表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/299

出会い 鬼の契約書 其の終

「金神様、おかんが生き返るって、どうやってー?まさか、ゾンビじゃないよね ?」

「阿呆ものめ。全然違うわ」

「げっ、ゾンビ知ってんだー。じゃあ、どうやってー。ねえ金神様ー」




  はっと目が覚めたのは電車の中ー。

  圭吾はキョロキョロと辺りを見回して、夢だったのかな?って思う。窓の外は赤々と夕焼けが綺麗だ。

  暫くぼんやりと眺めていると、見慣れた景色が広がって来た。

  いつもの癖で、ちょっと早めに立ち上がり、手摺りに掴まってふらふらドアの前へ立ち、ドアの上に貼られた広告を見る。

  電車がいつものように所定の位置に止まると、圭吾は慌ただしく駆け出して、エスカレーターを駆け上がった。そして、長年バスケで培ったすばやさで改札口を抜け、商店街を走り、体力の続く限り走り続けて、家の前の通りにたどり着いた。

  肩で大きく息をしながら、誰もいない通りを歩く。

  何処からか網戸越しの家の中から、テレビの音が聞こえた。

  浜田さんの子ども達が、姉妹で家の中に入っていく姿を見つけた。玄関の中で、浜田さんと話をする声が聞こえて来た。

  家の台所の前を通ると換気扇が回る音がして、包丁で何かを切るリズミカルな音が、時たまずれるように聞こえた。

「ただいま」

「お帰り。早かったね 」

「いつもと同じだよ」

「んー。ちょっと早いよ。お肉焼くのに時間かかるよ」

「ああ、全然いいよ」

「なんか食べて来た?」

「いや、なんで」

「いや、待てるって言うからさ」

「待つぐらいできるさ」

「えーそうだっけ?」

  母親が軽快に言った。


「ほら、ゾンビではなかろう?」

「げっ、金神様ー。やっぱ、夢じゃなかったんだ」

「ざんねんだがのぉ」

「金神様が、それはお見事に鬼に話をつけてくださりました」

「いえもりさままでいたかー」

「わか、それは酷うございます」

「.....どういう風に話つけたんす?」

「どういう風 ..... とは?」

「ほら、女子も帰って来てるみたいだしー。本当なら婆さんが嫁入りするはすだった訳だから、婆さんが連れて行かれるとか?」

「ああ、あれは別件があってのー」

「その件に関しても、お見事でござりました」

「当たりまえじゃ。わしが授けてやった子を、どうにかするなど、もってのほかじゃ」

「さようで、さしもの鬼頭殿も、なにも言い返しはできませなんだ。ほんによかった、よかった」

 

  いえもりさまはカラカラと喜んでいるが、圭吾には不安が残る。

  いったい、この人達ーいやいや、このもの達は、これからどうするつもりなんだろうかー?

  怖いから、考えない事にしておこう。

 とにかく、金神様と、いえもりさまのおかげで、いつもの毎日が戻って来たー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ