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第七話 歪みの整理

 町は、私が触れたことで静かになった。


 畑の魔力循環、水路の流れ、民家の結界――すべて、歪みを整えた。

 見た目は何も変わっていないのに、町全体の“息づかい”が違う。

 生きている。自然と人々の魔力が調和している。


 ミリアは私の横で小さく震えていた。

 魔力を奪われ、身体も精神も疲弊している。

 視線を合わせると、怖さと困惑が混じる。


「……痛くない?」


「うん、大丈夫。少し眠りたいだけ」


 その答えに、私は少しほっとした。

 無力な存在ではなく、守るべき“人”だと改めて認識する。


 町の人々は、遠巻きにこちらを見ている。

 恐怖と、何が起きたのか理解できない混乱。

 でも、危害はなかった。


 私は静かに立ち上がる。

 ミリアを抱き、町の中央を一歩一歩歩く。

 目立つ必要はない。変えたものが自然に作用する。


「名前は?」


 小さな声。

 振り返ると、ミリアがこちらを見上げている。


「……ミリア」


 名前を確認すると、少しだけ顔がほころぶ。

 私の中では、彼女はもう“保護対象”になった。


 背後に聖堂追跡者の気配はまだ残る。

 だが今は、世界の歪みを変えることに集中する。


 町を出る準備をしながら、ふと考える。

 ――壊れたものを変える。

 ただそれだけで、誰かを救える。

 それが、私の役割だ。


 日没前、二人は町を離れた。

 町は静かに息をつき、世界の歪みは次の挑戦を待っている。

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