表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/299

感度 見習い霊能者 其の七

「………で?君の見解は?」

 

 斗司夫さんが珍しく、雅樹の所に来て聞いた。

 斗司夫さんは一般的認識上の幽霊だが、真実の処……と不思議なもの達は云う……幽霊では無いと言う。

 意外と大雑把でおおらかでこだわりを持たない輩なのだが、真実の処……と言い出すと、それは細かくいろいろとあって面倒だ。だから霊と言っても、怒りもしないし拗ねたり訂正を求めたりしない、が真実の処は違うんだがね、と一言だけ付け足される。それを気にするかしないかは、それぞれ人によって違うだろうが、雅樹はいろいろと気にする方だから、その真実にこだわり近づこうと思うのだが、どうやら今の雅樹ではまだまだの様だ。

 そんな斗司夫さんは、彼方からやって来るわけで、それはあの世とは別らしく、其処の処もかなりややこしくて、どうやら斗司夫さん自身も行ってみて、初めて分かる様な処らしい。其処からやって来るのだが、一番簡単かつ労する事無く来れるのが、斗司夫さんの家だった所で、あそこなら別にずっと住んでても構わないよ、的な扱いだそうだが、そうなると地縛霊とかそんな感じに思えたりもしたが、全く違うと斗司夫さんは言い張るし、確かにそんな感じでは無い。そして斗司夫さんの力と、雅樹の力がどんどん開花して来ているので、斗司夫さんを雅樹の家に呼び寄せる事もできる様になった。つまり召喚的な感じ?かと言うと、招待的なのだそうだ。大してこだわりを持たないなんて大嘘で、かなりいろいろとこだわりを持っている様に思える。

 ………そんな感じに最近いろいろと思える様になった雅樹だが、やはりそれは斗司夫さんを始め、いろいろな不思議もの達と、関わりを持てる様になったから思う様になった事だ。

 ………というわけで斗司夫さんは、雅樹に招待されて、雅樹の家の雅樹の部屋にやって来て聞いた。


「斗司夫さんの思っていた通り、生き霊〝も〟ですね」


「生き霊〝も〟か?」

 

 斗司夫さんは、ちょっと呆気に取られる様に言った。


「生きてる人の怨念……というより、アレは願望?願いですね。早くいなくてなって欲しい……それも皆んな家族を思っての願望です」


「へぇ……そんなに?」


「母に聞いた処だと、かなりギャンブル好きで、退職金も使い果たし、今じゃ年金の殆どを、毎日のギャンブルに注ぎ込んじゃうみたいで、足りなくなれば子供やきょうだいに借りに行く様で………」


「………そんな身内が一人居ると、家族は大変だもんなぁ……借金苦で死んでくれればいいが、子供に苦労をかけかねんからな、そういうヤツは……」


「たぶん奥さん……奥さん方のおばあさん……無心に来られたきょうだいかな?ああ、死んだご先祖さん的な人も、連れて行こうとしてるんだけど……」


「そう!そこなんだ。何でそんな力を掻い潜れてるんだ?」


「神様ですよ」


「神様?」


「例えば家の神様は、家を護ってくれてるわけです」


「ほほう?……で家事にならずに、災難を逃れてるってわけか?」


「車の事故もです……」


「なるほど……」


「……そしてどうやら、ギャンブルで運をつけたくて、神頼み的な事をしてる」


「あー、だから護ってもらえてんのか?」


「神様は家族の不幸とか困窮とか、将来的な不安なんて、お考えになりませんからね」


「うーん?確かに……神様は、殆どが人間には関心を持たないが……気まぐれを起こす事はあるし、氏子なんかには慈悲深い……願い事を叶えてくれる事もままある事だ………そうか……神様に人を呪うというか、殺してくれとは頼みづらいもんなぁ……」


 斗司夫さんが神妙に言うと、雅樹は


「そこの処をしっかりとお伝えしたら、願いを聞いてくれますかね?」


 気づいた様に言った。


「さて?どうかな?」

 

 斗司夫さんは、面白そうに笑って言った。


 神系松田に、神様の事は聞くのが一番だ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ