第二十三話 秩序の最終戦略
夜明け前、都市の空気は重かった。
聖堂はついに最終戦略を発動した。
結界の全域展開、魔力抑制の強化、住民の行動制限――
力による秩序の押し付けが都市を覆う。
ミリアが私の手を握る。
「……どうする?」
「変えるだけ」
私たちは視線を交わす。
攻撃ではなく、状況そのものを変える――これが私たちのやり方だ。
手をかざす。
都市全体の魔力循環、結界、信仰介入、人々の生活――巨大で複雑な構造も、変えられる対象だ。
ミリアは昨日よりも力強く光を放ち、自分の意思で循環を整える。
聖堂は成立条件を変えようと圧力を強化する。
だが、直接攻撃は成立条件を変えられず、力は無効化される。
私たちは静かに、確実に、都市の歪みを変えていく。
住民は混乱しても安全。
秩序の形式は崩れたままだが、都市は守られる。
ミリアは小さく息をつき、私を見上げる。
「できた…」
「うん、できた」
都市全体を変える経験が、彼女をさらに成長させる。
戦わず、叫ばず、ただ変える――
それが、私たちのやり方だ。
朝日が街を照らす。
秩序は完全ではない。
だが、世界の歪みは確実に縮小した。
そして私たちは歩き続ける――次の都市、次の歪みへ.




