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第一話 さらば満州

中二病でスイマセン。設定に粗ばかり・・・。

 1905年 10月18日

 「閣下。本当にハリマン氏と手を組むおつもりですか」

 「小村君。われわれはアメリカに借りがある。それを返さぬわけにはいくまい」

 内閣総理大臣、桂太郎は渋面を作った。小村寿太郎外務大臣の剣幕の前に一瞬ひるんだ彼であったが、必死の説得を試みていたのだ。

 ネズミ公使と呼ばれた外相はまくし立てた。われわれが血を流して勝ち取った満州を、どうしてアメリカに渡すのです。あなたはこの戦争を指導なされた。その誇りはどこへ消えたのですか。

 「小村君・・・わかってくれ。われわれはまだ弱い。他国の経済的支援を受けなければ、やっていけない国なのだよ。まさか君もそれを知っていないわけではあるまい」

 単身痩躯の外相は下を向いたまま黙っていた。拳はブルブルと震え、小さくしゃくりあげる声が漏れている。

 「閣下。どうしても、彼と組むおつもりですか」

 「そうだ。私の見るところ」

 と桂は小村から視線をそらし、窓の外を眺めた。私の見るところ、英国の覇権はもう長く持たない。アメリカが次の覇権国家となるだろう、後10年程度で。君の言わんとするところは痛いほどわかる、私とて軍人だ。旅順、瀋陽、奉天といった戦場に散った将兵のことを忘れてはおらん。

 「だが、彼らの名を挙げて詰まらん意地を張っていてはならぬのだ」

 まだわが国は弱い、臥薪嘗胆はまだこれからなのだ、と首相は語る。振り向くと小村は目に光るものを浮かべながらも口元に微笑を浮かべていた。

 「そこまでおっしゃられるのなら、わかりました。不肖小村、閣下の意見に賛成いたします」

 すまないな。首相はそう詫びた。君まで巻き込んでしまって。


 

 アメリカは約束を守った。少なくとも10年間は。

 だが、第一次世界大戦の後、彼らは満鉄の独占へと走る。張作霖率いる奉天軍閥と手を組み、日本勢力を圧迫し始めたのだ。第一次大戦で大きな経済的成功を収めた日米はやはりと言うべきか対立が先鋭化し始めていた。日英は奉天軍閥と対決姿勢を明らかにしていた国民党政権にたいし借款を与え、また余剰となっていた各種兵器を給与した。蒋介石は決断する。

 「統一を阻害する張作霖を討て!」

 彼の命令一下、20万の北伐軍は中国統一の念に燃えて大挙北上を開始した。

 これを見てあわてた米国は直ちに戦闘機を含む多数の装備、そして正規軍から抽出した軍事顧問団を編成し満州へと派遣。このときに日英同盟と米国という対立の構図が鮮明となった。


 1922年のワシントン会議も紛糾し、結局ご破算に終わる。アメリカとの対決を確信していた日英は同盟の堅持を選択したのだ。海軍軍縮条約も幻のものとなり、各国は陸軍を削減した予算を海軍拡張に回すという経済的自殺一歩手前の行動をとり始めた。

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