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魔法戦争

放課後・・・

応接室ではチェス部の活動が行われていた。秋人と茜はそこの部員である。

「チェックメイトだ、茜」

「・・・・・・・納得がいかないわね」

秋人と茜の対局が終了する。結果は秋人の勝利。茜は悔しそうに秋人を見ている。

「もう一回、もう一回勝負しなさい」

そう言って茜は棒付きキャンディをポケットから取り出し、キャンディを覆っている袋をとってキャンディを口に加える。

「いいぞ。今度も勝つからな」

「・・・・余裕そうね。でもいいわ。その余裕そうな表情をすぐにできなくしてあげるんだから」

二人はお互いににらみあってから、コマを並べる。

「準備はいいか、茜」

秋人は対局の前にいつもそう尋ねる。

「当然。さあ始めましょ。私たちの対局たたかいを」

一方の茜も秋人の言葉に対してそう答えるのが当たり前になっていた。

そして、本日二度目の秋人と茜の対局が始まった。


「・・・・・どうしてわたしが負けるのよ」

「俺の方が強いからかな?」

「納得いかないわね・・・もう一回」

結局何戦かやったが茜が勝つことは一回もなかった。茜は秋人に負ける度に再戦を申し込んでいた。

「もう遅いし、大半の奴はもう帰ったぞ」

秋人の言うとおり大半の部員は帰っていた。それも既に部活は終了しておりあたりも暗くなっていたからだ。

「しょうがないわね・・・・じゃあ、また明日にするわ。私たちも帰りましょ」

茜は窓を見て外が暗くなっている様子を確認すると渋々納得した。

「そうだな・・・・俺たちも帰る・・・」

バタン

秋人が突然その場で倒れる。

「アキ、どうしたの。アキ!」

茜が声をかけるも全く反応がない。意識を失ってしまっているようだ。

一方、秋人の意識は夢の中のある空間に向けられていた。

「ここはどこだ」

秋人が迷い込んだ空間は一面星空が広がっていた。しかし、それ以外何もない。

「気づいたか、藤堂秋人」

秋人の目の前に現れる仮面の男。

「あんたは・・・・誰なんだ?」

秋人の質問に少し笑いながら男は答える。

「僕の名はオーディン。魔法戦争ラグナロクを開催せし者」

オーディンは静かに自分の名を口にした。

「お、オーディン・・・・・ところでラグナロクってなんだよ?」

「そうか、まだ説明をしていなかったな」

それからオーディンは魔法戦争ラグナロクの説明が始まった。

魔法戦争ラグナロクは魔法使いと呼ばれる能力者たち10人が命をかけて戦う儀式のことである。またこの戦いには期限があり期限以内に最後の一人が決まらないと世界が滅んでしまうらしい。また魔法使いたちは最後の一人になったところで主催者・・・オーディンに魔法使いを倒すことで集めた魔力を渡すことでその魔法使いは生き残ることが許されるというものだ。

「・・・・・まあ、それについてはわかった」

オーディンから説明を受けた秋人はとりあえず魔法戦争ラグナロクについて一通り理解した。しかし、秋人にはいくつかの疑問が残っていた。

「なあ、オーディン。ラグナロクは能力者が集まる戦いなんだろ?俺は特に特殊な能力は持ち合わせていないし、少なくとも自分ではただの人間のつもりなんだが」

「ははははっ」

オーディンは苦笑してから言葉を続けた。

「お前はまだ能力者としての力が目覚めていないだけだ。でなければこの空間・・・・魔法結界ヴァルハラには侵入できないはずだからな」

「・・・・・・そうか」

秋人はとりあえず疑問の答えを得た。秋人は答えを得ることで新たに出てきた疑問を口にする。

「どうやったら、俺はその能力者としての力に目覚めるんだ?」

「それは知らん。それは自分で考えることだ」

「・・・・・そんな」

秋人はオーディンから帰ってきた言葉にがっかりする。

「それでは健闘を祈っているよ、藤堂秋人」

そういってオーディンは消えていった。

「冗談だよな・・・・」

この時はまだ秋人はオーディンの言葉を完全には信じていなかった。


「はっ・・・」

秋人は目を覚ます。秋人は保健室のベッドにいた。

「アキ、起きたのね、よかった」

秋人が目を覚ますとその横には椅子に座っている茜がいた。

「悪いな、心配させて」

「べ、別に心配なんかしてないんだからね。ただ、目の前で倒れられて何かあっても困るから起きるまでアキの面倒を見てただけだし」

そういう茜の目には涙のあとがあった。


「じゃあな、茜」

「ええ、また明日。体調には気をつけなさいよ」

「ああ」

秋人は茜と別れて帰り道を一人歩く。

「うっ・・・・」

秋人は左手の甲に激しい痛みを感じた。痛みは一瞬でなくなった。秋人は左手の甲を見る。

「なっ・・・・」

秋人の左手の甲に鎖型の痣ができていた。

「まさか・・・・・」

秋人は直感的に察した。痣は普通突然はできない。痣の形も不自然。ならば考えることは一つ。夢の中のオーディンという男の仕業だと。

秋人はあくまでも夢の中の話だと思っていたが今、それは違うと考え直した。その理由は二つ。一つはいきなり不自然な痣が浮き出てきたこと。もう一つは夢のはずなのに頭によく内容が残りすぎていることだった。普通の夢とは違うと違和感が夢の中のこと・・・魔法戦争ラグナロクが起こるかもしれないと秋人に考えさせた決定打だった。

そして、秋人は自分の予感が正しかったことをすぐに思い知ることになる。



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