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不思議噺 神護りの村 其の終

女性は仕事帰りで、それは急ぎ足で歩いている。

色白でスラリとした、可愛いというより美人という言葉がよく似合う。

女性の後から車が走って来た。

女性は車が追い越しやすい様に、道の端へ寄って歩いた。

しかし、夜道で背後からの車に、少しの緊張と恐怖を持った表情を作って、強張った様に歩く足を早めた。

車は女性の脇を通り過ぎ、女性は少しの安堵感を持って先を見て、一瞬にして顔を再び強張らせ、そして恐怖を露わにして林の中に駆け出した。

通り過ぎたはずの車が止まり、中から男が降りて来て女性を追いかけて来たのだ。

女性は空に輝く月に照らされて林の中を逃げ回るが、男の足には敵わずに押し倒された。

女性の恐怖に満ちた表情を、押し倒して馬乗りになった男は、それは楽しそうに見つめた。

女性は精一杯抵抗をするが、男はそれを許さずに凌辱した。凌辱して尚且つ女性の首に手をかけた。

月の明かりに照らし出された。それは恍惚に酔った表情の男の顔を見て、男は吃驚とした。


「俺?俺か?」


男は震える様に、首を絞められた女性を見た。


「あってはならない事なんだよ……」


先程のお爺さんが、震えが止まらない男を覗き込んで言った。


「わっ!」


男は大声を発してお爺さんを見た。


「絶対にあってはならないんだ。此処の○○○神社の神様の在わす場所では、絶対に氏子は死んではならないんだよぉ〜」


「…………」


「氏子が死んだらどうなるか?聞いたよねー、そりゃ、代わりに死んで貰わなきゃならないに決まってるだろ?」


施設の年かさの男が、お爺さんの背後に立っていて言った。

男は背筋がゾワゾワとするのを、覚えて二人を凝視した。


「!!!」


恐怖がこみ上げてくる。

首を絞められて死んでいた、女性の姿が消えていた。


「君が死なないといけない。なんで此処の氏子さんを殺っちまったのかねぇ?」


お爺さんは男を見ながら、気の毒そうに言った。


「もう……何人殺っちまってるのかな?しかしだ、此処の氏子さんに手を下さなきゃ、まあ、捕まって裁判?ってヤツで、死刑になってもまだ楽だったろうけどなぁ……」


「逃げきるって事もあったかもなぁ……」


施設の男も嘲る様に言う。


「しかし、此処の神様はそれはご立腹だからさぁ……」


二人は男を抑えつけた。

男は全力で抵抗した。

一人は爺さんでもう一人もいい歳のおじさんだ、若い男が全力で争えば、決して勝てない事はないと男はふんでいたが


「!!!」


男はどんなに足掻いても、お爺さんと年かさの男に抑えつけられて身動きが取れない。


「なんでだ?爺さんと……」


男がそう言ってもがいて見ると、両手を抑える獅子と胸を抑えつける狛犬が目に入った。


「!!!」


それ等はかなり重くて、到底動かせない。


「ま、マジか?」


「マジなんだな……。お前、只じゃ死ねないから、まぁ楽しみにしてな」


獅子はそう言うと男の首を噛んで持ち上げた。そして狛犬の背に乗せた。

男はジタバタとするが、どうした事か身体が動かない。


「お前が此処に来ないと、替えられないからさぁ……」


「ど、何処に連れて行く気だ?」


「うーん?死んだ女性達の恐怖を、たんまり堪能してもらって……そうそう、かなり痛い事いっぱいで、苦しみ抜いて死ぬんだけど……直ぐに死ねないから大変だよ」


阿像の獅子が説明する。


「く、くそー。放せ……」


「駄目駄目。氏子さんの代わりに、お前が死ぬんだから……」


「氏子さん殺したお前バカな」


吽像の狛犬が、これだけは言いたかったのか言った。


翌朝、神社の前に止まっている、黒いワゴン車の中で、、物凄い形相でどうしたらこんな状態に人間がなれるのかというような、そんな状態で死んでいる一人の男が見つかった。

いろいろ調べて行くと、男は何人もの女性に乱暴した後殺している事が分かった。



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

お読み頂けるだけで倖せです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 東雲しの様、五月が終わりましたね。お元気ですか。 なろうを開く度に着々と拝読させていただいております。どのお話も全て面白いです。 「不思議噺 神護りの村」はいえもり様も圭吾くんも出てきません…
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