表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソフホーズ  作者: 尸音
7/27

2-2

臭いをたどって外を見ると、1人の男が立っている。



逆光と涙で全身の様子はよく見えないが、輪郭で所々服がやぶけているのは見えた。





今度はなんだ?





さっきから唐突に事が進みすぎて脳みそが追いつかない。




その男はしばらく立ったままこちらを見ていた。






と、いきなり、こちらに走ってきて、そのまま俺に掴みかかってきやがった。



「!!!???」



全くもって理解不能。


とりあえずヤバイと思って、押し倒されつつも無我夢中でソイツの腹を蹴り飛ばした。



家の外に転がり出たところで、すかさず玄関を閉めた。




そいつはまだ諦めずに扉をドンドンと激しく叩いてくる。








…まさか、母さんはアイツに殺されたのか?




そう思うと、あの異常者の行動のどれに対しても吐き気がした。



まず、すごい吠えてる。


それこそ、獣か何かの真似をしてるみたいに、喉を鳴らして。


今も扉を叩きながら外でガナり立ててる…。



でも、凶器の類は何も持ってなかったぞ。


今、アイツはどうやって俺を殺そうとした?




大きなノック音で俺は我に返った。


こんな所で考え事してたら、そのうちアイツ入ってくるんじゃないか?



さっきからドアを叩く調子がずっと一定で、強い。



あんなヤツの力で破れるほどヤワな扉ではないだろうが、今すぐにでも大破しそうな気がしてきた。




俺はとりあえず、警察に通報することにした。



念の為いっておくが、ソフホーズ内とはいえ、一応警察はいる。犯罪も時々だが、発生する(ほとんどレジスタンスが関わってくるらしい)。



受話器を取り、ボタンを押そうとした丁度その時。








あの吠え声が、すぐ背後で聞こえた。













「…ッ!?」



全身から冷や汗がふき出し、背中に妙な緊張が走った。










振り返るのが怖い。









扉が壊れる音はしなかったが、……まさかアイツが………。














……だとしたら、すぐにアイツは襲ってくるだろう。














早く防御体勢に入らないと殺される!














意を決して、振り返った。



















―――そこにいたのはあの男じゃなくて、母さんだった。



















「か……母さん………?」








微塵も嬉しくなかった。







とにかく怖かった。










どう見たって死んでたはずの人間が、仁王立ちして、こっちを睨んでる。瞳孔は開ききったまま。






もう1度呼びかけようとしたとき、突然母さんは、さっきの男のように、吠えた。









すかさず俺は自分の部屋へ逃げ出した。






追いかけてくるのが足音ではっきり分かる。



でも、かなり速い。









必死で階段を駆け上がり、部屋の扉を開けて、中に入ってすぐ鍵を締めた。



ここまでの間、足音が徐々に近付いてくる恐怖でちびりそうになった。






母さんは、またさっきの男と同じように、部屋の扉をドンドンと叩き始めた。





その力が信じられないほど強い。






「に……逃げないと………。」



俺は必死で窓を開けた。




地上を見ると、地面は意外と近くに見える。






扉が壊れる音が背後で響く。



「マジかよ!?」



思わず声が出たが、振り返らずに、一気に飛び降りた。












着地した時に足にくる痛みが強かった。地面が見た目より遠かったからか。






だが、頭上からは母さんの吠え声がする。










夢中で駆け出した。



















後ろを見ると、母さんは窓から飛び降りて、着地して、すぐ走り出している。










いつそんな運動神経良くなったんだ…。






遠くを見ると、大勢走ってきているのが見えた。



もう、確認するまでもない。






母さんもアイツらも、皆おかしくなっちまったんだ。



















―――カトラスとミラは…!?



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ