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来遊 キューピッドさま 其の終

 いえもりさまが青ざめて、あたふたとご縁の神様の所に泣きつきにに行っている頃、怖い怖いといえもりさまに恐れ慄かれている賀茂と講義が一緒になった。

 帰り飯を食っていく事となって、今や賀茂の舎弟のようになっている松田にラインすると、珍しい事に風邪をひいて寝込んでいるという。


「鬼の霍乱か?」


 などと大笑いしているなど、本当にタチの悪い()()だと自覚する。


「いえもりさまがえらく恐縮して、慌ててご縁の神様の所に相談に行った」


「マジか?」


「マジマジ。お前はえらい〝力〟を持っているから、一息で地獄の果て迄吹っ飛ばされるらしい…….」


「はは…….否定はしないがな…….」


「げっ……マジっすか?」


「否定はしないが、俺も長い事生き永らえているからな、些細な事では非道な事はしなくなった」


「……しなくなった……っすか?」


「まあ……長い事生きてれば、角も取れて丸くなるもんだ」


「次元が違い過ぎて、俺には理解不能だがな…….」


「まあ……田川には難しいか?」

 

 賀茂は笑いながらそう言うと、何時もの如く小馬鹿にした物言いをするが、それが()()()()()仕方ない。


「まっ、ご縁の神様に相談した所で、薫子様と永遠の縁を結ぶ事を望んで、自ら〝こう〟なったんだから仕方ない……」


「え?」


「えっ?って……。薫子様とは悲恋に終わり、薫子様が非業の死をとげ、憤怒の末に魔物と化した事は聞いているだろう?」


「まあ……」


「薫子様は俺との縁を来世に願われ、俺も彼女を死ぬ程の苦境に追いやった奴らを呪いながら、やはり彼女との縁を願った……。幾度となく生まれ変わる薫子様との縁を繰り返し繰り返し……。飽きたからその縁を勝手に切ろうなどとは、思う事すら罰当たりな事だ。縁を結んで頂いた限り、こちらが願おうが願わなかろうが、縁は俺が存在する限り結び続ける運命(さだめ)だ。キューピッド様が矢を当てようが当てまいが、そんな事は関係なく続く…….」


「薫子様は生まれ変われば別人格だからいいが、お前は長げえ話しだぞ……」


「長い話しだ…….しかし、仕方ない事だ…….」


「こんな事聞くのは()()だが、賀茂やいえもりさまにも寿命はあるのか?」


「田川……お前話しに関係ない事を、唐突に言うな……」


 しかし賀茂は爽やかな笑顔を見せたまま言った。


「まあ……いつかはな……」


「いつかは……の次元なのか…….」


「まさか田川……お前いえもりさまの寿命が、そろそろだといいと思ってんのか?」


 神妙な表情の圭吾を見て、賀茂は何時もの様に揶揄う様に言った。


「まさか!」


 圭吾が慌てて大声を出したので、賀茂は高笑いをした。


「悪い悪い……。最早田川にとって、家守りは家族の様なものだ…….」


「う……まあ……そんな感じ…….」


「家守りにしてみれば、それは幸せな事だ。大概はその様に思って貰うどころか、存在すら知られぬまま、見送らねばならんからな」


「ああ……そうか…….」


「俺らはそういう存在だ……」


「賀茂!お前は俺の友達だぞ……俺が死ぬまで」


「はは…….田川……お前は面白いな」


「いやいや賀茂、松田も鈴木もずっと一緒だ……」


 圭吾はそう言うと、心の中ですまなく思った。


 ……長くてたったの60年かもしれないが……


 何故だかそう思った。

 賀茂がとても、寂しげな表情を見せている様に見えたからかもしれない。




 さて……。

 いえもりさまが、青ざめてビビりまくったキューピッドの矢の件は、実は全然ヤバい事とはならずに済んだのだが、身体のみならず小心者のいえもりさまが、ご縁の神様にご相談に行った事により〝なんと〟いえもりさまより、お話をお聞きになった神様が、実篤様を憐れんで、実篤様と薫子様の永遠ループ的ご縁を切ってくださる事となった。


 それによって、賀茂が清々したのか、淋しさを覚えたかは、無頓着な圭吾に解るはずもない。


まったりとはじまり、まったりと終わる〝いえもりさま〟を書き始めて、何年……という月日が経ちました。

……なのにお話しは驚く程の遅いペースで進んでいる……というべきなのか否か、怪しいものと化しておりますが、書き進めていけたらと思っております。

果たして猫にゃん様方は、出雲にお着きになるのか?人間に制裁をお加えになるのか?

などと思ってみてはいるのですが、〝まったり〟しすぎているお話しなので、結果があるのか無いのかそれすらも怪しい状態です。

また少しのお時間を頂きお目にかかりたいと思っております。

どうかよろしくお願いいたします

ありがとうございました。

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