戦いの中断
「なっ・・・馬鹿な・・・」
冬夜は目の前で起きた現象に驚いていた。武器の大群は消滅し、秋人が負っていた傷が全て消えたという現象に。
戻される世界は物質の状態を24時間以内の状態に戻す魔法である。ただし、人間に使用する場合は能力を使うための力・・・魔力までは回復しないという条件がつく。
秋人は頭に入ってきたこの情報を整理し、自分が能力を使って、冬夜の飛ばした武器を召喚される前の状態に戻し、自分の肉体を冬夜と戦う前の状態に戻したということを理解した。
「これが・・・俺の能力・・・・だったら・・・戻される世界」
秋人は茜に向かって自分の能力を使用する。
「・・・・・傷がきえていくわ・・・」
茜の傷も秋人同様に消えていく。茜も冬夜と同じく自分に起こった現象に驚いていた。しかし、それも一瞬で今度は秋人、茜、冬夜の体が光り始める。
「えっ・・・・なんだよこれ」
秋人は自分の体が光り始めたことに驚く。
「おそらく1人死んだのだろうな」
秋人の疑問に冬夜が答えるようにつぶやいた。そして、冬夜は言葉を続ける。
「なっ・・・・おんなことどうしてわかるんだよ」
「本当に何も知らないのだな。魔法結界にはあらかじめこの空間で死人が出るとこの空間は一時的に消滅するしくみになっている。そして、この空間が消滅すると、この戦いも中断され、俺たちはこの空間からはじき出される。そう、オーディンがいっていた。俺が知っているのはそんなところだ」
「そうか・・・・教えてくれてサンキュー。そして、冬夜、俺がお前を説得するまで死ぬなよ」
「ふっ・・・・・だからお前と組む気はないと言っておろうに。面白い奴だ」
秋人の言葉に笑った冬夜は一言残して魔法結界から消えていった。
「お前の面白さにはかなわないよ、冬夜」
秋人は冬夜が消えていくのを見届けると秋人も魔法結界から消えていった。
「はっ・・・・・」
秋人が気づくと元の通学路に戻っていた。
「・・・・これからどうすればいいんだ・・・・」
秋人はそんなことをおもいながら家に帰った。
そして、翌日の朝。
近所の犬の鳴き声で目が覚める。
「夢じゃないんだよな・・・・あはは・・・」
秋人は左手の楔の痣を見ながら魔法戦争が夢ではなかったことを思いだし、ため息をつく。