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死神様 樹海へようこそ 其の三

「やっ、皆さん。どういった用件で、ついて来てるんすか?」


当たりはいいし不思議大好き()()()松田が、何時もとは違って無愛想に振り返って言った。


「……………」


当然の事ながら返事は無い。

ただ、湿った空気……というか、陰湿な空気……というか……漂って感じるのは圭吾だけか?


「もう!用が無いんだったら、着いて来ないでくだいよぉ!」


松田は物凄い強気で言い放つと、プイとして再び歩き始めた。


「……ったく、霊って霊感的なもんは無いんすかね?……」


同じ様な鬱蒼とした景色の中、松田は圭吾を直視して言った。


「……松田?何言ってんの?」


余りの松田の見慣れぬ不機嫌に、圭吾がおずおずと聞く有様。


「いや霊感で、小神様達を探してくれるくらい、してくれても良さそうなもんだと……」


圭吾は松田のその発言に、思わず恐怖を忘れて引いてしまう。


「まじ……お前凄ぇな?」


「はっ?」


「こんな状況でもダジャレ?」


「もう!田川さん!マジでこんな時に、ボケかまさないでくださいよ。俺今かなりイラついてますんで……」


松田は圭吾を、睨み付ける様に言い捨てた。


「……もう直ぐ陽が落ちそうっスからね……俺の中では、これは予定外な状況っス」


「はぁ?お前、この状況は予定外……想定外って……それだけで済ませる気かよ?」


今度は、チキリまくっていた圭吾がキレて言う。


「……だからやめようって、言っただろーが?」


「……だからマジで、イラついてんじゃないっすか」


「イラついてんじゃないっすか……じゃねぇよ。ど、どど……どーすんだよこの状況?ゆ、ゆ、ユーレに囲まれて寝るなんてできねーぞ」


パニック一歩手前の圭吾が怒鳴る。

がたいが良い圭吾が怒鳴れば、真は大人しい性格でもちょっと怖いし迫力もあるが、余りにチキリ過ぎていて、凄みなど微塵も感じられない。


「……そうは言っても仕方ないっスから……」


「はぁ?俺に一晩中起きてろと?この寝る事と、食べる事が生き甲斐の俺に?」


松田は必死に訴える圭吾に、視線を釘付けにする。


「田川さん……それが生き甲斐なんすか?」


「お、悪いか?」


「いや……なんか、田川さんぽくて良いっすけど……」


物凄く物凄ーく投げやりに言い放たれた。


「はぁ?その言いようは何だよぉ〜?寝る事と食べる事は、生き物が生きていく上で、一番重要な事だぞ」


「まあ……そうすっけど」


「……それをお前は馬鹿にして……」


「馬鹿にはしていないっす。ただ、田川さん()()()……と……」


「はぁ?」


キレ気味の圭吾の声のトーンが高くなった。


パニック一歩手前の圭吾と、想定外の状況にイライラが爆発しそうな松田が睨み合う。


「おや?おやおやおや?」


何だか目を刺す程の蒼光が辺りを照らすと、圭吾と松田に纏わり付いていた霊達が一瞬にして姿を消した。


「亡者がうようよしてても、森閑としてるのが常なんだがなぁ?誰だ?大声で叫び合ってんのは?」


長身の……何故だか圭吾には顔が蒼光によって判然としない、ちょっと低音で耳障りの良い声音を発して近づいて来る〝もの〟がいる。


「マジかぁ……」


吐き捨てる様に呟く圭吾。その圭吾とは正反対の反応を見せる松田健在(あり)


「え?ええ?えええ?どなたか様で?」


尋ねてはいるが、あからさまに相手の見当は付いてる言い方をしている。


「はっ?……」


圭吾は吐き捨てる様に呟いた。


「いやぁ……この辺を統べてる……神なんだけどさー」


「えっ?……神様っすか?マジっすか?」


松田の顔面が綻びて目の色が変化しているが、悲しいかな圭吾には……神の……が聞こえない。

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