表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/299

秋祭り 鎮守の神様 其の終

それを見て松田が同様に頭を下げる。

圭吾も同様にする。

するとパァーと、神輿が神々しく輝いて辺りを照らした。

一瞬響めきが起こったが、直ぐに陽の光が奇跡の様に注がれている事が分かった。

当然の様にスマホのシャッター音が鳴り響く。


「ご挨拶とお礼を言ったら、返してくれたんだよ」


「えっ?まじっすか?」


「はは……マジマジ」


死神様は明るく笑うと、社殿の方に目を向けた。

日本太鼓が大きく鳴り響き、それは見事に大太鼓が威勢良くかっこ良く揃う様に、乱れる様に鳴り響いている。


「これが終わると、五穀豊穣を感謝する踊りが始まるよ」


「え?盆踊り?」


圭吾がまたまたやらかす。


「田川さん、さすがに盆踊りじゃないんじゃ?」


「マジかー?」


「まっ、神楽とか雅楽とかで神をおもてなしする事もあるし、村人による感謝の踊り……盆踊りみたいなものもある……鎮守の神や地の神の場合、地元に根付いて残っているものが大半だから、時代と共に変化して行くのが当然で、神達はそれを喜んでるんだよ」


死神様は松田と圭吾に顔を向けた。

松田は視線が合ったかもしれないが、圭吾は青光りが邪魔をして顔はわからない。


「神だって尊んでくれて、楽しくやってくれれば嬉しいさ。この移り変わりの激しい時代に、忘れずに尊ぶ気持ちを忘れないでくれたらさ……」


「そうっすよねー?忘れちゃダメっすよね?」


「そうしてくれたら嬉しいね……まっ、僕はあんまり、親しくしたくない様だけど……」


死神様がそう言った時に、社殿の日本太鼓がそれは見事な乱れ打ちを披露して、大きな歓声が上がった。


「おっ、小神様が君を探しているよ」


死神様がそれはソフトな声音で言った。

本当に人間の想像で描かれている神仏達は、大方違うご容姿だろう。それを真に受けているって云うのが現状だ。第一ガチで神仏を見れる人間なんて、そう存在するものじゃない。其処の処を忘れちゃいけないが、案外忘れがちだし、安易にしか考えていないから真に受けるヤツが存在する。

あえて圭吾だとは、言わない事にしておくけれど……。


「若主人様」


いえもりさまは、何故か圭吾にも見える神々しく光り輝く、かなり御チビさんの小神様の肩に乗って手を振っている。

手を振っているはいいが、子供サイズの小神様の肩辺りで、ゆらゆらと金魚を入れる水の入ったビニール袋に浮かぶ、目玉袋が揺れていてそれはそれはかなりグロくて、そっち系最弱の圭吾は当然の様に顔面を歪めている。


「いえもりさま……」


「若もお捕りで?何よりにございます」


圭吾は思いっきり歪めたままの顔面をいえもりさまに向けて、さすがに小神様に申し訳ないと、目玉金魚と言う事で……の袋を手に取った。


「おかんの為に?ありがとうね……いえもりさま、小神様……」


しおらしく圭吾が言った。


「さすが若もご存知で?」


「いやいや解るわけねぇだろ?ここに来るまでマジ知らんかった……おかんの目の病気……かなり悪いらしい……じゃないと、きっと死神様にお会いしてないんだろ?」


「それはどうかな?」


死神様が朗らかに言った。


「君達とは、そんなんじゃなくても、きっと会ってるよ。特に君とはさ……」


死神様が松田に向かって言った様で、松田は凄く嬉しそうな顔を向けた。


「……それでも、ありがとうございます……」


「まだまだ、君の家族は恩恵を授かるさ……」


「えっ?マジで?金神様っすか?」


「違う違う、家護りのさ……」


「まさか……」


そう圭吾が言った時に太鼓が再び叩かれて、同時に踊りの音楽が流れた。


「なんだ?盆踊りじゃん?」


無知な圭吾が呆れる様に言う。


「時代と共にさ……」


本当は優しくて〝命〟を、それは大事にする死神様が心地いい声音で言った。

死神様でも鎮守の神様でも地の神様でもなんでもいい……。

圭吾の大事な人を助けてくれた、それは有り難い神様達だ。

圭吾がそう思った矢先、二つの目玉が圭吾に笑いかけた様な、もの凄ーく厭な感覚を圭吾は無視をした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

お読み頂き、倖せでございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ