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第2話 好きだよ?

「ん~でも、その人は多分私が好きだよ?」


鶴美の口から、超ド級の爆弾発言が出てきた。


セナという芸名のアイドルと鶴美は、実は一緒にホテルに泊まり、成り行きだがキスまでした。


本来ならば死ぬ気で隠すのが常識だが、彼女はニコニコポワポワと、バカっぽい笑みを浮かべたままにアッサリと打ち明けたのだ。


「アハハ!!面白いこというね!!セナのファンがいるのは本当に嬉しいよ」


しかし、リンカは鶴美の言葉を笑う。


ケラケラと、こんな普通でか弱そうで可愛い女の子はきっと夢見がちなのだと。


いかにもそういう『見た目』をしていると。


「ごめんね、セナは私と付き合ってんだ。でも、ファンを辞めろとか言わねーから安心しな、そこら辺私はサバサバしてるから!」


「……ッフフ」


鶴美はニコニコと笑った。


肯定も否定もしない。セナが自身を好きかどうかについては確かに確信がないし、信じて貰おうとも思ってないからだ。


取り合えず、真実だけは言っておこうというだけだ。


「何はともあれ……よろしくね」


ニッコリと爽やかに、屈託のない笑みを浮かべてリンカは手を差し出した。


鶴美はその手を握る。


「うん~よろしくね~」


「あーやっぱり超可愛い」


ポワポワと笑う鶴美の可愛さに惹かれて、リンカは思わず抱きつくのであった。







☆☆☆☆


「ただいま~」


鶴美がマンションの扉を開けると、それと同時に何かの生物が鶴美へとへばりついてきた。


うわ、キモ~と思った鶴美だがよくよく見れば同居人のリアンである。


「遅い……何やってたんだ」


リアンは拗ねた面もちで鶴美を抱き締めつつ、頬や額にキスを何度もする。


「あーもー可愛いな。鶴美は可愛いな。つーか何処に行ってたんだよ」


リアンのとんでもなく整った容姿と、マンションが彼のものであること、鶴美の生活費を養っているのが彼でなければかなりアウトな場面であり、通報されていただろう。


いや、世界的な俳優であるリアンなら、愛人たちは腰砕きになり、ファンは失神して最悪心臓が止まるのでそういう意味でも通報されただろう。


「アハハ~くすぐったいよ~キモいよ~離れてよ~ウザいよ~」


「いやだ」


ニコニコポワポワ顔でありながら、結構本気の拒否を見せる鶴美の言葉を無視して、今度は後ろから抱きついて何度もキスをする。


「ッフフ~本気でキモいし~そういうのいいから、マジキモいよ~」


そういいつつも、若干諦めたのか、『よいしょ』とリアンをおんぶして移動する。


「ん……っよと」


リアンはうまい具合に体重を移動してから足を絡ませ、重さを感じさせない体勢へと移行した。


そのまま台所へと行き、鶴美は夕飯の準備を始める。


流石にずっとカレーなのはアレなので冷蔵庫を開き、中身を確認して今夜は鍋を作ることにした。



「で、何やってたんだ?」


鶴美にしがみついたまま、リアンが問いただすと、鶴美はリアン好みの甘め鶏がらベースのスープを作りつつ、答えた。


「あのね~リアンの撮影でも見ようと思ってテレビ局に入ったんだけどね~間違ってモデルさん~の撮影場所いって~成行で見学してたの~その後~カフェでご飯食べた」


実は、セナと会ってしまいリンカや周りに内緒で二人でカフェに行って奢ってもらったりするという事態があった。


というのがあったのだが、上手い具合に隠して、けれど嘘をつかずに真実だけを述べた。


「そっか…そん時、俺は愛人達とホテルで食べてたからな…」


「あ~…だから首元にキスマークついてたり、女性たちの色んな香水ごっちゃになって凄い匂いになってるんだね~」


「一応着替えたんだが…」


「残り香すごいよ~」


鶴美は適当に食材を切って順番に鍋に投入していた。顔は相変わらずポワポワ笑顔である。


「なんだ?妬いたのか?結婚するか?」


冗談交じりに、けれどそれなりに本気でそういったリアンに…。


「フフフフ~」


鶴美は笑顔だけで拒否を示した。


そのちょっと苛立っているらしい笑顔にリアンは『あ、可愛い』と思いキスすると、包丁を向けられたので彼女から距離を取り、そのままテーブルの椅子へと座る。


「さぁ、出来たよ~」


鶴見は出来上がった鍋をもって、テーブルへと置いてリアンの向かい側に座った。


「「いただきます」」


二人で鍋をつつきはじめた。


「あ、その前にいい~?」


「ん?」


箸をもったまま硬直するリアンに鶴美は左手でリアンの頭を撫でる。


「お疲れさま~」


ホケボケとした笑顔で特に深い考えもなく、リアンの頭をなでなでしたのであった。


「……っ……」


リアンにとっては最高のタイミングであった。


一番疲労と精神がまいっている時に、鶴美から労いの言葉をかけられた。


その快感を例えるなら、学校で色んなことを頑張って来たリーダー気質の子供が、ヘトヘトになって家に帰ってきたとき、母親に甘やかして貰えるようなものだ。


「ありがとう……やっぱ、鶴美が大好きだ。」

リアンにとっての鶴美は精神安定剤のようなものです。


なんでしょうね、一度だけ関係図というのを作ってみたところ、面倒くさいことになってました.

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