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さてはて、

掲載日:2026/02/11

短編です

 冷たい、寒い、苦しい。誰か・・・助けて。

 そんな風に思ったあと、知らない空間にいた。

 あれ、何してたんだっけ。

 記憶を探るけど、思い出せない。自分が何者かもよくわかっていない。

「○○△、こっちへ来い」

 顔の良く見えないモヤモヤとした、姿かたちはなんとなく人に見える何かが、明らかに自分に手招きをしている。

「それは自分の名前ですか?」

 怖いけど、別に攻撃しようとかそう言う意図は感じられないので、恐る恐る聞いてみた。

「なんだ、記憶が無いのか」

 モヤモヤは慣れた様子で、地図のような物を渡してきた。

「ここは記憶がなくて、整合性が取れないやつが行く場所。お前はそっちに行ったほうが良い」

 地図を渡してくれた上に、どの道をたどればよいかまで教えてくれるなんて。なんだか優しい人だなぁ。

 教えてもらった道を歩く。気が付いたけど、靴がない。あれ?さっきまで履いていた気がしたんだけど・・・。服は着てるけど、びしょびしょだ。でもここは別段寒くも暑くもないから、あんまり気にならなかった。ポタポタと水を垂らしながら、教えてもらった場所に着いた。でも、地図に書いてある名前と、この施設の名前が良く見えない。そう言えば、眼鏡、眼鏡がない。だからあの人もぼんやりしていたんだ。納得。ということは自分は、目があまり良くないんだなぁ。記憶がないけど、眼鏡を指でずらす動きをすると、なんだかしっくり来た。

「○○△、入れ」

 ドアの向こうで、誰かが呼んだ。この名前はさっきの人が呼んでくれたから、自分のものだとわかる。

 呼ばれ、促されるままに施設に入ると、広い空間に通された。その先に大きな何かがあって、その大きな何かの上がモゾモゾと動いている。あぁ、誰かが座っているんだな、ということはなんとなくわかった。それにしても体が大きく見える。自分の目が悪いからだけではなさそうだ。外国の人かな。

「○○△、今お前が覚えている記憶はあるか」

 そう問われて、考えたけど、何にも引っ張り出せない。眼鏡と靴同様、どこかに置き忘れて来たみたいだ。

「何もありません」

 声色から、少し怖い人かと思ったけど、顔が見えないから怖くない。目が悪いってのもなかなか良いもんだなぁ。

「そうか、では我々の確認できている情報を読み上げよう」

 そう言って、目の前の大きな人は、自分の記憶についてを語りだした。でもいまいちピンとこない。

「え、そんなことしてたんですか?」

「静かにしていろ」

 なかなかスリリングな人生を歩んでいるなぁ。なんて、他人事のように聞いていたけど、読み上げている途中で声が止まった。

「・・・・」

「・・・・あの、何か?」

「はぁ、生霊課に連絡を」

 大きな体の人がそう言うと、どこからまたモヤモヤとした人が現れて、何かを受け取って、どこかへ消えた。いきりょうって、生霊か、つまり私は死んだ?いや生きているのか?よくわからなくなってきた。

「お前はまだ生きた人間だ。現世に戻ってもらう」

 体の大きな人にそう言われると、私はモヤモヤとした人に連れられて、大きな扉に放り込まれた。

 え、帰り方雑じゃない?


 気が付くと私は、ベッドに寝ていた。どうやらここは病院らしい。


——で、私はなんでここにいるの?——

さてはて、って言葉、今、使いますかね?www

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