてみると、リンカは少し気まずそうに喋り始めた。


「あのね、合コンっていうか接待?ドラマの俳優人たちとの食事会」


「なんか人数合わせに入れられちゃって……私は恋人いるからただの飲み会のつもりなんだけど…………あぁ、それでね、もう一人必要だったんだ」


モデル仲間はみんな用があるし……と今にも泣きそうなリンカ。


そんな彼女を見たところで別に同情もわかないし、心底どうでもいいし、面倒くさいなと思う鶴美であったが、胃が空腹であるのを自覚した。


そういえば、昼は何も食べていない。


「リンカさん~それってご飯とかも食べれる~?」


「うん!!勿論!」







「紹介するね!!鶴美ちゃんだよ!」


リンカに案内されて来た店には、男子4人と女子2人がすでにいた。


「……ふーん……」


「……まぁ…………」


女子二人はリンカに対して『この子はヤバイけどもう彼氏もちだから』という目を鶴美に対しては『この子は可愛いけど戦力外』という目を向けていた。


「鶴美です、よろしくぅ~」


鶴美は自身に向けられている視線には気づかないまま、ペコリと頭を下げた。


その瞬間、一気に男性陣に周りを囲まれた。


「身長何cm?」


「え、モデル?いや、読モか?」


「つーか、可愛いねー」


芸能界では、鶴美のようなタイプは珍しく、小さくポワポワとした彼女に興味をもった男性陣は次早に質問をしてくる。


「えと……っちょ…ぇ~」


自分より遥かに背の高い男性に囲まれ、流石に困り果てた鶴美が言いよどめば、それすらも可愛いと男性陣が褒めはやしだす。


それを見ている女性陣がいい顔をする筈も無く、若干苛立った顔をしていた。


「何アレ…」


「ただ珍しいだけでしょ……けど…」


直接言わないのはプライドが傷つく為か、小声で言い合うものの、少し険悪になりつつあった。


それを察したリンカは、わざと明るい声を出して鶴美の前へと出る。


「もー!!あんまり群がっちゃあ可哀想だよ!!鶴美ちゃんはご飯を食べに来ただけなんだから」


鶴美を守るように前へと出て、そういった後、鶴美の腕を引っ張って予約したテーブルへと座らせた。。


後から他のメンバーもテーブルに座った。


長四角のテーブルであり、鶴美は一番奥に座り、向い側は男性陣が座った。


互いに向かい合って座った後、合コン特有の沈黙が一瞬支配したが、すぐに男性陣の一人であるメガネの男が切り出した。


「じゃあ、席に座ったし、自己紹介からでも…」


そういいつつ、少し気弱そうなメガネが印象的な一番端の男性から自己紹介を始めだした。


既に恋人のいるリンカはともかく、今をときめく俳優人達の自己紹介にモデル少女二人は夢中になってきき、疑問や相槌をうちながら自分を印象付けようとしている。


「(わ~サラダだ~お腹減ったから取り合えず食べよう~)」


しかし、鶴美は自己紹介なんぞ聞いておらず、ただただテーブルの中心に備えられてあるサラダに夢中であった。


ベーコンと、レタスにトマトとキュウリ、後は酸味のありそうなドレッシングがかけられている。


「(サラダはいらないから~ベーコンだけ食べよう~)」


鶴美はホケボケと合コンということを完全に忘れ、自身の空腹を満たすことだけを考えて、トングを手に持ち始めたが…


「鶴美ちゃんはサラダ取り分けなくていいよ、何か出来なさそうだし」


「……え?」


モデルのうちの、八重歯が特徴的な少女が笑顔でそういってトングを取り上げた。


「あの……」


別に取り分けようとした訳ではなく、自分の分だけを取ろうとしただけだと弁明しようと思ったが、今度は猫目メイクが印象的な女子が次早にまくし立てる。


「そうそう、何かすっごい出来なさそうだし……ってか、自己紹介中にそれやるのって、あざといよ?」


冗談めかして笑いつつ、目は何処か殺気たっていた。


「…ぁ…ぅん…」


この目を……鶴美は知っている。何を言っても曲解し、どういおうが何も伝わらない者の目だと。


小さい頃から何度も見た事のある『目』だが、こんなに早く来るとは思ってもいなかったし、慣れるものでもない。


「……」


鶴美は反感を買わないようにコクリと首を縦にフッた。


そのことに満足したらしい猫目と八重歯の少女はサラダを全員分、取り分けて鶴美にも渡す。


「(全然ベーコンもないし、レタスばっかだな~)」


そう思いつつ、鶴美は文句を言わず、笑顔も崩さず、ニコニコとウサギのようにレタスを食い始める。


そんな彼女の様子を、金髪の俳優が微笑ましそうに見ていた。


「何かウサギみたいで可愛いよな~」


その男は、最近人気が上がっている爽やかな演技が評価されている俳優であった。


「っぇと…」


鶴美は、これ以上は面倒なことになりそうだとレタスを無心で食っていたのに、いきなり話しかけられてしまい、どうしたものかと悩んでいると…。


「ぇえ~?狙いすぎじゃないー?」


「そうだよ、コレって絶対に分かってやってるんだよ…男子騙されすぎー」


鶴見が何かをいうまえに、二人は割って入ってきた。


例の如く、冗談めかして笑い話風にしているが、完璧なるネガティブキャンペーンである。


「いいじゃんか、実際に可愛いんだからよー」


「(もう…やめてよぉ…)」


金髪にとってはフォローのつもりだが、鶴美にとっては場を悪化する原因にしかなりえない。


「そうそう、鶴美ちゃんって何かあまりいないタイプって感じだよなーすっげぇ癒されるっつぅか…可愛いよ」


しかし、金髪はそのことに気づかずに鶴美を誉めそやす。


いつのまにかメガネも加わっていた。残りの男性二人はリンカを口説いている。


「確かに鶴美ちゃんは可愛いけどーそこまででも……」


そのまま、少しの間にモデル少女二人と男性陣は表面上はニコやかな会話を続けていたが、突然モデル二人が話を中断した。


「んーちょっと私達、お手入れに行って来る」


椅子から立ち、そういった。


「(ッホ……よかった)」


鶴美は一時でもこの空気の悪い空間がなくなると安心して、再びサラダを食べようとしたのだが…。





「あ、鶴美ちゃんも…ちょっと来て」



鶴美の基本的なモテ方は、こんな露骨な感じではなく、本来はひっそりとモテるタイプなので、鶴美はちょっとパニックになってます。

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