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8月30日(土) 22時

「もう22時よー、寝なさーい」

「はーい」


 そう言って俺はゲーム機の電源を切った。

 小学生というのは夏休みの宿題があってはっきり言って嫌だけど、もう日記以外は終わっている。やっべ、俺って天才?

 ふわあ、と欠伸をひとつ。

 もう眠い。

 さっさと寝てしまったほうがいいかな……そう思って俺は用意した布団に潜り込もうとした――



「ちょっとー! 電話よー!」


 下のほうから母親の声が聞こえる。何だよ! 寝ろとか言ったり電話とか言ったり!

 まあ、仕方ない。

 俺はそんな言い訳をぶつぶつ言いながら、階段を下りた。

 電話機はリビングにある。父親が柄にもなくテレビを見て泣いていた。ちらっと画面を覗くと24時間テレビのドラマをやっているらしい。味噌汁か……明日の味噌汁楽しみだな。

 と。そんなことを考えている場合じゃない。

 俺は受話器をとって、その声に答えた。


「もしもし」

「あ、え……カオリちゃん!? どうしたのさ急に」


 カオリちゃん……七草カオリは俺のクラスの高嶺の花……といってもいい。それくらい綺麗な彼女だ。ファンクラブもあるくらい。ちなみにファンクラブ会員第一号ですよ俺は。設立したの俺だもんね!


「あのさ……明日、一緒に遊ばない?」

「遊ぶ? どうして」

「いいから」


 そう言ってカオリちゃんは待ち合わせ場所を言う。近所のファミリーレストラン。そこに九時とのことだ。九時か……きちんと起きなくちゃ。


「それじゃ、バイバイ」


 そう言ってカオリちゃんは電話を切った。


「なんだってー?」


 母親からの声。


「カオリちゃんと明日遊ぶことになったー!」

「そうかいそうかい」


 どうやら俺の顔はそれほどに嬉しいものだと見えていたらしく、母親は笑っていた。当たり前だ。マドンナのカオリちゃんと遊べるんだぜ? 楽しいったらありゃしないぜ。

 そうして俺は――二階に上がり、布団に潜る。

 それから眠りにつくのは一時間後だということは、まだ俺も知らないことだった。


次回 8/31 7:00

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