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死神様 樹海へようこそ 其の七

そんなオトボケ二人が擦った揉んだとやっていると、流石に騒ぎに気が付いた猫にゃん様と犬わん様がやって来た。


「何を騒がしくしておると思えば……」


猫にゃん様は太々しくも、モフモフデブデブの体をゆっくりと揺さぶりながら言った。


「おっ!死神ではないか?」


物凄く吃驚して、それこそ毛を逆立てんばかりの猫にゃん様。


「お久方ぶりでございます……???」


「今は猫にゃんである。こちらは犬わんである」


立ち上がって後ろ手に組んで言うが、決して有難くも尊いお方とは思えない。


「……また、奇妙なお名を、お付けになられましたな?」


「ふん。その方は簡単な呼び名故、それは楽チンであろうが、わしはそれはそれは長たらしい呼び名が多いのだ。一々覚えておられぬしめんどっチーので、簡単に致したのだ。要件も早く言えてよいだろう?」


「……覚えられぬが、真実でござりましょう?」


「ムッ!死神如きが!わしはそれはそれは有能であるは、其方とて、腐敗した頭であっても知っておろう?鼻は効くし目も良いぞ……暗闇など屁の河童であるし聴覚など吃驚モンである故、こうしてかのかの彼方でまったりとしておったに、其方達の騒ぎを聞きつけてこうして参ってやったのではないか?」


猫にゃん様は凄く凄く威勢を張って言われるが、圭吾の頭で考えてみても、とても〝神〟のお言葉とは思えない。思えないのだが……。


「うおー!マジ、そうっすね……さすが尊い神様の猫にゃん様っす」


神系には一目も二目も置いてしまう松田は、感激の声を上げた。


「いやいや松田。神とはこんな事以前の問題だろ?」


知り合いに出会えて、少しは落ち着きを取り戻し始めた圭吾が突っ込む。


「へっ?」


「いやー、だから、猫の能力云々じゃないだろ?神様は全てお見通し……的じゃねーの?」


「おっ?」


松田が思い当たった様にすると同時に、猫にゃん様も気が付いた様に、ちょっとバツの悪い表情を浮かべた。

……と、ここで圭吾は、猫にゃん様と犬わん様は〝猫と犬〟に見える事に気が付いた。


……なんでこいつらは見えるんだろう?猫だからか?犬だからか?……


「フッ……何故、猫にゃん様と犬わん様は、自分に見えるのかと考えてるな?」


死神様が蒼光の顔を向けて、意地悪く言った。


「えっ?」


「何故解った?心が読めるのか?と思ったな?」


「えええ?」


圭吾が慌てる様に無心を心がける。

……といっても、あんまり深く物事を考える方じゃないから、何時も無心に近いといえるが……。


「そう身構えんでも……確かに読もうと思えば読めんでも無いが、君は直ぐに顔に出る」


蒼光の顔のくせに笑っている様だ。


「猫にゃん様は猫の実態を想像できるし、犬わん様も同様……ところが、きっと君には神仏の概念が無いんだな?つまり、想像して作り上げる事ができないんだろうな。つまり解らないから、ただ素直に神々しく輝いて見える……。しかし、この光が解るのはなかなかだぜ」


「そうなんすか?」


喜んでいいのか悪いのか……圭吾は戸惑う様に死神様に目を向ける。


「わーかー」


圭吾は大声で呼ばれて、其方に目を向けた。

するといえもりさまが宙を蹴りながら、すっ飛んで来て圭吾の胸にへばりついた。


「マジかー」


呆れる様に、胸にしがみつくいえもりさまを見つめながら、一際神々しく輝きを放って金神様がやって来た。


「ほう?珍しい所にやって参ったな?」


「……じゃありませんよ。実篤様の薫子様に、いえもりさまの所為で……いえもりさまの所為で、バチを当てられたのにも関わらず、迎えに来させられたんす」


圭吾は不満タラタラ、二回も力を入れていえもりさまの名を言った。


「へぇー?実篤様に薫子様かい?君、本当に凄いね?」


死神様が感心する様に、圭吾に向かって言った。





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