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第十二話 第二次ジョンストン沖海戦2

またしても短いです。そして亀投稿です。


期末が一段落したので、少しはスピードが上がればいいのですが…


 「こりゃ入れ食いだな」

 攻撃隊長、布留川泉中佐はようやく対空砲火を打ち上げ始めた米艦隊を見下ろしながらほくそ笑んだ。

 「村木、ト連送打電!空母を狙うぞ」

 彼の視界の端に移るメリマック級高速戦艦が猛然と対空砲火を打ち上げていた。ふむ、と布留川は鼻から息を漏らした。あのフネはなかなか錬度の高い連中が乗っとるな。用心せねば。


 「ジュディ一個中隊、急降下!」

 「畜生。左舷両用砲群、狙いつき次第撃ち方はじめ」

 高速戦艦「メリマック」は今回第31任務部隊に編入されていた。その防空火力をもって機動部隊の直衛にあたることが目的だった。戦隊司令のキャラハンたちには知らされていなかったが、彼女に課せられていた使命はもう一つあった。「金剛」「榛名」を屠った武勲艦として、日本軍機の復讐の対象になることを課せられていたのだ。

 (かなわんな)

 キャラハンはうめいた。前までならこれしきの日本軍機、あっという間に撃退できたものを。俺の艦はともかく、巡洋艦や駆逐艦の錬度は低い。まったく、これでは自殺行為のようなものではないか。


 「用意…テェ!」

 流星改から続々と魚雷が海に投じられる。ユルユルと艦首を回すエセックス級空母。だが、かわしきれない。

 「命中!」

 後席員の声を聴きながら機長の少尉はにやりと笑った。しかし、急に気づいた。おかしい、数が少なすぎる。敵機が特に少ない。向こうも攻撃隊を放ったのだろうか。そして、空母は、もっといたんじゃないか…

 「わが艦隊は、大丈夫だろうか」


 空母「葛城」では、柳本長官がじっと海図をにらんでいた。敵の第二、第三群がまだ発見できていない。いずれからか攻撃隊を放ってくる可能性が大きい。無理をすればエセックス級は106機、インディペンデンス級は45機を搭載できる。カタパルトを搭載しているから発艦速度もかなり早いはずだ。どこからか殴りかかってくるか。


 輪形陣外縁部に配備されていた駆逐艦「水無月」。老朽化して廃艦になった睦月級駆逐艦の名を継いだ防空駆逐艦だ。駆逐艦長の塩田中佐は電探が故障したとの報告を受けいらだっていた。真空管破損だから交換が終わればまた動くはずだ。そう思って煙草に火をつけた瞬間、電探が回復したとの報告と同時に、電探員の悲鳴にも近い叫びが飛び込んだ。

 「電探に感あり!大編隊らしい目標探知!刻々近づく!」

 「対空戦闘配置に付け。旗艦に打電。『敵大編隊感知』、位置、方位も忘れるなよ」


 「駆逐艦『水無月』より入電。敵大編隊接近」

 通信参謀がせっぱつまった顔で電文を読み上げた。来たか。柳本はごくりと唾を飲むと淵田と猪口を振り返り、早口に命じた。

 「直掩隊、発艦急げ。航空参謀、貴様の策を試す時が来たぞ。全艦対空戦闘配置、今回は敵も本気だ、気合を入れろ!」

 「はっ!」


 

 和久正中尉は着艦後すぐに燃料弾薬を補充して上がる羽目になった。陣風のコンディションはまあ9割といったところか。グロスシーブルーに塗装された敵の大編隊が300機以上、畜生。とんでもないことになった。

 「和久一番より全機、食い放題だ!一機十殺の覚悟でかかれ!」

 「応!」

 部下たちの返答を聞くや否や和久は機体をバンクさせ、次いで降下せしめた。それを見た田中飛曹長は口元に小さな笑みを浮かべた。なんだあの若造、えらく成長しとるじゃないか。兵学校でのホンチャンかと思っていたが、なかなか肝がすわっとる。上官の成長を実感しながらも、ベテランの搭乗員である彼は周囲への警戒を忘れずに上官に追随した。

 突入した陣風の編隊はいきなり一連射を浴びせた。AD-1スカイレーダーは頑丈な機体だが、20㎜機銃6丁の掃射を受けてしまってはその装甲も意味がない。一機、また一機と殺虫剤をかけられた蠅のように落ちて行った。

 陣風の光学標準機の中でスカイレーダーの姿が一気に膨れ上がった。目標が標準機からはみ出すサイズになった瞬間、和久は機銃発射ボタンを押しこんだ。ドイツのマウザー機銃を基にしているとはいえ、20㎜弾の弾道低下率はやはり大きかったのだ。そこで錬脱の戦闘機乗りたちは標準機から目標がはみ出すような距離になってから機銃を撃つことにしていた。これなら距離が近いからいわゆる「ションベン弾」にはならない。和久の狙ったスカイレーダーもあっという間に木っ端みじんになった。

 「南無」

 脱出する間もなかった敵兵に一瞬の黙祷を捧げてから、彼はすぐに別の敵機に狙いを定め、機首を翻した。



 迎撃に上がった陣風は約60機。多分70機程度は喰っただろう。ファイタースイープをかけるために先発していたベアキャットの制空隊があわてて引き返してきたときには陣風は一機もいなかった。やりたい放題暴れてから逃げ去ってしまったのだ。

 「ファック!貴様らサムライの子孫なら正々堂々勝負しやがれ、畜生め!」

 米戦闘機隊指揮官が悪態をつくが、当然和久たちにそれが聞こえるわけもない。陣風隊は高笑いしながら母艦へと戻っていた。

 

 傷つきながらもいまだ200機以上を有する米軍攻撃隊は堂々たる編隊を組みつつ日本第一機動艦隊へと迫っていく。スカイレーダーの大搭載力に物を言わせた雷爆撃がジャップのボロ空母を打擲する。わが合衆国の反撃はこのジョンストン沖から始まるのだ。

 だが、搭乗員たちは知らなかった。艦隊司令官たちですら勝てるとはすでに思っていなかったことを。


 「各主砲、射撃電探に接続よろし」

 「第一から第一二機銃群、配置よし!」

 「機関強速!本艦速力15kt」

 「対空戦闘用意よし」

 駆逐艦「水無月」もまた、対空戦闘の準備を荒まじいスピードで終えつつあった。防弾チョッキと鉄鉢を被った塩田艦長は双眼鏡を構えてその時を待つ。視界の隅に、染みのようなものが映ったように見えた。そちらにピントを合わせてみるとその影は数と大きさを増していく。間違いない、敵機だ!

 「機関長、燃焼効率落とせ、煙を上げ敵発見の合図を!」

 パッ、パッと「水無月」はじめ輪形陣外縁の駆逐艦から「敵発見」の合図である黒煙が上がった。それから間もなくして砲術長の声が響く。

 「主砲射程に入りました」

 「狙い付き次第打ち方はじめ」

 砲術長はアイピースに顔を押し当てたまま椅子を動かし、どのあたりにいる敵に集中砲火を浴びせるかを一瞬思案した。そののち、各砲塔を示すランプに青が点灯していることを確認してから

 「主砲、撃ちぃ方ぁ始め!」

 と絶叫し、引き金を引いた。連装5基10門の65口径10㎝高角砲が火を噴いた。同時に連装5基10丁の40㎜機銃、24丁の25㎜機銃が各班長の判断で射撃を開始し始める。20年ほど前であれば戦艦一隻の対空火力に匹敵するだけの火器を有するこの艦の防空能力は折り紙つきだ。たちまちAD-1一機が鼻先に炸裂した10㎝砲弾の破片を食らって火を噴き、もう一機が直撃弾で砕け散った。

アメリカ軍が弱すぎるような気がする、と友人から指摘がありました。どうすればいいだろうか…

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