表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/299

呼ばれる 小神様 其の五

「私めがワイドショウで見ております限り、弁護士様は守秘義務がお有りになるゆえ、他言できぬものと理解しておりました」


「あ〜なる程……。違う人には言えない訳か……」


「はい……そのように理解しておりました」


「……って事は、小神様は松田のお願い事で、松田に張り付いている訳じゃないんだ」


「いえいえ若。それは小神様にお聞きしてみなくては分かりませぬ」


「その小神様が言わねえんだもん」


「それはまた厄介な……」


「……なんだよ……」


「そうだ。いえもりさまが聞いてみてよ」


 ポンと手を打って圭吾が安易に言った。


「何を申されまする。小神様は、守秘義務がお有りになると仰せなのでござりましょう?」


「いえもりさまは人じゃねぇじゃん。意外と言ってくれるかもしんないじゃん」


「若……それは屁理屈と言うものにござりまする」


「屁理屈でもなんでも、小神様が教えてくんなかったら、神様の所に言って聞くしかねぇじゃん?マジ面倒ちいよ」


「いえいえ若……。若らしからぬ事を申されまする。神様の所に参って伺うなどと……今迄の若のお言葉とも思われませぬ。お忘れ下されまし」


「……ってか、いえもりさまこそらしくないじゃん?何時もならいえもりさまの方が、首を突っ込みたがるくせに」


「わ……私めは、家の大事や若さま方の大事以外は、首など突っ込みいたしませぬ」


「はあ?よく言うよ。いえもりさまが現れてから、俺様はいろんな目に遭ってるんすけど……」


「それもこれも、母君様や若さまの御為ではござりませぬか……」


「え〜そうでしたっけ?そうでしたっけ?」


「さようにござりまする、さようにござりまする」


 生真面目なのか冗談が通じないのか、一生懸命否定するいえもりさまが、面白くて可愛くてついついからかっている内に、言い合いはマジモードに入ってしまう、それが最近の圭吾といえもりさまの関係だ。




「今日はお招きありがとうございます」


 古関の後輩である、松田幸甫が圭吾の家にやって来たのは、それから一週間後の事だった。

 一応古関も呼んだが、生憎というか都合よくというか、古関には別の用事があって来れなかった。

 まあ、こういった類の問題が有る場合は、こんな感じでトントン拍子に話が進む。話が進むと言う事は、やっている事が間違っていないと言う証となる。

 つまり、松田も困っているが、小神様も困っているという事なのか……。

 こういう所が解らないのが、圭吾の難だ。


 さて、松田は圭吾の家の居間に有る火燵にご満悦だ。


「最近火燵ってなかなか有る家少ないっすよねー」


 火燵に潜り込んで猫達を驚かしている。


「猫に火燵がまたいいなぁ」


「松田の家に火燵ねぇの?」


「俺ん所には無いっす。あっ、でも直ぐ側に在る爺ちゃん宅には有るんすよ。猫に火燵……」


「へえ?」


「前にも話したじゃないっすか?爺ちゃんと近所の道祖神に詣ってたって……」


「ああ……神様系が見える様になったやつな……」


「そうっす。俺爺ちゃん子なんすよ〜」


「そうか……」


「母親が働いてるんで、どうしても爺ちゃんと一緒に居る時間が長かったっすからね……」


「はは……それ分かるは。俺はばあちゃん……。母親はガチで働いてなかったけど、それでもパートしてたから、ばあちゃんに面倒見て貰ってたし、料理は上手かったからなぁ……。ばあちゃんの作る物は何でも美味かった」


「へえ?そうなんすか?」


「幼稚園の時、ばあちゃんのハンバーグが食いたい……って言ったらしくて、今だに根に持たれてんもんなぁ……」


「えっ?お母さんにすか?」


「そう。初めて食いたいって言ったのが、おふくろの味じゃなくて、ばあちゃんの味だったってさ」


「ははは……何かあるあるっすよね。爺ちゃんばあちゃん子の……」


「ははは……あるある……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ